第七十二話 黎明
ダークの分身との戦いから数時間後――。
長かった夜が終わり、朝日が森を照らしていた。
俺たちは生きていた、キャリーは俺達の支えもあり、怪我を治療した。その時に俺も回復魔法を受けていた。
「じっとしてて」
「無茶しすぎなのよ」
「仕方ないだろ」
「仕方なくない」
即答だった。
オクが苦笑する。
「仲良いですね」
「どこがだ」
「どこがよ」
俺たちの声が重なった。
オクが笑う。
少しだけ張り詰めていた空気が和らいだ。
とはいえ、疲労は残っている、第一次試験は想像以上だった。
化け物、ムウ、ダークとの戦闘など色々あった。
俺達はしばらくの間休息をとることにした、不思議な事に近くに強大な気配はしない。
(誰かがあの魔物を倒しているのか……?)
(そんな事できる奴がいるとしたら……)
俺はそんな事を考えながら眠りについた。
しばらくして、キャリーに起こされる、目線の先には推薦書が光っていた、嫌な予感しかしない。
次の瞬間、聞き慣れた声が響いた。
『現時点をもって第一次試験を終了とする!』
『生きてる奴は第一次試験合格だ!』
オクが目を輝かせる、キャリーも安堵の息を吐いた。
そんな事は気にせず推薦書は続ける。
『それじゃあ転移開始ぃぃぃ!!』
「待ってくれ」
「せめて準備を――」
言い終わる前だった、視界が白く染まる、浮遊感が襲う。
そして――。
気付けば俺たちは別の場所に立っていた。
「ここは……」
広い草原、空は青く、周りには何もない。
そして次に目に入ったのは人だ。
第一次試験開始時と比べて明らかに少くなっている。
そして、前回とは違い、全員が同じ場所へ集められている、ざわめく受験者たち。
疲れた顔、傷だらけの者、平然としている者。
その中には見覚えのある顔もあった。
少し離れた場所、退屈そうに立つムウ。
俺が周囲を見回していると、キャリーがか細い声で。
「結構減ったね……」
「ああ……」
続いてオクも表情を曇らせた。
「これが魔兵団試験なんですね……」
その時、推薦書が再び光る。
『さてさて!』
ざわめきが止む、全員の視線が集まる。
『ここまで生き残った受験者諸君!』
『よく来たな!』
広場に緊張が走る。
そして推薦書は楽しそうに言った。
『さぁ!』
『最終試験のルールを説明するぜ!』
受験者たちが息を呑む。
ついに魔兵団試験最後の関門が始まる。




