第六十八話 勝機
俺は呼吸を整え、荒くなった息を落ち着かせながら魔視を発動した。
自分の状態を確認するためだ、傷、魔力の流れ、身体の反応。
「……」
刺された腹は間違いなく重傷だ。
だが、まだ動ける、まだ立てる、まだ戦える。
「いける……」
「俺ならいけるはずだ」
その時。
「チッ」
ダークが舌打ちした、初めて見せた苛立ち。
「いなけりゃ終わってたのに」
視線の先にはオク。
オクはビクッと肩を震わせる。
だが、すぐに俺たちを見る。
「あの……」
慌てた様子で駆け寄ろうとする。
「二人とも大丈夫ですか!?」
そして俺とキャリーの姿を見て。
「いや、大丈夫じゃないですよね!」
さらに慌てる。
「すみません!」
「なんで謝るんだよ……」
思わず苦笑した、こんな状況なのに少しだけ緊張が和らぐ。
だが、戦況は最悪だ、キャリーは負傷、オクも消耗している、俺も万全じゃない、普通に戦えば勝てない。
だから考える。
(どうすればあの男を倒せる)
その時、脳裏に浮かんだのは烈炎を身体に纏い、炎の剣で化け物を一撃で斬り裂いた、天才、ムウ。
「……!」
そうか。
(あれだ)
「二人とも聞いてくれ」
俺は二人を見る、キャリーとオクもこちらを向く。
ダークは黙っている、余裕があるのだろう、なら好都合だ、俺は拳を握り、言った。
「奴に勝てる作戦を思い付いた」
キャリーの目が見開かれ、オクも驚く。
一方で、ダークだけは小さく首を傾げた、まるで弱者の悪あがきを見ているように。
だが、俺は構わなかった、勝機はある、ほんの少しだけだが確かに見えていた。




