第四十七話 灯台下暗し
試験まで残り一ヶ月半ほど、俺は今日も訓練場で剣を振っていた。
ガキィン!
ハムと模擬戦だ、以前なら見えなかった攻撃も、少しずつ見えるようになってきた。
「そこまで!」
見学していたキャリーが声を上げる、俺は息を吐いた、額から汗が流れる、そんな事も意に介さず、キャリーは満足そうに頷いた。
「良い動きになってきたね!」
「そうか?」
「うん!」
「ソードガーディアンと戦った時より全然動きがいいよ!」
俺はナイを鞘に収める。
「でもまだまだだ……」
「こんなもんじゃ……」
ソードガーディアンとの戦いを思い出す、紙一重だった、魔兵団に入るにはもっと強くならなければならない。
「真面目だねぇ」
「そうか?」
「そうだよ」
そして何気ない調子で言った。
「同じ魔兵団を目指してる者同士、頑張らなきゃね」
「そうだな――」
そこまで言って俺は固まった。
「……ん?」
「どうしたの?」
「今なんて言った?」
「え?」
「同じ魔兵団を目指してるって」
「うん」
「目指してるよ?」
「キャリーも?」
「うん」
「魔兵団を?」
「うん」
「本当に?」
「なんで三回聞くのよ」
「推薦書が必要なはずだろ!?」
するとキャリーは何食わぬ顔で答える。
「ああ、これ?」
一枚の紙を取り出した、見覚えがある、いや、見間違えるはずがない、推薦書だ。
「……」
「本物?」
「本物に決まってるでしょ」
キャリーは得意げに胸を張った。
「凄いでしょ」
「半年前に団長から貰ったのよ」
「えぇ……」
理解が追いつかない、キャリーは続ける。
「私が討伐団に入ったのも」
「推薦書を貰うためだしね」
俺は深くため息を吐いた、そして。
「早く言ってよ……」
本気でそう思った、キャリーは目をぱちくりさせる。
「え?」
「なんで今まで黙ってたんだよ」
「聞かれなかったし」
「でも、言う機会はあっただろ?」
「そう?」
「いっぱいあったよ!」
キャリーは数秒考えた、そして。
「でも、今言ったんだからよくない?」
「よくない!」
訓練場に笑い声が響いた、遠くで見ていたハムとメンまで笑っている、俺は頭を抱えるしかなかった。
どうやら魔兵団試験へ向かう仲間はすぐ近くにいたらしい。




