第13話 爽やかにはじける
スパイス屋さんで欲しいスパイスを調達し、帰ってきたわたしはそのまま厨房へ。さて、これがあるとジャンクな感じになって・・・背徳感が増すよね。
材料は次の通り。
・水:500グラム
・黒砂糖:500グラム
・シナモンスティック:3~5本(手で割っておく)
・クローブ(ホール):70粒ほど
・カルダモン(ホール):30粒ほど(半分に割っておく)
・リモーネ:2個
・ライム(これは地球と変わらないね。):1個
・薄い布の袋:1個(ひもなどで口を閉じれるもの)
まず、スパイスを薄い布の清潔な袋に入れて、口を紐でしっかり閉じる。
鍋に水と黒砂糖、スパイスの入った袋を入れて、中火にかける。黒砂糖が溶けきるように混ぜながら。沸騰したら弱火にする。
リモーネとライムを入れて、火加減はそのままに10分ほど煮詰める。
そのあと火からおろし、冷ます。冷めたら瓶に移し、冷暗所で一晩寝かせる。今回も当然のごとく魔法で短縮。
あとはあれ、錬金術のお店で手に入れた、炭酸石を冷たいお水に入れて、強めの炭酸水を作る。グラスに透明な氷を砕いて入れ、できたシロップ1:炭酸水4の割合で入れてマドラーで軽く混ぜる。
ごくっ
「っぷはー!これこれ、クラフトコーラ、強めの炭酸がピタパンには合うよね。追いリモーネしても美味しい!」
よし、これで大工さんたちへの差し入れができた!喜んでもらえるかな?
そして、工事当日となった。それまでに荷物を片づけたり、家具屋さんに行って、必要な家具を購入したり、準備を進めていった。工事はなんと、一日で終わるらしい。魔法ってすごい。繁忙期からはずれているので、一気に工事できてしまうそう。あ、来たみたい。ジャックスさんと15人の大工さんたちがやってきた。よかった、ピタパン足りそう。
「おはようございます!今日はよろしくお願いします。」
「おう、おはよう。こちらこそ、よろしくな。」
「はい!あ、お願いされていた件ですが、お昼ごはんに作ってみたので、もしよかったら、食べてください。差し入れです!」
ジャックスさんたちは、嬉しそうな顔をして、
「ありがたい!こりゃ、昼が楽しみだな。よし、工事始めるぞー!」
と言って、建て替え工事が始まった。跳ねる小鹿亭の建物がどんどん壊されていく。なんだかしんみりする。しっかり目に焼き付けておこう。
あっという間に解体され、土台ができ、柱が建っていく。骨組みができたところでお昼の時間に。
「みなさーん、お疲れ様です!お昼ごはん、こちらに用意してます。」
そう言って、畑予定のところにレジャーシートの代わりになる敷物を敷いて、腰かけられるようにしておく。
全員が揃ったところで、ピタパンとクラフトコーラをそれぞれ取りに来てもらう。行き渡ったところで、
「お昼ごはんは、ピタパンと言う薄いパンに、プルドポークと言うほぐしたオーク肉とザワークラウトと言うキャベの漬物を一緒にいれたものと、特製ベーコンのBLTサンドです!手軽で、食べ応えのあるもの、というリクエストにお応えしました。あと、今日は少し蒸し暑いので、爽やかになる、とっておきのドリンクも一緒です!」
ジャックスさんは、
「うまそうだな、ありがとよ。さて、食べるか!」
それを聞いて、待ってましたと大工さんたちがピタパンにかぶりつく。
「うまいっ!!肉も野菜もあって、食べ応え抜群だな!」
「ベーコンってこんなにうまいんだな・・・。トマにもレシュタにも合う。」
うまいとみんなが口にし、モリモリ食べていく。
「このドリンク、黒いが、どれ試しに・・・ごくっ!!?っぷはーっ、なんだこれは!?舌がピリピリするぞ!?」
わたしは笑いながら、
「その飲み物は、コーラって言って、しゅわしゅわする飲み物です。これ、ピタパンにすごく合うんです。」
「たしかに・・・、ピタパンのあとにこの飲み物を飲むと、たまらんな。爽快な感じがする。それにしゅわしゅわがエールに近いな。」
それを聞いて、ほかの大工さんたちもコーラを飲み始めた。
一人の大工さんが、
「すまない、おかわりあるか?」
「ありますけど、そんなに数がなくて・・・。」
それを聞いて、大工さんたちは立ち上がり、
「よし、お前ら、勝負だ。」
と、地球で言う、じゃんけんを始めた。なかなか白熱している。じゃんけんの勝者が決まり、おかわりを受け取り、うれしそうにかぶりついていた。美味しく食べてもらえてよかった!
お昼ご飯を食べ終わり、工事を再開した。大工さんたちは、お昼ごはんのおかげか、朝よりも力が湧いているように見えた。途中、わたしに意見を聞きながら、大工さんたちは仕上げていった。夕方になるころに、わたしの店舗兼住居が完成した!カントリー調のかわいい建物だ。
「よーっし、これで完成だ!どうだ、良い感じだろう?早速中も確認してくれ。」
とジャックスさん。
「はい!確認してきます!」
そう言ってドアを開け、中に。一階は店舗となっており、クラシックレトロな感じもありつつ、ドールハウスのようなかわいさもある。
「すごい、理想のままだ!よし、二階も・・・。」
わくわくしながら階段で二階へ。そこも一階と同様にわたしの理想がつまった、素敵な部屋となっていた。外へ出て、待っていたジャックスさんたちに、
「見てきました、一階も二階もわたしの理想通りです!みなさん、本当にありがとうございました!!」
「喜んでもらえて、よかったよ。美味い昼飯もごちそうになったしな。」
わたしはすっかり忘れていたことを思い出した。
「あ、ピタパンなんですが、おひさまパン屋さんで取り扱ってくれるそうです。具材は皆さんで用意する必要がありますが、いつでも食べられるようにしてもらいました!」
これを聞いた大工さんたちは喜んで、
「やった!これからもあの美味いやつが食べられるんだな。」
「食べ応えあって、手軽だしな。しかも好きな具材を入れることができるのが良いな。」
わたしは大工さんたちに手伝ってもらい、買った家具を設置していった。
「今日は本当にありがとうございました。お店も早めに始めることができそうです。」
そう言うと、
「こちらこそ、良い仕事をさせてもらった。また、何かあれば、いつでもうちに来てくれよ。それじゃあ、またな。」
「はい、ありがとうございます、お店にも遊びに来てくださいね。」
ジャックスさんたちは帰っていった。
家に入ると、新しい木の香りがして、新しい生活が始まるのだと感じさせてくれた。落ち着いたら、ダンさんとアニエスさんに手紙を出そう。新しい、わたしのお店が建ちましたって。
その夜、わたしは机にむかってお店のコンセプトやメニューなどを考えていた。どんなお店にしたいのか、ぐるぐると思考が回って、わからなくなっていた。
「あ、そうだ、テラ様に相談しよう。今日のお供えもしなくちゃだし。」
神棚に、ピタパンとクラフトコーラをお供えし、
「テラ様、今日もありがとうございます、素敵なおうちができました。」
〈カエデ、今日もお疲れ様!早速いただくわね。〉
テラ様がそういうと、ピタパンのお皿とクラフトコーラが光り、消えた。
〈それじゃあ、いただきまーす♪もぐもぐ・・・うーん、やっぱりカエデの料理は美味しいわね!お肉も野菜も摂れて、いい感じ。BLTは安定の美味しさね。〉
美味しく食べてもらえたなら、わたしもうれしいです。
〈さて、相談って何かしら?何か悩み事?〉
「はい、実はどんなお店にしたいのか、考えがまとまらないんです。あれもこれもといろいろ浮かんできて・・・。」
それを聞いて、テラ様は、
〈そうね・・・カエデはいろんな料理を知っているわね。この4ヶ月、いろんな人たちにふるまってきたわね。そんな時、どう思った?〉
「みんな喜んでくれて、わたし、すごくうれしかったです。」
テラ様は微笑んだ雰囲気で、
〈そう、それでいいんじゃないかしら。誰かに喜んでもらえる、それが一番大事だと思うの。〉
「!!!そうですね、わたし、どうしてそんな大事なこと忘れてたんだろう?あ、そうだ、これなら・・・!」
〈何か思いついたみたいね。よかったわ。〉
「はい、ありがとうございます!わたし、決めました、お昼はパティスリー、夜はバーをします!実は子どものころの憧れだったんです、パティシエールになるの。それから跳ねる小鹿亭みたいな、いろんな人に立ち寄ってもらえる、居心地が良いって思ってもらえる、そんなお店に。」
〈すてきね、わたくし、応援してるわ。そういえば、ダークエルフの騎士となんだかよい感じじゃない?どう思っているの?(ワクワク)〉
「え?ランスロットさんですか?とても親切な方ですよ。この前も買い物のあとに会って、荷物を持ってもらったんです。」
〈(キャー!いいじゃない、いいじゃない!!)そうなのね、きっと彼、あなたが気になっているのよ。〉
「そんなまさか~。ランスロットさん、素敵な方だから親切にしてくれているだけで、そんなことないと思いますよ。わたしよりきれいで素敵な女性、たくさんいますし。」
〈(これは意識改革も必要ね・・・)それこそ、そんなことないと思うけれど・・・。って、もういい時間じゃない、そろそろ休みなさい。明日から、お店のオープンに向けての準備をするんでしょう?〉
「はい、そうですね、頑張ります。それでは、おやすみなさい。」
〈おやすみなさい、良い夢を。〉
テラ様との交信を終え、わたしはベッドに横になり、すぐさま眠りについた。明日から忙しくなるぞ、わたしの素敵なお店にしていくぞ!そう、決意した。




