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【観測者の時空】番外編『中継セクター』 ―サボり屋カノジョの監査ログ―  作者: Taku
第2章:中継セクター深層ログ

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秘密の隠れ家【SP_004】|「人間は考えるワカメである」

【SP_003】から続く。

秘密部屋の分厚い扉が、勢いよく開いた。


小脇にバインダーを抱えた雇い主が、これ以上ないほどのドヤ顔で入ってくる。


雇い主「カレシ君、できたぞ! 王女様ロマンスの完璧なプロットがね!」


カノジョ「えっ、私もいるのに何コソコソ作ってたの? 見せて見せて!」


雇い主「ふふ、ちょうどいい。心して見るがよい!」



―――――プロット―――――


タイトル:『恋する王女のためのパヴァーヌ――考えるワカメと泳ぐドルフィン――』


舞台はハワイの最高級リゾート。


【登場人物】

王女:気品あふれる完璧王女……と思いきや、実は「難しい言葉を言う=知性」と本気で信じている天然。


召使:完璧な肉体とシンクロ足技の持ち主。ただし思考は完全ロジックロボ。


哲学者:別荘の主。新進気鋭の哲学者。召使の外見優位に対し、知性で勝負をしかけるインテリ・フィロソファー。


① 序盤:魅惑のワイキキ・レッグ

ハワイの最高級リゾートプール。きらめく水面から突如、彫刻のように完璧な一対の「美脚」が突き出る。それは召使による超絶技巧のシンクロ足技だった。


見惚れる王女。「なんて美しく、力強い足かしら……!」


水面から顔を出した召使は、息一つ切らさず爽やかに告げる。


「アロハ、王女様。角度45度、水面上85cmを維持し、毎秒4回の正確なドルフィンキックで浮力を最適化しております」


効率と計算に裏付けられたその完璧な美に、王女は一瞬で恋に落ちる。


② 中盤:哲学者の「知的」な猛追

そこへ、プールサイドに分厚い洋書を広げた哲学者が登場。召使の肉体美に対抗し、知的なマウンティングを開始する。


「フッ……哲学者パスカルは言った。『人間は考えるあしである』と。」


サングラスを引き上げながら続ける。


「迫力と外見の華麗さで魅せるドルフィンの足ではない。静かに彷徨う、そう——ワカメのようにうねる足なのだよ。お見せしよう、実存のうねりを」


格好よくプールへダイブする哲学者。しかし、そこは水深1mの「ちびっこゾーン」だった。


ゴツッ!!!と派手な破壊音。


頭を床に強打し、フラフラと浮上した哲学者は、割れたサングラスをクイッと押し上げてドヤ顔で言い放つ。


「これぞ……折れぬ、葦さ」


王女は「……?(これが……知性というものなのかしら?)派手に頭ぶつけてましたけど」


しかし、王女はこれまでの価値観が、ゆっくりと、しかし確実に揺らぎ始める。


「そう、人は傷つくことで存在を証明する。これが実存なのだよ」

(実存の証明:おにぎり大のたんこぶ)


③ 終盤:夕日の数式と、ウクレレのパヴァーヌ

デートを重ねるうち、王女は召使に物足りなさを感じ始める。

王女「私の作ったツナ昆布おにぎりはどう?」


召使「300キロカロリーです。少量の塩のみが最適です」


王女:「(違う、私が求めていた知性はこれじゃない……!)」


そこへ頭に包帯を巻いた雇い主が、ウクレレで爆音『亡き王女のためのパヴァーヌ』を弾き語りながら猛アタック。

演奏も歌詞もめちゃくちゃ。


しかしその必死さに、王女はついに真理に到達する。


「……そうか。人は泳ぐドルフィンではなく、考えるワカメね!」


④ 結末:水面下のハッピーエンド


王女は召使を置き去りにし、哲学者に抱きつく。


「あなたと、シンクロ(同調)したいわ!」


「お安い御用さ、マイ・スイート・ワカメ!」


二人はちびっこプールにダイブし、水しぶきの中で大団円の幕を閉じる。


―――――完―――――




雇い主「どうだね」


原稿をのぞき込んでいたカノジョは、目をきらきらと輝かせて拍手した。


カノジョ「いいかも!」


雇い主「うむ」


カノジョ「私ね、あの綺麗な王女様のドレスを着て、豪華な晩餐会でクラシックが流れるあのシーンの雰囲気がすっごく気に入っちゃった!」


「うむ。?!?!」


雇い主は深く頷き——それから、ぴたりと動きを止めた。

(……そんな豪華な晩餐会のシーン、プロットに1行も書いてないんだが?)


雇い主の苦悩のコメディプロットはガン無視され、カノジョの脳内では最高級のラグジュアリーロマンスに変換されているようだ。


雇い主「……カレシ君。これで一件落着? かね?」


カレシ「約1.2%の成功確率を突破しました。幸福度は最大値に維持したまま、新章の現実を受け止めるという、極めて難易度の高いアクロバティックを成功させた模様です。……想定外の事例として記録しておきます」


雇い主「……うむ」


(=^ェ^=)(=^ェ^=)(結局、ドレスしか見てなかったね)


カレシ「概ね同意します」


【中継セクターの余白:(=^ェ^=)(=^ェ^=)】

秘密部屋には、脳内で華やかなドレスを着て踊っているカノジョの、ご機嫌な鼻歌だけが優しく響いていた。


──プロット提示後の危うい予兆はこちら──

LOG_036:【人間は考えるワカメである。の続き】

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/3034788/blogkey/3653804/


──『中継セクターX支局観測展示場』──

【人間は考えるワカメである:36】

関連画像を展示中

https://x.com/KEI67266073/status/2067204368479457561



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