第二十三話 テスト終了
技術テスト終了後。
俺はいつもの訓練場へ向かっていた、演習場でのざわめきがまだ耳に残っている。
十五点、決して高得点ではない。
だが以前の俺なら零点だった、そう考えると少しだけ嬉しかった。
訓練場へ着くと、ライス先生が腕を組んで待っていた。
「お疲れ様です」
「うむ」
短い返事。
そして、ライス先生は少しだけ口元を上げた。
「やるじゃないか」
「……え?」
俺は思わず固まった。
今、褒められた?
ライス先生に?
「人形を両断したのは見事だった」
「身体強化の精度も悪くない」
「少なくとも修行前のお前では不可能だっただろう」
胸が熱くなる、嬉しかった。
本当に少しだけだったけど、ライス先生が認めてくれた気がした。
だが、次の瞬間だった。
「ところで」
嫌な予感がした。
「なぜ得点が低かったか分かるか?」
やっぱり来た、俺は少し考える、そして答えた。
「魔法じゃないから……ですか?」
ライス先生は頷いた。
「そうだ」
即答だった。
「お前がやったのは身体強化による斬撃」
「確かに見事だった」
「だが試験は魔法の技術を測るものでもある」
俺は黙って聞く、反論はできない、事実だからだ。
ライス先生は続ける。
「実戦ではどうなる?」
「敵が遠距離から攻撃してくるかもしれない」
「空を飛ぶかもしれない」
「近付くだけで危険な相手かもしれない」
そこで一度言葉を切る。
「そんな時」
「剣だけで戦えるか?」
俺は首を横に振った、無理だ、間違いなく。
「そういうことだ」
ライス先生は腕を組む。
「実戦では臨機応変に戦術を変える必要がある」
「剣も使う」
「魔法も使う」
「状況によって逃げることもある」
「一芸だけでは務まらん」
その言葉は重かった、俺が目指しているのは魔兵団、人を守る仕事だ、ただ強ければいいわけじゃない、どんな状況にも対応できなければならない。
「だから」
ライス先生は俺を見る。
「身体強化は続ける」
「だが同時に魔法も諦めるな」
「お前にはまだやるべきことが山ほどある」
俺は思わず苦笑した、せっかく褒められたと思ったのに、結局また課題だらけだ、だけど不思議と嫌な気持ちはしなかった。
「はい!」
俺は力強く答える。
ライス先生は小さく頷いた。
そして。
「よし」
「では修行を始めるぞ」
「今からですか!?」
「当然だ」
俺は思わず空を見上げた、どうやら、俺の地獄の日々はまだまだ終わりそうになかった。




