第四十八話 一週間前
試験一週間前、魔兵団試験へ向かうため俺とキャリーはアジトを出ることになった。
――少し前。
荷物をまとめ終えた俺は、アジトの入口に立っていた。
見送りに来てくれた団員たち、ハム、メン、そしてビッグ、短い期間だった。
だが、俺にとってはかけがえのない時間だった。
「それじゃあ」
「行ってきます」
隣ではキャリーも笑顔を浮かべていた。
「行ってくるね!」
すると。
「おう!」
「受かってこいよ!」
「落ちても帰ってこい!」
「死ぬなよー!」
団員たちから次々と声が飛ぶ、ハムが腕を組みながら笑った。
「お前なら大丈夫だ」
メンも静かに頷く。
「健闘を祈ります」
そして、最後にビッグが口を開いた、大きな腕を組みいつものように豪快に笑う。
「二人とも!」
「頑張れよ!」
「はい!」
「うん!」
俺とキャリーが返事をする、ビッグはさらに続けた。
「くれぐれも死ぬな!」
「……え?」
思わず固まった、ビッグは真面目な顔だ、冗談ではないらしい。
俺が困惑している横でキャリーだけは平然としていた。
「頑張る!」
そうして俺たちはアジトを後にした。
――そして現在。
街道を歩きながら俺はふと思い出す。
「死ぬなって……」
思わず呟いた、キャリーは隣を歩きながら頷く。
「毎年出るらしいね」
「何が?」
「死人」
俺は足を止めそうになった。
「……は?」
キャリーはあっさりと言う。
「魔兵団試験」
「かなり危険らしいよ」
「聞いてないんだけど」
「私も詳しくは知らないけどね」
冗談じゃない。
だが、考えてみれば当然だった。
国を守る最前線、魔兵団、生半可な試験であるはずがない。
俺は空を見上げた、不安がないと言えば嘘になる、けれどここまで来た、今さら引き返すつもりはない。
「……お互い」
「頑張ろう」
キャリーも笑顔で頷いた。
「うん!」
「絶対受かろうね!」
二人は歩き続ける、目指すは魔兵団試験会場。
夢への第一歩が、もうすぐそこまで迫っていた。




