第二十話 退学勧告
放課後、いつもの訓練場。
身体強化の修行を終えた俺は地面に座り込んでいた。
「はぁ……はぁ……」
全身が重い、だが以前よりは動けるようになっている、少しだけ成長を実感していた。
そんな俺を見ながらライス先生が口を開く。
「アル」
「はい」
「次の実技テストのことは知っているな」
俺は頷いた、もちろん知っている。
学期末に行われる大規模な技術テスト、生徒たちの実力を測る重要な試験だ。
ライス先生は腕を組む。
「お前の筆記成績は問題ない」
「むしろ上位だ」
「だが実技がまずい」
俺は苦笑した、反論できない。
「今の総合成績も危険な位置にいる」
「次のテストで結果を出せなければ――」
ライス先生は少し間を置く。
「退学だ」
空気が重くなる、普通なら青ざめる話だ。
実際、学園の規則でも著しく成績の悪い生徒には退学勧告が出される。
だが。
「そうですか」
俺は意外と冷静だった。
ライス先生が眉をひそめる。
「驚かないんだな」
「まあ……」
俺は頭をかく。
「正直、前から覚悟はしてました」
得意魔法なし、実技最下位。
そんな俺がここまで残れている方が不思議なくらいだ。
しかしライス先生はじっと俺を見る。
「それにしては余裕そうだな」
図星だった。
俺は少し笑う。
「余裕っていうか」
「前よりはできる気がするんです」
ライス先生は黙って聞いている。
「魔法はまだ上手くいきません」
「でも」
「前の俺とは違います」
毎日の修行、身体強化、魔力操作、無駄ではなかった。
少なくともそう信じられる。
ライス先生は小さく息を吐く。
「なるほど」
そして少しだけ笑った。
「良い顔をするようになったな」
その言葉に俺は少し照れる。
「褒めても何も出ませんよ」
「別に褒めていない」
「ひどい!」
ライス先生は珍しく笑った。
そして訓練場の出口へ向かう。
「まあいい」
「結果で見せろ」
俺は立ち上がる。
「はい!」
力強く返事をした。
そして――。
数日後、魔法学園。
技術テスト当日、広大な演習場には生徒たちが集まっていた。
緊張する者、自信に満ちた者、様々な表情が並ぶ。
俺もその中に立っていた、いよいよ始まる、自分が変われたのか、それとも変われていないのか、その答えが出る日が。
ついにやって来た。




