【御前会議_05】血統という名のタペストリー
時空の狭間。円卓は今日も浮かんでいる。
前回の会議から間が空いた。その間、雇い主はある作戦を練っていたらしい。控え室で、彼はカレシとカノジョを前に、胸を張っていた。
会議前の控え室
カレシ「この前の中継セクターで、閃いたようですが……準備はいかがですか?」
※前回LOG_042【キットカット戦法と逆鱗、そして決闘へ】
雇い主(自信満々)
「うむ。完璧だ。チーズビット大作戦を発動する」
(メモをとるカレシ)
カノジョ「チーズビットで喧嘩するの?」
雇い主「うむ。まあ、見てるがよい」
会議が始まる。
長老、隊長、博士、青年、女将が着席。中央の空席は、前回よりもさらに気配を濃くしている。誰も座っていない。でも、その席だけが、何かを待っているかのように温かい。
壁際ではカノジョが何か食べ、カレシが手帳を開いている。
女将(コーヒーを注ぎながら)
「では、続きを始めましょう。前回の議題——現代と未来を繋ぐ『線』についてです。雇い主さん、考えはまとまりましたか?」
雇い主(メモを広げて)
「うむ。線は——けっとうだ」
壁際で囁く。
カノジョ(小声)「やっぱり、喧嘩するの?」
カレシ(小声)「いえ、違うと思いますが……」
隊長(身を乗り出して)
「ほう、けっとう? いい度胸だ。外に出たまえ!」
長老「隊長、焦るでない。雇い主よ、もう少し詳しく話してくれないか」
雇い主「うむ。康介の家系を線として繋ぐ。その血統だ。紡がれる、康介の血筋。燃えたぎる熱い『血』、だ」
長老「ほほう——康介にそれだけの熱量を込めるというのか。つまり、絶対的『熱量』という私の思想への返答、というわけだな」
青年「いや、血っ……」
(すかさず、青年を見据え次の手を打つ)
雇い主「すなわち、時空を超え同期される、康介のネットワークと言ってよかろう」
青年「うっ、ネットワークか。なる……」
(腕組みをしたままの博士の方を向き)
雇い主「つまり、康介という家系のタペストリーが織り上げられ、現代と未来の思想を繋ぐわけです」
博士「……なるほど。タペストリーという思想の象徴を掲げ、繋ぐか。これなら読者に……」
雇い主「いかにも」
(女将を見据える)
隊長(戦闘モードのまま)「しかし、現……」
(間髪入れず、仕上げに入る)
雇い主「さあ、女将、まとめて頂けるか」
女将「素敵な構想ね。『線』は、康介の血筋をタペストリーとして未来のネットワークに繋げていくということでよいかしら」
一同、うなずく。
雇い主(しゃあー、決まったー!)
カレシ(メモをとる)
カレシメモ:チーズビット大作戦とは――議論の隙間に、ちびっとずつ概念を刷り込ませ合意を得ていく高度戦術と推察。後程要確認
長老(腕を組み、目を閉じて)
「よかろう。康介の血統を線とすること——認めよう。だが——」
彼は目を開け、雇い主を見据えた。
長老「『彼女の』シリーズには、明確な主役を立てないことが基本ルールだと認識している。だが、実質的な主役は誰なのか?」
博士「正確には、読者に委ねていると言えるでしょう。一方、現代と未来での扱われ方の差によっては、読者がついていけなくなる可能性も考えられます」
長老「うむ。気になるのは純だ。『計画』では桁違いの熱量を持った女だ。扱われ方によっては——白紙に戻すこともある」
隊長「まさしく。白紙だ!」
青年「純。あの個性が未来にどう活かされるか。確かに興味深いっすね」
博士「純の書くことへの執念は、未来への伝線になりうる。一方その扱いを誤ればシリーズ全体の構想が崩壊する可能性すらある」
女将「皆さん、では次回の議題は——純のキャラクター設定といたしましょう」
その時、空席の気配が微かに変わった。誰もいない。でも、その席だけが、何かに気づいたように温かくなった気がした。
学生(呟く)
「……なんか、席光ってない?」
監査役(会議室の外から、端末を手に)
「記録します。第4回創生会議——『線』として、康介の血統をタペストリーとして繋ぐことで合意。次回、『純』のキャラクター設定を議論予定。」
──会議後、大作戦の真相が明らかに──
LOG_043【チーズビット大作戦、スポンサーに破れる】
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