第六十七話 最高
やられた、コイツの狙いは最初からこれだった、ダークボールに意識を向けさせ、その隙を突く。
ダークは無表情のまま短剣に力を込める。
「っ……!」
身体が悲鳴を上げる、痛い、苦しい。
それでも俺はナイを握る、まだだ、まだ終わってない、目の前にはダークボール、後ろにはキャリー、ここで力を抜けば終わる。
「ずらせ……!」
ただ押し返すんじゃない、軌道を変える、少しでいい、ほんの少し。
「おおおおおお!!」
身体強化を限界まで引き上げる、闇が揺れる、少しだけ、ほんの少しだけ軌道が変わる、あと少し、でも足りない、意識が遠のく。
ダークは更に力を入れる、俺の腹を切り裂く気だ。
(ダメだ、ここで俺が死ねばキャリーまで……)
アルの脳内に嫌な想像が浮かんだ。
(何か……何かないのか……)
その時、夜空が白く輝く。
「――?」
ダークが空を見上げる、次の瞬間。
ドゴォォォォォン!!
閃光が落ちた、真っ直ぐに、ダークへ向かってきたのは稲妻だった。
ダークが大きく距離を取る、俺はその隙を見逃さない。
ダークボールの軌道をずらす、闇は俺の側を抜けていった。
俺は後ろを向いた、そこには肩で息をしながら立つオクの姿があった。
「アルさん……」
「間に……合いましたか……?」
俺は思わず笑う。
「ああ……」
「最高のタイミングだ」




