第十八話 眠気
身体強化の修行が始まって数日。
俺はある問題に直面していた。
眠い、本当に眠い。
朝は日の出前から修行、授業が終わればまた修行、夜遅くまで訓練、家に帰れば倒れるように寝る、そんな生活を繰り返しているのだ、眠くない方がおかしい。
そして――。
教室、授業中。
先生が黒板に文字を書いている。
俺はノートを取ろうとしていた、取ろうとしていたんだ、本当に。
だけど――。
こくっ、視界が揺れる、必死に耐える。
しかし、こくっ、限界だった。
数秒後――。
「すぅ……」
小さな寝息が漏れる、完全に眠っていた、その様子に近くの生徒が気付く。
「なぁ」
小声が響く。
「あいつ寝てるぜ」
別の生徒が振り向いた。
「マジだ」
「授業中だぞ?」
少し離れた席からも声が聞こえる。
「あいつ、アル・シンセリティじゃないか?」
「頭いいからってサボりかよ」
「筆記だけできるやつって感じだよな」
くすくすと笑い声が広がる。
「実技は最下位なのにな」
「余裕あるんだなぁ」
「羨ましいよ」
言葉だけ聞けば褒めているようだ、だが声には明らかな嫌味が混じっていた。
それでも――。
「すぅ……」
当の本人は起きない、完全に寝ていた。
昨日の修行では身体強化の制御が上手くいかず、何度もやり直しをさせられた、結局寝たのは深夜、そんな状態で耐えられるはずがなかった。
「おい」
先生の声が響く。
教室が静まる。
「アル・シンセリティ」
返事はない。
「起きろ」
それでも返事はない、教室中の視線が集まる。
そして――。
「アル・シンセリティ!!」
先生の怒声が教室に響き渡った。




