第四十五話 魔兵団試験
アジトの夜。
依頼達成を祝う食事会も一段落し、俺はビッグたちと話していた、話題は自然と俺の苦手魔法についてになる。
「それで?」
「全属性が苦手なんだったな」
「はい」
俺は頷いた。
もしかしたら討伐団の団長なら何か知っているかもしれない、そんな期待が少しだけあった。
だが、ビッグは頭を掻く。
「正直言ってなぁ」
「聞いたことはねぇな」
「え?」
「苦手魔法の克服なんてよ」
その一言で期待が音を立てて崩れた。
「そう……ですか」
俺は肩を落とす、やっぱりメルビィも、ライス先生も、そしてビッグも、誰も知らない。
「ねぇ」
すると横から声が飛んできた、キャリーだった。
「そんな悲しそうな顔しないの」
「してない」
「してるよ」
「今にも世界が終わりそうな顔してる」
「そんな顔してない」
「してるって」
キャリーは少し考える、そして。
「大丈夫よ」
「どうせアルの場合」
嫌な予感がした。
「苦手魔法を克服する前に凄い人になってそうだもん」
「何だその理屈」
「さあ?知らない」
「知らないのかよ」
キャリーはケラケラ笑う、周囲もつられて笑い出した、ビッグなんて腹を抱えている。
「ははは!」
「確かにな!」
「ありそうだ!」
「全然ないですよ!」
思わずツッコむ、だが不思議と少し気が楽になった、落ち込んでいても仕方ない、それは分かっている、ビッグは笑い終えると机を叩いた。
「そうだ」
「ん?」
「お前、推薦書持ってたな」
俺はすぐに思い出した、学園から受け取った魔兵団推薦書。
「ああ」
「魔兵団を目指してるんだろ?」
「はい」
その瞬間、ビッグの表情が少し真面目になる。
「なら知っとけ」
「?」
「試験は今日から大体三ヶ月後だ」
「三ヶ月後?」
「おう」
ハムも頷く。
「毎年この時期だ」
メンも補足する。
「各地から受験者が集まります」
俺の心臓が少しだけ高鳴る、魔兵団試験、旅立ってからずっと目標だったもの。
思い出してみれば、推薦書を渡されてからかなり経っていた。
「三ヶ月……」
短い、長いようで短い。
ビッグはニヤリと笑った。
「時間はあるようでねぇぞ」
「今のお前じゃ受かるかも分からん」
「っ……」
図星だった、ソードガーディアンには勝った。
だが、それは仲間がいたからだ、まだまだ足りない。
「だったら鍛えるしかない」
「試験まで三ヶ月」
「その間に少しでも強くなれ」
俺は拳を握った、魔兵団、夢への第一歩、その日が確実に近付いていた。
そして俺はまだ知らなかった、その試験が俺の人生を変えることになるなんて。




