第11話 地雷ポエムの断罪 1
注意 この地雷ポエムは作者がワザと文才なしの描いております。作者文才なしとか評価しないでください。
Club Phantom Rougeの地下サロン。
冷徹な真紅の絨毯の上で、レム判事とレンブラント中佐は並べられた豪奢な椅子に優雅に腰掛けていた。
白ジャケットのレム判事は足を組み、磨き抜かれた革靴の踵をユウキの右肩へ静かに乗せている。黒ジャケットのレンブラント中佐は、チェック柄のネクタイを弄びながら、もう片方の革靴の爪先をユウキの後頭部へ軽く押し当てていた。
床に這いつくばらされ、二人の紳士に完璧に踏みつけられた姿勢のまま、ユウキの目の前にスマートフォンが突き出される。
「さあ、ジラエッティ」
レム判事が菫色の瞳を細め、鈴を転がすような美声で促した。
「貴女の珠玉の自己表現です。自らの声で、心を込めて朗読なさい。詰まったら……中佐の靴底がもう少し深く沈むだけですよ」
「ひっ……うぅ……っ!」
ユウキは屈辱と恐怖で全身を震わせ、涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔を画面に向けた。震える声が、地下の静寂に無様に響き渡る。
「『……あ、青い空、私のなみだ色……。
お金なんて、ただの紙切れなんだからね……!
奪うんじゃない、愛のギブ&テイクなの……。
私は……私は、選ばれし孤独のシンデレラ……!
バカな友だちが、私に貢ぐのは、宇宙の真理……。
残高ゼロは、世界が私に追いついてない証拠……ぴえん……』」
あまりの語彙力のなさ、壊滅的なリズム感、そして都合の良い被害者意識が煮詰まった怪文書。
読み終えた瞬間、室内に乾いた沈黙が落ちた。
「……酷いな」
レンブラント中佐が心底うんざりしたように息を吐き、足元の頭部を靴底でグリッとわずかに踏み込んだ。
「文才の欠片もない。小学生の自由帳にすら劣る語彙のパレードだ。『宇宙の真理』からの『ぴえん』とは何だ? 盗っ人猛々しい寄生虫の癖に、悲劇のヒロインを気取るその浅ましい知能指数には吐き気すら覚えるよ」
「ええ、まさに知性の不法投棄ですね」
レム判事が涼やかな笑みを浮かべ、肩を踏みつける踵にじわりと体重を乗せる。
「『お金なんてただの紙切れ』と言い放ちながら、他人の口座の数字には異常な執着を見せる。自身の無能と空っぽなプライドを『孤独のシンデレラ』という手垢のついた言葉で誤魔化す様は、滑稽を通り越して哀れな見世物です」
「ひぎゃあっ! ごめんなさぁい! もう言わない、もう書かないからぁ!!」
「勘違いしないでいただきたい」
レム判事は冷徹な菫色の瞳で、床に潰れるユウキを見下ろした。
「我々は貴女に反省を求めているのではありません。ただ、社会へ実刑として引き渡す前に、その見苦しく膨らんだ空洞を綺麗に破裂させているだけです」
「自分の書いたゴミの味は格別だったろう、0円女王様」
レンブラント中佐の冷たい嘲笑が頭上から降り注ぐ中、ジラエッティの誇り高き虚栄心は、一欠片も残さず粉々に解体されていた。




