10話:逃~げるんだよ~
ちょっと、伏線
特訓するために来た大草原。
風の流れる音やモンスターの唸り声や空を飛ぶ飛行型のモンスターの鳴き声が聞こえるなか、
「うわぁぁぁ、た、たずげてぇぇぇ」
俺は泣き声をあげながら全力疾走していた。その後ろからは数体の人影が迫ってきている。
何でこんな状況になっているのか、それはほんの十分ほど前の事だった。
「じゃあ早速だけど、特訓を始めるわよ」
一ノ瀬は俺と亜里沙の前にたってそう言い放つ。
「おーー!!」
「お~」
俺が喜んでいると亜里沙がのほほんとした声で俺と同じように喜びの声をあげた。
「……って、お前も教える側だろ」
「えへへ~、そうだった~」
亜里沙は頭の後ろに手を当ててにへらと笑う。これから特訓なのに気が抜けそうになってしまう。
「ほら、亜里沙もこっちに来なさい」
「は~い」
亜里沙はとてとてと前にでて一ノ瀬の横に並ぶ。これで教える側と教えられる側とでわかれた事になる。
つまり今度こそ修行が始まるわけだ。
「それじゃあ、先ずは私が訓練をつけるわよ」
最初は一ノ瀬か。なら剣術等接近戦の訓練をするのだろう。
「私が教えるのは接近戦闘。あんたが先ず覚えるべき事よ」
やはり当たってたようだ。……まぁ、鎧を着て帯刀している一ノ瀬の姿から一目瞭然だろう。
「確かに俺も剣でならモンスターを倒せるかもしれないしな」
「そっ、どうせ今のあんたじゃ高レベルのモンスターとは戦えないんだし、戦闘勘を身に付けるためにも実際に戦った方がいいしね」
「なるほど」
どうやら思ってた以上に考えているようだな。それとも一ノ瀬も同じようにしたのか?
「じゃあ先ずは魔力を全身に張った状態で動く訓練をするわよ」
「おう! わかった。魔力を―――えっ」
あっさりと言うものだから聞き流すところだったけど今一ノ瀬は何て言った? いや、勿論聞こえていた。『魔力』一ノ瀬はそう言ったのだ。
「……聞き間違いかな、今、魔力って聞こえたような」
俺はほぼ確信しつつも聞き間違いかと一ノ瀬に確認する。
「はぁ? 聞き間違いじゃないわよ。私が言ったのは魔力、誰もが使えるあの魔力の事よ」
俺の質問に当たり前の事のように一ノ瀬はこたえる。
「……いや、俺、魔力何て使えないんだけど」
地球から来た俺に魔力何てものは勿論あるはずもない。それは一ノ瀬もわかっているはずだ。だが、一ノ瀬はあんぐりと口を開いて愕然とする。
「はぁぁぁぁ!! あんた魔力使えないの! そんな人見たことないわよ」
一ノ瀬は心底驚いたとばかりに大声で叫んだ。
「ねえ、本当に本当ーーに使えないの!」
「……ああ」
何かまずったのだろうか、こうまで驚かれるとさすがに不安になってくる。
「って、てゆーか、お前は使えるのかよ」
魔法を使っている亜里沙は使えるだろうが勇者の一ノ瀬が魔法を使用している所を見た覚えがない。
「使えるわよ。あんたも使っている所見たことあるでしょ?」
「そんな所見たこと……」
いや、そういえば心当たりがあった。この世界に来た初日に熊のモンスターを殴り倒した時とゴブリンの群れを光の衝撃波で薙ぎ払ったあの時、一ノ瀬は普通じゃなかった。恐らくあの時一ノ瀬は魔力を用いて力を発揮していたのだろう。
「嘘だろ。魔法使いの亜里沙は使えるし、一ノ瀬も使える。じゃあ何で俺はつかえないんだ」
「わ、わからないわよ。大なり小なり普通はみんな持っているはずなのに、だから亜里沙も人里の場所がわかったわけだし」
なるほど、その魔力を亜里沙が感知して人のいる所を見つける事ができたのか。
「……て、呑気に考えている場合じゃねぇ、何だ。魔力がないとやばいのか」
「えっ、う、うん。まぁ、無くても平気かもだけど……どうしよう。いきなりつまずいたわ」
一ノ瀬は後半を小さくして俺に聞こえないようにしたのだろうがバッチリ聞こえていた。どうしよう。これ、まじでやばいのではないだろうか。
「そ、そんなに落ち込まないでよ。きっと今は使えないだけよ。魔力ってのはどんな生き物にもあるものなんだし」
「はは、そうだよな」
俺は一ノ瀬に対して苦笑してみせる。
だけど、俺は察していた。先程の一ノ瀬の言い様は魔力があるものはそれを感じられるのが当たり前の言い方だった。でも、俺は何にも感じない。これは俺には魔力がないという可能性が高いという事だろう。
「そうよ。今は落ち込んでいる場合じゃないわ。あんたが魔力を使えないというなら、私が戦闘訓練を、亜里沙には魔力についてあんたに教えさせるわ」
俺が魔力を使用することができないとみるやすぐさま新たな行動方針を一ノ瀬は決める。
流石だな。一ノ瀬は周りの空気を見て、こうすればいいと、判断するのが上手い。
「そう言うわけだけどお願いできる?」
一ノ瀬は隣にいる亜里沙に問いかける。
「いいよ~」
亜里沙はのほほ~ん承諾する。
「それじゃあ頼むな亜里沙」
「うん。じゃあ先ずはぽわぽわをブワーっとして、ギューギューしてシャララーンとすればいいんだよ~」
亜里沙は身ぶり手振りで必死に説明する。
……うん、何言ってるのかさっぱり分からないけど魔力について説明しているとはわかる。
「ちょっと、亜里沙! そんな説明じゃ伝わんないわよ」
一ノ瀬があまりの教え方にびっくりしている。
「え~、そんな事ないよ~。る~くんなら分かるよ~。ねぇ~」
すまん亜里沙。そんなキラキラとした目で期待されても俺もわかんなかった。
「あ~、そうか。お前も詳しい事がわかんないのか」
亜里沙がこうして訳も分からない説明をするときは自分もよく知らないけど俺に教えようとする時だ。恐らく魔力があるというのはわかるけどそれ自体については分からないって所か。
「オーケー、なら、もう一回教えてくれ、次は理解する」
さっきはいきなりでわかんなかったけど、注意して見ればわかるはずだ。幼馴染みの底力を見せてやる。
「うん! 先ずはぽわぽわをブワーっとして、ギューギューしてシャララーンってすればいいんだよ~」
「フムフム、なるほど。大体わかったぞ」
「えっ、うそ!」
亜里沙の説明を理解した俺を一ノ瀬が変な物を見る目を向けてくる。長年の幼馴染みなんだ。何とか理解することくらいできるようになる。だからその引いたような目をやめろ。
「多分だけど亜里沙はこう言いたいんだ。自分の中のエネルギーを一気に放出して、それを無駄なく全身に纏うイメージでやる……あってるか?」
「うわ~、さすがる~くん。あたりだよ~」
「そうか。何とか当たったか。……でも、多分、ていうか確実にそれ失敗するぞ」
俺はこのイメージでは失敗するという確信があった。
「はぁ? 何でよ。イメージとしては悪くないわよ」
一ノ瀬がこう言っているしイメージ的にはあっているのだろう。でも、それでも俺は必ず失敗すると断言できる。
「……だって、それ既に俺やったし」
――そう、俺はこの世界に来た初日、亜里沙の魔法を見たとき自分も使えるかもしれないと暇をみつけては毎日練習していた。やり方は小説等でよくある、自身の内のエネルギーを放出するイメージでやったが結果、何も起きなかった。
「やり方を間違えたんじゃないの。ほら、私がやってみるから」
「そうか、最初からやれと思うけど、見せてくれ!」
俺は緊張と興奮半分の面持ちで一ノ瀬が魔力を使ってみせるのに注目する。
変化は直ぐに表れた。
一ノ瀬体から煙が立ち上るように紫色の何かが溢れてくる。
「うわ、す、すげぇーー」
「まぁ、これは魔力感知できないあんたのために、魔力を認識できるようにした魔法の一種みたいの様な物で本来は感知能力によって感じることはできても魔力は見えないからね」
「へぇー、そういうものなのか! なぁ、もっと見せてくれよ」
緊張も忘れて興奮した俺は一ノ瀬に詰め寄っていく。
「ほら、もっと見せてくれよ」
「もっ、もういいでしょ。それより早くやってみせなさいよ」
一ノ瀬は頬を薄紅色に染めながら思わず俺が握ってしまった手を振りほどいてから見本通りにやれと催促してくる。
「おう! やってみる」
実際にこの目で魔力を感じたんだ。前の魔法時よりもイメージは明確になったはずだ。
「……魔力を少しずつ漏らすように」
俺は瞼を閉じて視界を暗くする。そのまま自分の中の一ノ瀬から溢れでた煙のように魔力を放出しようと全神経を張り詰めて集中する。集中したためかどくどくと緊張によって鼓動が速まる音までハッキリと聞こえる。
「……あっ、あった」
意識の全てが己が内に向いたとき、俺は自分の中に前には感じなかった沸き上がるエネルギーのような物がある事に気づく。
「よかった。ちゃんとできたじゃない」
俺から涌き出た魔力を感じた一ノ瀬が安心した様子をみせながらも喜んでいる。
「う~、さすがる~くん!」
亜里沙も満面の笑顔で喜んでいる。
「で、できた」
そんな二人とは違い、俺はあっさりと成功したことに拍子抜けしていた。
毎日なん十回も練習していたのがバカみたいに感じる。
「……気のせいだよな」
だからだろうか、今回成功したことに何か理由があるのではないかと勘ぐってしまう。
「まぁ、どんな理由があろうと魔力を使えたならいいか」
まだまだ拙い魔力の放出だが先程よりも力がみなぎっているのを感じることができた。……でも、魔力放出は中々に疲れるな。一度やめた方がいいようだ。
「よ~し! じゃあ当初の予定通りに訓練を始めるわよ~」
「はじめるよ~」
一ノ瀬と亜里沙が修業をはじめるぞと気合いをいれる。
「そういえば何をやるんだ」
魔力の有無についての話ばっかで肝心の修業内容を聞いていなかった事に気づく。
「あれ? 言ってなかったっけ」
「ああ、聞いてないぞ」
「そうだったかもね~。……あ~忘れてたわ」
一ノ瀬は明らかに視線を横に泳がせながら俺と話している。ということはわざと黙っていたってことだ。
「おい、何をさせるつもりだよ」
「嫌だわー、何をってただの訓練でしょ?」
一ノ瀬は笑いながら近づいてくる。その笑顔に俺は戦々恐々としてジリジリと後ろに下がる。
ポン、と後退していた俺は何かにぶつかり動きを止める。
「な、なんだ」
何に当たったのかと後ろを確認した俺は直ぐに一ノ瀬が何をさせようとしているのかを理解した。いや、理解させられた。
俺の後ろにいたのは土でできた人形だった。一見モンスターに見えるが土人形の顔が俺そっくりになっていることから明らかに俺を知る人物が作った造形物ということになる。そして、俺が知るなかでこんな物を作れるのはただ一人だけだ。
「すごいでしょ~、亜里沙が作ったんだよ~。る~くんほめて~」
大魔法使いの幼馴染み亜里沙が俺そっくりの人形作ったことを褒めろと近づいてくる。
それに対して俺はそっと手を亜里沙の頭上に持っていく。そして、その手を俺は
「褒めるか! ばか!」
勢いよく振りおろした。
「う~、痛いよ~。何でぶつの~」
「何で~、じゃないだろ! この人形を出した目的は大体わかったよ。……でも、でも何で人形の顔が俺なんだよ!」
「だって~、かっこいいし~、る~くんもそう思うでしょ?」
「くっ」
こいつは俺に自分の顔をした人形にかっこいいと言わせるつもりなのだろうか。
「はいはい、そんな事はどうでもいいわよ。それより何をさせたいかはわかったわよね」
俺が何と答えようか迷っていると、一ノ瀬が話を終わらして、問いかけてくる。
「え、……あぁ、この人形と闘えばいいんだろ?」
よく漫画とかでは見たことがある訓練方法だしな……と、俺は思ってたのだが一ノ瀬は何故かニヤリと邪悪な笑みを浮かべる。
「この人形と闘う? 違うわよ。あんたがするのは……」
一ノ瀬が亜里沙と目配せをする。
アイコンタクトを受け取った亜里沙は地面に向かって手を向ける。
すると、ドクン、と地面が鳴動し、土が隆起する。
「は?」
盛り上がった土は人の形をなしていき九人の土の人形となる。
「あんたがするのはこの人形達からただひたすらに逃げまくることよ!」
この時俺には一ノ瀬が勇者よりも魔王にしか見えなかった。
「私もね考えたのよ。強くするにも依頼までは日にちがない。なら、あんたが死なないためにはどうすればいいの……かそこで思ったの伊勢、あんたは回避能力を鍛えるべきなのよ」
回避能力。つまりは逃げ足を鍛えろ。それが一ノ瀬が俺に課す訓練内容だった。
「はっ、逃げ足? 俺も魔力を使えるんだ。何時間でも逃げてやるよ」
「……そう、頑張りなさい。亜里沙」
後はよろしくね。一ノ瀬は隣にいる亜里沙にそう告げる。
「まっかせて~。いけ~、る~くん1号から10号」
亜里沙が合図をだすと同時に人形を操って動かし始める。
「げっ、いきなりかよ」
他の9体はまだしも最初にぶつかった1体はすぐ目の前にいる。俺は急いで逃げようと魔力を引き出そうとする。
「…………あれ」
しかし、先程感じたエネルギーは俺の体の内からさっぱりと消えて感じることができなくなっていた。
「あれ? あれあれ、ど、どういう事だ」
俺はまさかの出来事に戸惑ってしまう。だが、そんな状態でも人形の動きが止まることはない。
「る~くん。気を付けてね~」
亜里沙は心配そうな声をあげる。しかし、人形を操る魔法はやめない。
亜里沙に操られた人形は腕を引き絞り殴りかかってくる。
その拳は土の塊でできている。間違いなく威力が高い。魔力を使えない今、たった一撃であろうとくらうわけにはいかない。
「うぉっ!」
至近距離からの一撃を咄嗟に横に動く事で何とか避ける事ができた。
「あ、あぶなかった。……でも、これなら」
幸い人形の動きはそこまで速くない。目の前からの拳をギリギリとはいえ避けれたくらいだ。一応鍛えてる俺なら逃げきることができるかもしれない。
「さすがる~くん!……あっ」
自分がやっていることとはいえ俺が無事だった事に安堵したため気でも緩んだためか、力を完全に使いこなせてはいない亜里沙が操っていた人形10体が一斉に体勢を崩す。
俺に殴りかかってきていた1体の拳がつんのめった勢いのまま地面に向かっていく。
……そして轟音が響く。
「ウソーん」
拳は地面にめり込み土煙をあげていた。
どうやら、俺の予想よりも遥かに人形達は危険だったようだ。こんなのくらったらまじでヤバイ。というか普通に死ぬ。
「えへへ~、失敗失敗。ごめんね、る~くん。もっとがんばるから」
亜里沙は眉尻を下げながらもう、ミスはしないと気は抜かないとやる気をだす。
「い、いや、別に今のままでも」
俺は亜里沙にそう言うが気合いをいれた亜里沙には声が届かなかったらしく亜里沙のやる気と共に人形達が立ち上がりどことなくぎらついた雰囲気を放ちながら俺に詰め寄ってくる。
「は、はは、うわーー!」
俺は叫び声をあげながら逃走を開始する。
「まて~~」
亜里沙ののほほんとした声とは裏腹に人形達は俺を捕まえようと勢いよく追いかけてくる。
「……よかった。やっぱり俺のが速い」
人形達の足は遅く、すでに十メートル以上の差ができている。
「ハァ、ハァ…よし、これなら逃げ切れる」
俺がこんなフラグになりそうな事を考えた時だった。人形の半分が止まったのは。
「ん? どうしたんだ」
不思議に思った俺がスピードを落として後ろを振り向くと人形達が何かを投げたのか振りかぶった体勢のまま動かないでいた。
「……まさか」
嫌な予感がして、地面に伏せた俺の頭上を飛来してきた何かが通りすぎっていった。
通りすぎた物はそのまま地面に落下していく。
「これは」
地面に視線をよこすと落ちているのは野球ボール代の土の玉だった。
人形達が投げたのは自分の体の一部だったのだ。
「これ、まじでやばいぞ」
土のボールは俺の足よりも遥かに速い。距離があるから避けられるがまだ半分は俺を追ってきている。このままでは追いつかれるか、ボールに当たってしまう。
「くそ! 絶対生きてやるからな」
俺は自分に言い聞かせるために大きく叫び立ち上がる。
「さぁ、きやがれ!」
その俺の声に反応でもしたのか人形達は一斉に投球のポーズをとりはじめる。
「あっ、ごめん」
さすがに全部避けることなんてできない。
俺はやめろ投げるなと祈る。が、それも虚しく人形達の腕が止まることはないなかった。
飛来してくるボールに、追いかけてくる土人形、
「うわぁぁぁぁぁ、たすけでぇぇぇ」
それから三日間、大草原では俺の泣き声が響き渡っていた。
草原での逃走劇から三日たった俺は一ノ瀬と亜里沙と共に目的地に向かって歩いていた。
「それにしてもひどいよな。俺が魔力を使えなかったの気づいていながら、あんな訓練をやらしたなんて」
そう、俺の魔力が消えていた事を、遥かに格上の一ノ瀬と亜里沙は気づいていた。
「ごめんて、怪我はしないようにはしてから。…それにあの程度で挫けるような奴じゃ依頼なんて達成できないでしょ」
一ノ瀬は笑いながらそう言う。
「まぁ、そうだけど」
実際、俺も怒っているわけではない。
「でも、不思議だね~。魔力が消えるなんて」
「あぁ、毎日だそうとはしてるんだけどな」
あれから三日たった今も魔力が出ることは一度もなかった。一ノ瀬等によると魔力が減衰することはあっても消えることなんてありえないらしい。
「でも、本当に謎よね」
一ノ瀬も心当たりがないらしく毎日放出できそうかと聞いてくる。
「だよな、一回出せたのに消えるなん――まてよ」
もしかしたら、俺は勘違いしているのかもしれない、魔力が消えたのではなくて、あの時だけ魔力を得たのだとしたら……
「だとしたら、俺は発動していたのか?」
魔力を得る。もし、コレが俺の職業ヒモの近平だとすれば納得はできる。
しかし、ヒモは他者から力を得るというものだ。俺はあの時、誰から力をもらい、どうやって力を使ったのか、大事な事は何一つわかっていなかった。
「……着いたな」
ヒモについて考えているとあっという間に目的地に着いた。
「本当にいいのね?」
そこで一ノ瀬が俺に最後の確認をとってくる。
「ああ、もう、決めたことだ」
俺は迷いもせず即答した。そう。もう決めたことなんだ。
「そう」
一ノ瀬はそう言ってから静かになる。もう、何も言うことはないという事だ。
亜里沙も珍しく真剣な顔つきで黙って俺の後ろについていてくれる。本当にありがたい。
「じゃあいくか」
俺は目的地の冒険者ギルドに入っていく。
今話長めになっちゃった。削れたと思うけどそのままいっちゃいました。そして、次次回、ついに……
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