第十二話 夢
「君はなぜ強くなりたい?」
ライスの問いに、アルは迷わなかった。
「誰かを守れる人になりたいからです」
ライスは黙って聞いている。
アルは続けた。
「父さんと母さんみたいな強くて、困っている人に手を差し伸べれるようになりたい」
「そして俺は」
一瞬躊躇う、子供の頃から抱き続けてきた夢、それを口にしようとした瞬間、小さい頃焦がれてた両親の背中がよぎった。
俺は決意を強く持つ、そして言葉にした。
「俺は王になりたいんです」
演習場に静寂が流れる。
ライスは何も言わない。
アルは言葉を続けた。
「人間も魔族も関係なく助けられる人になりたいんです
「だから強くなりたい」
「そしていつか――王になりたいんです」
ライスは腕を組んだ、しばらく何も言わない、ただ考え込むように目を閉じる。
やがて――。
「なるほど」
そう呟いた、そして突然話題を変える。
「アル」
「はい?」
「魔力の放出はできるか?」
アルは首を傾げた。
「放出ですか?」
「そうだ」
「魔法じゃなくていい」
「魔力そのものを外へ出してみろ」
アルは少し考える、魔法はできない、だが魔力を集めること自体は何度もやってきた。
「やってみます」
ライスは数歩下がった。
アルは目を閉じる、体内の魔力を意識する、流れを感じる、そして限界まで魔力を練り上げた。
「――っ!」
次の瞬間。
辺りは高濃度の魔力に包まれた、訓練場の空気が変わる、魔法ではない、だが確かに膨大な魔力が放出されていた。
ライスは目を細めた。
驚いている。
いや――感心しているようにも見えた。
「ほう……」
小さく呟く。
「な、何か変でしたか?」
ライスはしばらくアルを見つめていた。
そして――。
口元にわずかな笑みを浮かべる。
「いや」
「面白いな、お前」
その言葉には先程までなかった興味が含まれていた。
まるで――。
何かを見つけたかのように。




