第四十二話 両断
勝てるとそう確信していた。
魔視で見えた急所、キャリーとメンが作った隙に完璧な一撃、俺は全てを賭けて突きを放ち、刃が胸部に触れる。
その瞬間――
パキッと嫌な音がした。
「……え?」
次の瞬間、俺の剣が砕け散った。
バキィィィン!!
無数の破片が宙を舞う、俺は目を見開いた、急所を突いた、間違っていない。
だが、武器の方が耐えられなかった、思わず言葉が漏れる。
「なっ……」
最悪だ、武器がない、距離も近い。
そして、ソードガーディアンがその隙を見逃すはずもない。
赤い瞳が光る、剣が振り上げられた、だめだ、終わった――
「アル!!」
声が響く、聞き覚えのある声。
「使えぇぇぇ!!」
ハムだった。
テリトリーの外、深手を負ったはずのハムが立っている、その手には大剣。
そして、俺の足元へ向かって投げられた。
ドスン!!
重い音を立てて突き刺さる。
「ハム……!」
ハムは笑った、血だらけのまま、それでも笑っていた。
「持ってけ!」
迷う暇はない、俺は大剣を握った、重い。
だが、今なら扱える、身体強化を限界まで高める、だが、ソードガーディアンの剣が迫る。
「っ!」
紙一重、身体を捻る、巨大な刃が鼻先を掠めた。風圧で頬が切れる、だが避けた。
そして、その瞬間、ソードガーディアンの胸が無防備になる。
見える、核が、急所が、魔視が叫んでいる。
――今だ。
俺は踏み込む、その時、ふと学園での光景が脳裏をよぎった。
実技試験、誰にも期待されていなかった俺、身体強化だけで藁人形を両断したあの日。
「うおおおおおおおっ!!」
全身全霊の渾身の一撃、大剣を振り抜く。
ズバァァァァァン!!
衝撃が森を揺らした、そして、ソードガーディアンの身体に一本の線が走る。
次の瞬間、巨大な身体が二つに分かれた。
核ごと完全に両断、赤い光が消え、ソードガーディアンはゆっくりと崩れ落ちた。
ドォォォン――
地面が揺れる、もう動かない、完全な沈黙。
そして数秒後。
「勝った……」
キャリーが呟く、メンも息を吐いた、ハムはその場に座り込む、俺も大剣を支えに膝をついた。
全身が限界だった、それでも笑みがこぼれる。
初めての実戦、初めての仲間との戦い、そして人生初の大きな勝利だった。




