第六十話 興味
少しの沈黙、ムウはじっと俺を見ている。
「な……なんだよ」
ムウは動かない、ただじっと俺を見ていた。
「……」
するとムウは俺の前まで来て腰を下ろし、俺をじっくりと見始めた、ムウは相変わらず無表情だった。
そしてぽつりと呟く。
「お前……」
少し考える、何かを確かめるように。
「もしかして」
さらに数秒、そして。
「全属性が苦手……なのか?」
「!?」
俺は目を見開いた、思わず声が大きくなる。
「分かるのか!?」
今までそれを見抜いたのはメルビィだけだった。
ムウは肩をすくめる。
「まあな」
「こういうのはメルビィほど得意じゃねぇんだが」
メルビィの名前に驚く、知り合いなのか、だがムウは気にせず続けた。
「うっすら見える」
その目が俺を見る、まるで珍しい生き物でも観察するように。
「お前の魔力、全属性への適性が極めて低いように見えるんだよ」
「すげぇ変な魔力」
「変って……」
少し傷付く、だが否定できない、実際変だからだ、全属性が苦手、そんな人間は聞いたことがない。
「やっぱりお前変わってるな」
「ひどいな」
「事実だろ」
反論できない。実際その通りだから。
「さて……と」
ムウは腰を上げ再び歩き出した。今度こそ本当に行くらしい。
「待てよ!」
「さっきの質問は!?」
「ん?」
「ああ」
ムウは呆れたように笑った。
「そんなに知りたいのか」
「そりゃあもう!」
ムウはなぜか少し楽しそうに笑みを浮かべた。
「教えた所で使えないのに……変なやつだな」
「そりゃ使えないけど……知りたいだろ!」
「じゃあもっとお前が強くなったら教えてやるよ」
「何年後になるか分かんねぇけどな」
そう言い残し天才は森の奥へ消えていった、残された俺はその背中を見送りながら拳を握る。
生き残る理由がまた一つ増えた気がした。




