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リバースキング  作者: ちゅんちゅん
第三章 影の調停者編

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第百話 熱

黒砂の魔窟の中、俺達は眼前に広がる黒い砂の前まで来ていた。


俺はが立ち止まり魔視を発動する。


「……魔力反応がある」


その言葉にキャリーとリバも身構えた。


「この先に魔物がいる」


リバは少し驚いた顔をする。


「魔視使えるんだ!?」

「凄いな!」


そして期待したように続けた。


「それで、どのくらいの強さなんだ?」


俺は魔力を探る、だが、その表情は少し険しかった。


「それが……」

「この先の黒い砂の下から複数の反応がある」

「恐らく砂の中に潜んでいるんだろう」


キャリーが辺りを見回した。


「隠れてるってこと?」


「……多分」

「恐らく砂喰らい(サンドイーター)だ」


リバの顔が引きつる。


「うわ、よりによってかよ……」


俺は続ける。


「この先を通る獲物が砂の上を歩いた瞬間に襲うつもりなんだろう」

「完全な待ち伏せだ」


キャリーは前を見る。


「それなら先手を打った方が良さそうね」


「ああ」


アルも同意した。


「広範囲高威力の魔法が理想だが……」


そしてリバを見る。


「リバ、お前はどうだ?」


リバは気まずそうに目を逸らした。


「いや……」

「俺には得意魔法が無いって言ったろ?」

「普通の魔法なら使えるけど、高威力なのは無理だ」


俺は少し考える、そしてすぐに作戦を立てた。


「分かった」

「キャリー、できるだけ広範囲の水魔法を」

「リバはそれに雷魔法を重ねて威力を上げてくれ」


二人は頷く。


「了解!」


「わ、分かった!」


次の瞬間キャリーが手を前に出した。


「水魔法――」


大量の水が出現する。


洪水水流フラッドウォーター!」


激流が黒砂の上を駆け抜けた、続いてリバが両手を突き出す。


「雷魔法!」


青白い電撃が水面へ走る。


雷撃サンダーボルト!」


バチバチバチッ!!


水を伝い、広範囲へ電流が流れた、その瞬間だった。


ズボォッ!!


砂の中から巨大な口が飛び出す、さらにもう一体、そしてもう一体。


「出た!」


キャリーが叫ぶ、サンドイーター達は苦しそうに身をよじっている。


「アル!」


「ああ!」


俺は身体強化を発動し、地面を蹴る。


凄まじい速度で砂の上を駆け抜けサンドイーターを横一文字に斬る、一体目が真っ二つになる。


さらに加速。


二体目、三体目、鮮やかな連撃。


「三体目!」


俺は叫ぶ。


「残り二体――」


その時だった。


ズルッ、足元が滑る。


「――っ!?」


俺の身体が大きく傾く、転倒、砂の上へ転ぶ。


「……?」


刹那、俺を違和感が襲った、何かがおかしい、足の感覚がない。


いや、感覚が――


(熱い!)


「っ!!」


思わず顔を歪ませる、俺は即座に魔力を練る。


「転移魔法!」


魔法陣を出し、光が弾ける、次の瞬間にはキャリー達の隣へ戻っていた。


リバが目を丸くする。


「?」

「おい、どうしたんだよ?」


俺は痛みに耐えながら両足を魔視で見る。


「っ……!」

 

靴の下、特に足底部そくていぶの火傷が酷かった、爛れて靴と皮膚がくっついている、無理に脱げば皮膚が剥がれるだろう。


俺は二人に歯を食いしばりながら説明する。


「やられた……」


苦しそうに言葉を吐く。


「この砂……」

「ただの砂じゃない」


リバは黒砂を見る。


「え?」


俺は座りながら続ける。


「熱を帯びてるんだ」


その言葉に二人は息を呑む。


「だからキャリーの水魔法で冷やされた場所では平気だった」

「でも冷やされていない場所は違う」


俺は拳を握る。


「くそっ……!」


視線の先、残った二体のサンドイーターが再び砂の中へ潜ろうとしていた。


「あいつらはただのサンドイーターじゃない」

「熱に強く適応した亜種だ」


黒砂の魔窟、その名の意味を俺達はようやく理解し始めていた。

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