僕の「夢」と彼女のいない生活
翌日の早朝に僕は目覚めた。
ベッドの下の床に置いてあるスマホを見ると5:36と表示されていた。
なぜ、こんな早い時間に目を覚ましたのだろう。
そう思った。
僕は体を起して、ベッドとは反対側にあるキッチンに行き、カラカラに乾いた喉を潤すためにコップに一杯水を汲み、一気に飲んだ。
すると、気分はスーッとし生き返ったかのようだ。
それから、今日も仕事か、と思うと気分が重くなった。
今日は仕事から帰って来たら、律子に連絡しようと思っていた。
休みが合う日に楓のお墓参りに行こうかと考えていたのだ。
初七日ぴったりにお墓参りに行けるかどうかわからないので早くてもいいから一緒に行こうと思った。
そして、もう三十分だけ寝ようと思いベッドに横になった。
僕はスッと眠りに入り、夢を見た。
それは、楓が僕に律子を彼女として紹介しているありえない夢だった。
夢の中で僕と律子は交際を重ね、そして結婚したという何とも言い難いものだった。
六時三十分になり、アラームが鳴った。
起きた時、気分は悪くなかった。
それは、楓が既にこの世にいないからなのか、それとも僕が心の奥底でそう願っているのかはわからないが、罪悪感はなかった。
まあ、夢の中での出来事だからと思い、気にしないことにした。
僕は、起きて仕事に行く準備を始めた。
早く目覚めたせいか、少しリズムが狂ったように感じられ、でも、七時四十五分には工場に着いていた。
僕はいつも通り業務をこなせるまでに復活している自分に気付いた。
そして、午後六時になり終業時間を迎えた。
僕はすぐにトイレで着替えて、自宅へと帰った。
それから、林律子にメールを打った。
お疲れさん。
律子さんは今度いつ休み?
僕は毎週土日が休みだよ。
今度の休みに楓の墓参りに行かないか?
短文だが、送信した。
律子は生命保険会社の営業を担当している。
たまにだが、土曜日か日曜日のどちらかも仕事をしている日が訊いた話しではあるらしい。
基本は土、日が休みのようだ。
キッチンに立ちながらメールを打っていた僕は、アップルジュースを冷蔵庫から出し、コップに一杯飲んだ。
送信してから約三十分が経ち、返信が来た。
本文は、
お疲れ様~。
今週は日曜日なら休みだよ。
楓の墓参りね、初七日にいけないかもしれないものね。
それはそうと、通夜以来会ってないけど少しは元気になった?
という内容のものだった。
心配してくれるのはいつも、楓より早く気付いてくれる律子だった。
なぜ、そんなに心配してくれるのだろう。
楓が心配してくれるのはわかるが。
それから、今度は一口、ジュースを口に含み、返信を打った。
じゃあ、今週の日曜日の昼からでも行こう。
うん。何とか立ち直ったよ。
また、短文だが送った。
それからはメールは来なかった。
きっと了解したのだろう。
今日が水曜日だから、もしかして初七日を過ぎるのか?
日付を計算してみると何とか大丈夫なようだ。
こうして、僕は楓のいない生活が始まった。
若干、不安はあるが…。




