第三十八話 初陣
ただ剣が突き刺さる広場、周囲には誰もいない、
だが、俺の目には見えていた。
魔視によって流れる魔力。
そして、剣の周囲を巡る異質な気配。
「みんな」
俺は低く言った。
「気をつけて」
ハムが大剣を構える、メンも弓を握り直した、キャリーは尋ねる。
「何かわかったの?」
俺は頷く。
「ここからです」
地面に視線を向けると、剣を中心に広がる魔力の境界線が見える。
「ここから一歩でも進めば攻撃される」
ハムが口笛を吹く。
「便利な目だな」
するとキャリーが前へ出る。
「よし!」
拳を掲げる。
「準備はいい、みんな!」
「おう!」
ハム。
「問題ありません」
メン。
俺も頷く。
「いつでも」
キャリーは満足そうに笑った。
そして。
「行くよ!」
その瞬間、全員が動いた。
一歩、境界線を越えた直後だった。
ゴォォォォッ!!
剣の横に倒れていた鎧のような物が立ち上がる。
鎧、人型、まるで騎士のような姿。
――ソードガーディアン。
その赤い瞳が光り、中央の剣を引き抜いた。
瞬間、俺へ斬りかかってきた。
速い、だが、予測していた。
「っ!」
身体強化、全身に魔力を巡らせる。
ガギィィィン!!
俺は剣を抜き放ち、ソードガーディアンの一撃を受け止めた。
重い、腕が痺れる、だが止めた。
「今だ!」
叫ぶ、その瞬間。
「水槍!」
キャリーの魔法が飛ぶ。
同時に。
シュッ!!
メンの矢が放たれた。
左右からの挟撃にソードガーディアンが反応する。
一瞬だけ、注意が逸れた隙をハムは見逃さなかった。
「おおおおおっ!!」
大剣が振り抜かれ、鋭い一閃は轟音と共にガーディアンへ直撃した。
「どうだ!」
とハムが叫ぶ、土煙が舞い、視界が遮られる。
だが、俺は魔視を使っていた、だから見えた。
土煙の向こう、なお揺らぐことのない魔力を。
そして、ゆっくりと持ち上がる剣を。
「……まずい」
俺の呟きと同時に土煙の奥で赤い瞳が再び光った。




