魔王決戦 終盤
ロビンが高笑いをする。
「さあ、どこからでもかかって来い!」
しかし誰一人かかるものはいない。じりじりとロビンとの距離をつめている。
「かかってこないならこっちから行くぞ!」
間髪を入れずロビンの右足がピクリと動いた。次の瞬間、コルビンは恐怖した。一瞬で敵が目の前に現れたからである。
「容赦はしない!」
コルビンの腹に剣が突きたてられる。引き抜かれた剣には血がべったりとついていた。
「僕は民間人ですよ!こんなことあっていいんですか!」
「勇者のパーティと同行している時点でただの民間人ではない!」
「回復、その10!」
腹の傷がみるみる収まっていく。しかし最後の最後で回復が至らず、再び傷口がぱっくりと開いた。
「ぐわあっ!」
「ロビンの剣の味、思い知ったか?回復魔法による治癒を半分に引き下げる効果があるこの妖刀を?」
「コルビンさん!」
途端に目の前がぼんやりとしてくる。名前を呼ばれてもどこか遠い。カロナが慌てて回復魔法を連打しているが、コルビンの傷口を癒すには及ばなかった。
「こんなところで……」
「おのれ貴様!」
サヤが激高している。柄から剣を引き抜いた。本気である。
「おいサヤ!頭に血がのぼってるぞ!落ち着け!」
イシワタリの言葉も耳には入らないようだ。カイトも剣を引き抜く。
「カイトまで……」
「イシワタリ、私達に最大限の補助魔法をかけてくれ。素早さと防御力、攻撃力があがるやつを!」
「……わかった」
薄れ行く意識の中で、コルビンは違和感の正体を突き止めた気がした。
「勇者ロビンは……魔王だ」
「今、なんと?」
「これは勘に過ぎないけれども。あいつは仲間を連れていない。1人でナシフ村に潜入し、ずっと様子を伺っていたんだ」
イシワタリがコルビンを抱き起こす。
「魔王を倒してくれ……」
「おい、しっかりしろ!」
民間人にはやはり魔王は強すぎた。そう後悔する気持ちの中、コルビンは猛烈な眠気に襲われた。
カイト、サヤ、アニーとエルマ、イシワタリ、カロナ。全員が一丸となって戦っている。コルビンが次に気がついたとき、カイトが高らかに宣言していた。
「ロビン、討ち取ったり!」
これでナシフ村は平和になる。ここまでやってきた甲斐があったというものだ。何事にも犠牲はつき物。今回こんな結果に終わってしまったが、目標は達成したのである。村のみんなも喜ぶだろう。
「しっかり、コルビン!」
「すぐに村まで運ぶからな!助かるぞ!」
みんなの顔を見ながらも、コルビンはきてよかったと思えるようになった。そしてすべてが暗転した。




