第四十九話 試験当日
ついに魔兵団試験当日、俺とキャリーは目的地へ到着していた。
――中央都市フェイエル。
この世界最大の都市、王の城が建ち、魔兵団中央本部が存在し、人間も魔族も行き交う、まさに国の中心だ。
商人、冒険者、貴族、魔族、あらゆるものが集まる街だ。
その規模は圧倒的だった、巨大な城壁、広い街路、どこまでも続く建物、学園のあった街とは比べものにならない。
「凄いな……」
思わず声が漏れる、キャリーが笑った。
「田舎者みたいな反応だね」
「実際そうだろ」
「否定しないんだ」
そんな会話をしながら試験会場へ向かう。
中央広場、そこへ到着した瞬間、さらに言葉を失った。
「うわぁ……」
人、人、人、見渡す限り受験者だった。
剣士、魔法使い、弓使い、魔族、年齢も職業も様々、それが数百人、いや、千人近くいるかもしれない、広場は人で溢れていた。
「多いねぇ」
キャリーも感心している。
「全員受験者か?」
「多分ね」
「受かる気がしなくなってきた」
「今さら?」
キャリーはニヤニヤしている。
「アルなら大丈夫だよ」
「根拠は?」
「なんとなく」
「適当すぎるだろ」
「私の勘は当たるのです」
「はいはい」
いつもの調子だった、緊張していた気持ちが少し和らぐ。
すると突然広場が静かになった、ざわめきが止まる、誰もが一点を見ていた、俺たちも視線を向ける。
そこには人が立っていた、いつ現れたのか分からない、まるで最初からそこにいたような存在感。
しかし、受験者が多いうえに距離が遠く顔がよく見えない。
だが圧倒的な威圧感だけは伝わってきた、人影は一歩前へ出る。
そして穏やかな声で言った。
「お集まりの皆さん、こんにちは」
その声は不思議と広場全体へ届いた、誰も話さない、誰も動かない、全員が耳を傾ける、人影は続けた。
「それでは」
一拍置く。
「魔兵団試験を開始します」
その言葉を俺が聞き取った瞬間だった。
世界が白く染まった。
「なっ――」
視界が消える、足元も、空も、人々の姿も、何もかもが白に呑まれていく、周囲から驚きの声が上がる。
「なんだ!?」
「何が起きてやがる!?」
「キャリー!」
俺は咄嗟に叫ぶ、だが返事はない、何も見えない、何も聞こえない。
そして――
俺は一人になっていた。




