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11話:フラグはたてないようにしましょう

お久し振りです!

この話を忘れていたので10話まで修正しました。

「二人にお願いがあるんだ」

満腹亭に食堂での食事中、俺は一ノ瀬と亜里沙にお願いがあると食事を中断させた。


「何を急に?」

急に真面目な顔をした俺に一ノ瀬が怪訝そうにしている。


亜里沙といえば……

「おい、ちょっと話を聞いてくれないか」

「はむ、あぐっ、おむ……むっ、どうひぃたひょ? ひゅーひゅん(どうしたの? るーくん)」

一応顔は俺に向いているが食べる手をいっこうに止めない。

まぁ、いい。亜里沙が食べ物を一度食べ物を食べたら無くなるまでやめることはないのは知っている。俺は気にせずに話始める。


「ゴホンっ、……お願いというのはだな――俺をお前達の依頼に連れていってほしいんだ」

そう。俺のお願いとはこの事だった。

ギルドのルールでは俺が受けられる依頼は自身のGランクの一つ上、Fランクまでと決まっている。だが、俺よりもランクの高い者と一緒に依頼を受ければその者のランクの一つ下の依頼――つまり、一ノ瀬と亜里沙のCランクの下のDランクまで俺は受けることができることになる。Dランクといえば平均的な冒険者と同じ依頼を受けられる事になる。

物語の勇者等とは比べ物にならない低レベルの依頼だが、一般人以下の俺にとっては十分冒険してるといえる。


「は……はぁ、何言ってんのあんた」

だから、俺の力を知っている一ノ瀬が険しい顔をするのは当然の事だった。

「あんたそれ冗談よね。ヒモなんて職業でGランクのあんたがDランクの依頼を受けるなんて無茶よ」

俺達の初依頼、ゴブリン3体の討伐。このFランクの依頼は俺一人ではできなかったと思う。恐らく俺の実力はいけてゴブリン2体並みだ。そんな俺が更に難易度の高いDランクに挑むなんて一ノ瀬の言うとおりはっきり言って無謀だ。


「わかってるよ。……でも、俺はこのまま薬草の採取を行う毎日は嫌なんだよ」

「それはしょうがないでしょ、あんたがそれだけの実力しかないんだから」

一ノ瀬が正論を言ってくる。弱い者はそのランクにみあった依頼を受けるのが当然だ。

「頼む! 少し冒険しちゃうレベルでいいんだ。何か一つでいいから依頼を受けさせてくれ」

俺は二人に対して頭をさげる。


「ちょっ、ちょっと。頭なんかさげないでよ」

頭上から一ノ瀬の慌てる声が聞こえてくる。

だけど俺は頭を下げたまま動かないでいた。

いや、動けずにいた。

……怪我している。

一ノ瀬の鎧のしたからズボンで隠されていくけど僅かに包帯のような物が見えていた。


「あっ」

俺が何を見てるかを察したのだろう。一ノ瀬は一瞬戸惑った声をあげたが直ぐに気をとりなおして「これでわかったでしょ」と言ってくる。


「あんたより強い私でもこうして怪我をするの。だから、あんたはおとなしくお留守番してなさい」

一ノ瀬はそう言ってから黙った。恐らく俺が納得したと思ったんだろう。

「嫌だ!」

顔をあげた俺は恐らく先程よりも意思の強い目をしているだろう。

納得? そんなもんなおさらできなくなったわ!


「俺は絶対お前らと依頼を受けるからな」

俺の意思を聞いた一ノ瀬が顔を俯けてプルプル震えている。こりゃかなり怒っているな。


「何で! あんたはそう聞き分け悪いのよ!!」

顔をあげて怒鳴った一ノ瀬は確かに怒っている。

でも――――泣いていた。


「私があんたをこんなに心配しているのに――――なんで、何で自ら……危険に飛び込もうとするのよぉ」

ポロポロ、一ノ瀬の涙が頬を伝い地面に落ちて小さな水溜まりをつくる。


「一ノ瀬……」

俺は涙を流す一ノ瀬に心がギュッと痛くなるのを感じる。俺を心配してこんなに泣いてくれる奴がどれだけいようか。いや、俺が逆の立場でも恐らく同じくらい号泣する。一ノ瀬と亜里沙とはそのくらいの絆を深めてきた。


「――頼む」

でも、だからこそ俺はこの我が儘を突き通す。

何せ俺は最強になれる可能性があるんだ。

それはつまり勇者の一ノ瀬よりも強くなれる可能性があることを示す。もし、俺がこうして日々何もしないでいたら一ノ瀬や亜里沙よりも強い者が敵としていたらその死に際を見ることすらできない。

なら、俺は一ノ瀬達を守れるような自分の力を目覚めさせる。


「あんたは私の言いたいことが――」

一歩も譲らない俺に一ノ瀬が更に怒鳴ろとした時、

「ちょっと待って灯ちゃん」

今まで静かにしていた亜里沙が声を放つ。


「亜里沙あんたはまた伊勢の味方をするの?」

異世界に直前の事を言っているのだろう一ノ瀬に亜里沙は首を左右にふる。


「ううん。亜里沙はる~くんの気持ちも灯ちゃんの気持ちも分かるから両方の味方」

「伊勢の気持ち?」

「うん!」

幼い頃から一緒にいる亜里沙ならば俺の気持ちも理解していても不思議ではない。

なら、

「亜里沙。お前がどうすればいいか決めてくれないか」

ここは両方の視点から物を言える亜里沙に答えを託すのもいいのかもしれない。


「うん。いいよ~」

亜里沙は俺の頼みをあっさりと快諾してくれた。


「え~とね~。じゃあこうしよう!」

亜里沙は手をポンと叩いている。何か思いついたのか?


「る~くんがさっき言ったように一度だける~くんの頼みを聞くの。でもその後は灯ちゃんの言うとおりにする」

「でも待って亜里沙。それじゃあ伊勢の望み通りじゃない」

「うん。だから、依頼の内容は灯ちゃんが決めるの~。自分が指定した依頼なら灯ちゃんもる~くんを守りやすいでしょ~」

なるほど。守られるという所は釈然としないけどこの案は悪いものではないようにみえる。


「うーーん……わかったわ。亜里沙の言うとおりにしよう」

よし! 一ノ瀬も頷いてくれた。


「おお! ありがとう二人とも」

「た、だ、し! 本当に一度だけよ!」

「わかってるって……んで、どんな依頼にするんだ」

受ける依頼を決めるのは一ノ瀬の役目だ。

俺がワクワクして聞くと、

「うん? あ、そうか。私が決められるのよねぇ」

ニヤァ、一ノ瀬が草原で見たときと同じ悪魔のような笑顔を浮かべた。


「な、なんだよ」

ズシリ、思わず一歩下がってしまう。

そんな俺を見た一ノ瀬は更に笑みを深いものにして、


「謎の城探険といきましょうか」

謎の城を探険すると悪魔のような提案……を?


「えっ、何探険!」

何だ何だ。中々心踊る依頼内容じゃないか! たく、驚かせやがって。


「うん。そこなら今まで特に怪我をした人も居ないし、でも突然現れた城だから警戒しないわけにはいかない。安心だけどドキドキできる。どう?」

「おお! 完璧じゃないか」

よくそんな都合のいい依頼があったな。

「じゃあこの依頼受けるのね?」

一ノ瀬は笑みを浮かべたまま聞いてくる。

「おお!」

「この依頼は女性限定だから女装してもらうことになるけどいいのね?」

「おお!」

一ノ瀬は笑みを浮かべたまま聞いてくる。

俺に女装をしろと……

「って、ハァ!」

「いやー、よかった。女性限定の依頼だからあんたは断ると思ったけど……ああ、男の俺は無理だろと思ってるなら安心して。女装すれば化けるであろうあんたならギルドも認めてくれると思うのよ」

一ノ瀬は笑みを――魔王のような笑みを浮かべながら俺に近づいてくる。

手にはいつの間にかに俺の鞄から抜き取った女物の衣類にアクセサリー。



どうやら俺はフラグをバッチし回収してしまったらしい。












依頼は次話に持ち越しです。そしてこの依頼で……

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