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第七十話 影
ダークが動く、闇が揺れる、短剣を構え一直線にこちらへ踏み込んできた。
速い。
だが、予想通りだ。
「今!」
「いっけぇ!」
キャリーが腕を前に出し、魔法を発動する。
「洪水水流!」
大量の水が地面を覆うように広範囲へ拡散し、夜の森が一瞬で水浸しになる。
そして次はオク。
「いきます!」
雷が集まる、青白い閃光、放たれるのは迷いのない一撃。
「超電撃!」
バチィィィィッ!!
雷が水へ流れ込んだ瞬間、水面全体が光った。
広範囲、高威力の逃げ場のない雷撃。
「っ!」
初めてダークの表情が変わる、避けようとする。
だが、遅い、雷が襲いかかり、身体が硬直する。
ほんの一瞬の隙、たったそれだけ。
だが、十分だった。
「おおおおおおっ!!」
俺は身体強化を全開にし、地面を蹴る。
帯電する水の上を飛び、捉えるのはダークの急所、脳天に一直線。
「くらえ!!」
ナイを全力で振り下ろす、持てる全てを込めた一撃。
グニャッ――
次の瞬間、違和感が襲う。
「……?」
手応えがおかしい、柔らかい、斬った感触じゃない。
まるで実体のない影を殴ったような、そんな感覚だった。
「まさか――」
背筋が凍る、俺の目の前でダークの身体がゆらりと揺らいだ。




