第四十一話 魔視
死を覚悟した。
振り下ろされる剣、避けられない、防げない。
そう思った――刹那。
世界が静かになった、いや、違う。
俺が集中していたんだ、極限まで、限界まで。
咄嗟に身を捻り間一髪で攻撃を躱す、そして魔視を使う、流れる魔力、揺れる空気、自分の身体、全てが鮮明に見えた。
「……」
傷を見る、腕の傷、痛い、確かに痛い、だが。
(なんだ)
思考が冴える。
(浅いじゃないか)
今までの痛みと恐怖で重傷だと思い込んでいた。
違う、まだ動ける、まだ戦える、そして。
視線をソードガーディアンへ向ける。
魔力の流れを追う、全身を巡る膨大な魔力、鎧のような身体、強固な防御、普通なら突破できない。
だが、その中に一箇所だけひときわ強く光る場所があった。
「……見えた」
胸部、正確には心臓の位置にそこだけ異常に魔力が集中している。
魔臓、急所、守護者を動かしている中心。
(そこか)
ソードガーディアンの剣が迫る。
だが、もう恐怖はなかった、勝てる、あそこを突けばいい。
「キャリー!!」
俺は叫んだ、遠くにいるキャリーが顔を上げる。
「えっ!?」
「援護してくれ!」
突然の言葉にキャリーは驚く、だが俺は続けた。
「右足に水球!」
「その後すぐ右腕に水槍二発!」
キャリーは目を見開く、普通なら意味が分からない指示だ、でも。
「……!」
キャリーは頷いた、信じてくれた。
「任せなさい!」
俺は笑った。
「メン!」
「はい!」
「矢を左腕に!」
「了解!」
全員が動く、ソードガーディアンは俺を仕留めようとしていた。
だから気付かない、その隙を。
「今だ!」
水球、矢、そして水槍。
完璧なタイミング。
ガーディアンの体勢がわずかに崩れる。
ほんの一瞬、ほんのわずかな隙、だが。
俺には十分だった、身体強化、全魔力集中。
地面を蹴る、視界にはただ一つ、魔視で見えた急所だけ。
「うおおおおおおっ!!」
俺は剣を突き出した、一直線に核へ向かって。




