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リバースキング  作者: ちゅんちゅん
第一章 学園編

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第十一話 ライス

翌日。


アルは校舎の奥にある訓練棟へ向かっていた、その目的は一つ、ライス先生に会うためだ。


「ライス先生か……」


歩きながら呟く、学園の生徒なら誰もが知る名前だった。


ライス。


魔法学園の教師、年齢は四十代ほど、実力は学園でもトップクラス。


そして――。


厳しいことで有名だった。


「去年の卒業試験で半分を追試にした」

「訓練中に泣き出した生徒がいる」

「妥協を一切許さない」


そんな噂は数え切れないほど聞いている。


中には――。


『ライス先生の授業を受けた次の日は筋肉痛で起き上がれない』


なんて話まであった、アルは苦笑する。


「怖い人じゃなきゃいいんだけど……」


そして訓練棟の最奥、大きな演習場へ辿り着いた、中では一人の男性が木剣を振っていた。


ヒュン、ヒュン、無駄のない動き。


ただ素振りをしているだけなのに圧倒される。


男性は整った黒髪を後ろへ流し、鍛え上げられた体をしていた。


清潔感のある顔立ち、四十代とは思えないほど若々しい。


しかし、その瞳には長年の経験を積んだ者だけが持つ鋭さがあった。


アルは思わず息を呑む。


(この人が……)


木剣を振っていた男性が動きを止めた、そしてゆっくり振り返る。


視線が合う、一瞬だけ緊張が走った。


やがて男性は木剣を肩に担ぎながら口を開く。


「校長から話は聞いている」


落ち着いた声だった、威圧感はない。


だが自然と背筋が伸びる。


「君がアルか」


アルは慌てて頭を下げた。


「は、はい!」

「アル・サクリファイスです!」


ライスはアルをじっと見つめる、まるで何かを確かめるように。


しばらくして小さく頷いた。


「なるほど」

「思ったより普通だな」


「……え?」


アルは間の抜けた声を出した。


ライスは少しだけ笑う。


「得意魔法がない」

「それでも魔兵団を目指している」

「校長から聞いた時はもっと変わり者かと思った」


「ひどくないですか!?」


思わず反論するアル。


ライスは肩をすくめた。


その様子を見て、アルは少しだけ緊張が解ける、だが次の瞬間。


ライスの表情が真剣なものへ変わった。


「さて」


演習場の空気が引き締まる。


「まず確認しておこう」


ライスは真っ直ぐアルを見る。


「君はなぜ強くなりたい?」


その問いに、アルは迷わなかった、胸の奥にある答えは決まっている。


両親のように、誰かを守れる人になるために、そのためにここへ来たのだから。

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