第十三話 魔力
「面白いな、お前」
ライスの言葉に、アルはきょとんとした。
「え?」
「もう一度聞くが」
ライスは腕を組む。
「本当に魔法は使えないんだな?」
「はい……」
アルは苦笑した。
「火もまともに出せません」
「授業でも毎回失敗します」
ライスは少し考え込む、そしてアルの周囲をゆっくり歩き始めた。
「なるほどな……」
何かを分析するような目だった。
「アル」
「はい」
「お前は魔法が苦手なんだ」
アルは首を傾げる。
「魔法が……ですか?」
「そうだ」
ライスは頷く。
「勘違いしているようだが、お前は魔力そのものが弱いわけじゃない」
「むしろ逆だ」
アルの目が見開く。
「え?」
「魔力操作自体はよくできている」
「少なくとも同年代では上位だろう」
「さっきの放出も普通に出来ていた」
アルは信じられないという顔をした。
今までそんなことを言われたことがなかった。
「だが」
ライスは続ける。
「魔法として形にする工程が致命的に下手だ」
「魔力を集める」
「循環させる」
「放出する」
「そこまではできている」
アルは黙って聞いていた、確かに思い当たる節がある。
どれだけ練習しても、どれだけ知識を身につけても、最後の一歩で失敗するのだ。
ライスは顎に手を当てる。
「そういえば」
「俺と目が合った時魔視を使っていたな?」
アルは即答した。
「はい」
ライスの眉が少し動く。
「使えるんだな」
「え?」
「いや」
ライスは続きを促した。
アルは当然のように答える。
「魔法観察には必須テクニックですから」
魔視。
魔力の流れを見るための技術、確かに難度が高いとされる技術だ。
それでも他の魔法に比べれば難なく使えるようになっていた。
ライスは思わず額を押さえた。
「……なるほどな」
「?」
アルは意味が分からない。
だがライスの中では少しずつ答えが見え始めていた。
魔法が使えない少年、しかし膨大な魔力を持つ、魔力操作もできる、そして魔視まで習得している。
普通ならあり得ない。
ライスはアルを見つめる、その目には先程よりも強い興味が宿っていた。
「アル」
「はい」
ライスは静かに言った。
「お前、自分が思っているほど落ちこぼれじゃないかもしれんぞ」
アルは思わず目を丸くした。




