第十九話 羨ましい
「アル・シンセリティ!!」
先生の怒声が教室に響き渡った。
「ひゃっ!?」
俺は椅子から飛び上がるように目を覚ました。
心臓がバクバクしている、周囲を見ると、クラス全員の視線が俺に集まっていた。
(やばい……)
完全に寝てた、先生はこめかみに青筋を浮かべながら黒板を指差す。
「寝る余裕があるようだな」
「なら、この問題に答えてみろ」
教室が静まり返る、俺は黒板を見る。
魔法理論の問題だった。
内容を確認する、数秒、答えは分かった。
「第七魔力循環理論です」
「術式の安定性を優先するなら第三補助式を追加します」
「その場合、魔力効率は下がりますが暴走率は大幅に低下します」
再び沈黙が流れる、やがて先生が黒板を見て言った。
「……正解だ」
教室がざわつく。
「またかよ」
誰かが呟いた。
「寝てたくせに」
「頭だけは良いんだよな」
「それしか取り柄ないけど」
くすくすと笑い声が聞こえる。
「魔法は全然できないのにな」
「筆記だけの天才様だ」
「羨ましいなぁ」
嫌味が飛び交う、俺は何も言わない。
言い返したところで何も変わらないからだ。
先生もため息を吐いた、正解したことを褒める様子はない、むしろ機嫌が悪そうだった。
「席に座れ」
「……はい」
俺は静かに腰を下ろす、確かに問題は解けた。
でも、授業中に寝たことに変わりはない、それは俺が悪い。
「……」
反省しよう、そう思った。
どんな理由があっても授業中に寝るのは良くない。
ましてや先生に迷惑をかけた。
俺は机の上のノートへ視線を落とす。
そして小さく息を吐いた、今の俺の取り柄は勉強だけだ。
だからこそ、もっと頑張らなければいけない
いつか、勉強以外でも胸を張れるようになるために。




