第百六話 入団試験
入団試験を受けることになった俺達はアステラの団員達に案内され、しばらく歩いた。
やがて一行は広大な草原へと到着した、見渡す限り障害物はなく、戦闘にはうってつけの場所だった。
「うちの試験内容は単純だ」
団員達の前に立ち、リーダーが説明を始める。
「パーティ内から一人、戦いたいやつを選べ」
「そいつに勝てば合格だ」
リーダーはニヤリと笑う。
「まぁ無いとは思うが」
リーダーは自分を指差す。
「俺に勝てばリーダーの座をやる」
俺はは静かに魔視を発動する、アステラの団員達から放たれる魔力を観察した。
(ムウほどじゃない……)
(でも)
(誰にも勝てる気がしない)
キャリーは気まずそうに言う。
「でも、ここで何もしないで帰るのは悪いし……」
リバも諦めた様に言う。
「ダメ元でやるしかないみたいだな……」
すると一人の団員が大声を上げた。
「おーい!」
「早くしろー!」
団員は笑いながら手を振る。
「悩んでるなら俺とやろうぜ!」
「……」
「アル?」
俺は前へ出る。
「悩んでても仕方ない」
俺はその団員を指差した。
「俺はそこの人とやる」
団員は楽しそうに笑った。
「おっ!」
「来たな!」
周囲から声が飛ぶ。
「ちぇ、俺がやりたかったのに」
「ペイシェンス!負けんなよ!」
「師匠の息子だぞ!」
ペイシェンスと呼ばれた男は肩を回した。
「安心しろ!」
「俺の力を見せてやるぜ!」
リーダーが口を開く。
「ペイシェンス」
「ん?」
「油断するなよ」
リーダーの表情が少し真面目になる。
「そいつはカーレッジさんの息子だ」
団員達が静かになる。
「ただ手は抜くなよ?」
ペイシェンスは笑った。
「分かってるよ、リーダー」
ペイシェンスは腰の剣を軽く抜き、感触を確かめる、そしてアルへ向き直った。
「一応ルールだ」
「武器や魔法は何でも使っていいぞ」
「ああ」
「相手を行動不能にするか、降参させた方の勝利」
ペイシェンスは構える。
「準備はいいな?」
俺も剣を抜く。
「ああ!」
風が草原を吹き抜ける、キャリーは息を呑み、リバは拳を握り締めた。
リーダーは二人の間に立つ。
そして――
片手を振り下ろした。
「始め!」




