第二十四話 呼び出し
入学から一年。
気付けば俺も二年生になろうとしていた、中庭のベンチに腰掛けながら空を見上げる。
「もう一年か……」
色々なことがあった、入学当初は実技最下位、魔法もまともに扱えず、周囲から笑われる毎日だった。
校長先生との出会い、父さんと母さんの話、そしてライス先生との修行、毎日が必死だった。
だけど少しだけ前に進めた気もする。
身体強化、剣術、魔力操作。
できることは確実に増えていた、それでも俺にはまだ足りないものがたくさんある。
魔兵団。
そして王になるという夢、今のままじゃ全然届かない。
「もっと強くならないとな……」
そんなことを考えていた時だった。
「アル」
聞き慣れた声がした、振り向くとライス先生だった。
「先生?」
「少し来い」
いつも通り短い、だがどこか真面目な表情だった、思わず俺は慌てて立ち上がる。
「何かあったんですか?」
「来れば分かる」
そう言って歩き出すライス先生、俺も後を追った。
しばらく校舎の中を歩く、見慣れた廊下、見慣れた階段、だが向かう先は普段使わない区域だった。
やがてライス先生が足を止める、そこには一つの教室があった、見たことのない教室、扉には何も書かれていない。
「先生?」
俺が尋ねる。
ライス先生は扉を見つめながら言った。
「お前に会わせたい人がいる」
「会わせたい人?」
俺は首を傾げる、誰だろう、教師だろうか、それとも魔兵団の関係者だろうか。
するとライス先生は珍しく意味深な笑みを浮かべた。
「まあ入れ」
そう言って扉へ手をかける、俺はごくりと唾を飲み込んだ、そして、ゆっくりと教室の中へ足を踏み入れた。




