こころの中で生きる彼女への心境。
土曜日になり、僕は明日行く予定になっている楓の墓参りの準備を始めた。
そこで、僕はあることに気付いた。
楓の遺骨は四十九日までは実家にあるはず。
ということは、それまでは楓の実家にお参りに行けばいい、ということを。
律子もきっと気付いていないだろう。
伝えなくては。
そう思い、再度その旨をメールに打ち込み送った。
返信メールは午後三時ころきた。
僕は最近のさまざまなできごとのせいか、つかれていたようで、いねむりをしている最中だった。
着信音で目覚めて僕は内容を確認した。
それは、
こんにちは!
そう言われてみればそうだよね。
私もかんちがいしてたよ。
じゃあ、日曜日は楓の実家に行く?
というもので、僕は早速、うん。楓の実家に行こうと、いう返信をした。
つづけざまに僕はメールをうち、みせたいメールがあるんだ、そう送った。
すぐに返信は来た。
みせたいメール?なんだろ。だれから?
その問いにはこたえず、
んじゃ、あした律子さん家までむかえにいくのでよろしく。
メールをおくったあと、僕はおもった。
律子さんと二人きりかぁ。
亡くなっていないとはいえ、なんだか楓にわるい気がするなぁ。
楓という存在はいまでも僕のこころの中で生きている。
それなのに…。
白い木製のテーブルに僕はひじをつきながらなやんだ。
でも、すこししてただ、移動を一緒にするだけだ、やましくはないだろう。
とかんがえなおした。
翌日の日曜の朝。
僕は律子にメールをおくった。
昼の一時ころいくから、と。
そして、スマホをテーブルにおこうとした時、着信があった。
画面を見てみると相手は友人の窪田道弘だった。
僕の浮気相手と仲良くなったやつ。
なんだかいやな予感がする。
一応、でてみた。
「おい、慎吾!たいへんだ!!」
「いったいどうしたんだよ。おちつけよ」
「これがおちついていられるか!!お前の浮気相手だった女、さっき、家にいってみたら手首切って風呂場でたおれててよ、それで、救急車よんではこばれたぞ!」
僕はつい、おもったことを口にだしてしまった。
「またか…」
「またか…?またかとはどういうことだ!おまえ知ってたのか?そういうことをする女だってこと」
「まあな」
「なんだよ、知ってるならおしえてくれよ!俺、かなりびっくりしたんだぞ!!」
僕は煙草に火をつけ、一息フーッと煙をはいてからこう言った。
「そんなよけいなこといえるわけないだろ!」
「よけいじゃねぇし!」
僕は再度、煙草をすい、はきながら、
「とにかく、もうあいつはやめたほうがいいぞ?これが友人としての意見だ」
窪田はだまってしまった。
そして、僕はこころの中でこうおもった。
「ザマアミヤガレ!」
と。