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【観測者の時空】番外編『中継セクター』 ―サボり屋カノジョの監査ログ―  作者: Taku
第2章:中継セクター深層ログ

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対戦Code_001:返事の文字数分析——コミュニケーションの無駄コスト

【分析と結論】

……中継セクター、通信パッチ監査ログ。

担当:カレシ。※前話SP_001より登場


この社会における『人々の対話ログ』をスキャンした結果、致命的なシステムエラー(処理効率の低下)を検知しました。

原因は明白。「返事の保留時間」および「無駄な文字数」です。


メール送信における「大丈夫」というわずか3文字のテキストに対し、受信側が返信に要した時間は180秒。さらにその前後に、プロトコル上不要な感情記述ノイズが42文字も含まれています。


■ 導き出された結論:


「コミュニケーションにおける遅延と過剰な文字数は、生命維持リソースの無駄コストである。会話ログは最速(0.1秒以内)かつ最小限の文字数(最大2文字)に制限・最適化されなければならない」


これに対し、案内人カノジョより猛烈な不服申し立て(ノイズ)を受理。


「ええーっ!? そんなの絶対ダメ! その返事を待つ『180秒の空白』とか、無駄に見える文字数の中にこそ、切ない気持ちとか余韻が詰まってるんじゃん! 私はそんな冷たい結論、認めないからね!」


不服は却下します。ただし、当セクターの規定に基づき、今回はこの結論をベースに、各自の方法論で実行デプロイ試験を行います。


カノジョ:「そういえば、さっきサークル仲間から飲み会の誘いのメッセージがきてたよね。早速、これで試してみよう!」


カレシ:「望むところです。各自のプロトコルで返信ログをデプロイします」


【実行フェーズの分岐】

ルートA:カレシの冷徹実行(最適化パッチの適用)

会話ログの文字数を一律「2文字以内」、応答速度を「0.1秒以内」に強制固定するプロトコルを実行。

友人グループから「今度みんなで飲み会やらない? いつが空いてるー?」という楽しげなメッセージが届いたログに対し、カレシのプロトコルが最速(0.1秒)で処理を行う。


弾き出されたカレシの応答ログは、

「拒絶」

のわずか2文字。


慌てた友人が「えっ、忙しいの? 旅行の計画も立てたいんだけど!」と気を遣って返してきても、さらに光速(0.1秒)で、

「否」

とだけ切り捨てる。


通信パケットの処理効率は100%を記録。

……しかし、あまりの無機質さと冷酷さに、グループ全体の「熱量」が完全にゼロへ収束。

全員がドン引きして既読スルーとなり、人間関係が急速に冷却されてコミュニティが崩壊しかける致命的なバグ(完全孤立危機)が発生。

システム維持のため、パッチを緊急ロールバック。

──【実行失敗】


ルートB:カノジョのハチャメチャ実行(感情パケットの爆撃)

カレシの「最速かつ最小限」という結論をハチャメチャに解釈。

「文字数を減らすなら、そのぶん1文字あたりのエネルギー密度を爆上げすればいいんでしょ!」と、削られた文字数の隙間に、おにぎり・ラムネ・絵文字・叫び声を内包したバグ感情のパケットを無理やり流し込む。


カレシのプロトコル制限によって、友人からの「飲み会来る?」に対して「了解」の2文字しか返せなくなってしまったカノジョのメッセージログ。

しかし、その「了解」の文字の背景(1文字の隙間)に、カノジョが

「(鮭おに激ウマアアアアア!!ビールでかんぱはーい、やっほほーい!!)」

という過剰なフォントサイズと熱量の絵文字パケットを爆撃。


カレシが排除しようとした「180秒の空白(返信をためらう時間)」の裏側に、このハチャメチャなパッションが奇跡的に吸着。


「たった2文字しか返ってきていないのに、画面の向こうのテンションがうるさすぎて、めちゃくちゃ飲み会に行きたがっていることだけは伝わる」

という異常な重ね合わせ状態が発生。


凍結しかけた空間に劇的な活気が戻り、「おもしろすぎるから絶対来て!」と友人たちが大爆笑で駆動し始める。

──【実行成功】


【得られた知見の獲得】

両ルートの試験結果より、以下の知見を記述領域に同期。


「人間関係の効率化を求めすぎると、世界は凍る。一見無駄に見える『遅延ためらい』や『過剰な文字数(未練)』というノイズこそが、正史を駆動させる絶対的な熱量である。」


カレシ:「……非論理的です。私の完璧な数式が、なぜあなたのデタラメな爆撃に負けるのですか……」


カノジョ:「へへーん! 人間の心は数字じゃ測れないってこと! 私の完全勝利!」


【ログの幕引き】

カノジョは「私の勝ちー!」と大はしゃぎしながら、中継セクターの壁に勝敗表を書き加えている。その指先は、さっきよりもほんの少しだけ、存在の輪郭が濃く、明確になっている。


「……プロセッサが過熱しています。私は少し、冷却プロトコルに入ります」

カレシは淡々と告げ、カノジョに背を向けて手帳を開いた。


現在のノイズ吸着容量、残率65%。──先ほどまで「67%」を示していた文字の羅列が、2ポイント減少して明滅している。


カレシは何も言わず、ただ、すり減った余白の境界線へ、吸い取ったノイズを閉じ込めるための『猫のマーク』を、また一つ、静かに、深く書き加えた。


【中継セクター:正史改変ハック戦績表】

カレシ: 0勝 1敗(論理エラー:効率化による世界凍結危機)

カノジョ:1勝 0敗(特殊効果:ハチャメチャ熱量による世界線救済)


カノジョ:「やったー! 記念すべき第1戦は私の勝ち! ってことはカレシ、次回の分析は私の『超絶クールな分析』からスタートだからね! 覚悟しなさいよ!」


カレシ:「……プロセッサに深刻な拒絶反応が出始めています。非常に、不本意です……」



※本作品の裏舞台は中継セクターLOG_019~LOG_016を参照ください。

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/3034788/blogkey/3642833/


※中継セクターX支局

https://x.com/KEI67266073

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