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第22話 史上最強

 国連魔導隊は王都レグナスへ帰還した。

 ダンジョン調査で得た情報は、あまりにも異常だった。

 予言の壁画。

 黒染結晶。

 未知の魔物。

 魔法が使えない地域。

 すべてを国へ報告しなければならない。

 城では緊急会議の準備が進められていた。

 その時だった。

 ドンッ!!

 城門の方から激しい音が響く。

「大変です!!」

 門番が血相を変えて駆け込んできた。

「魔物です!!」

「魔物が王都へ向かっています!!」

 その一言で、広場は騒然となる。

 魔導隊はすぐに城門へ向かった。

 そして、その姿を目にする。

「……なんだ、あれ。」

 誰かが震えた声で呟いた。

 城門の前に立っていたのは、一体の異形。

 全身が黒く光っている。

 腕も脚も人間に似ている。

 だが、皮膚は黒い外殻に覆われ、顔は崩れ、人とは思えない姿へ変わっていた。

 それでも、どこか人間だった頃の面影が残っている。

「まさか……元は人間なのか?」

 誰も答えられない。

 黒い魔物はゆっくりと腕を持ち上げた。

 次の瞬間。

 ズドォォォォン!!

 巨大な城門が、一撃で吹き飛んだ。

「うわああああっ!!」

「避けろ!!」

 兵士たちが次々と吹き飛ばされる。

 魔法が飛ぶ。

「ファイアランス!」

「アイススピア!」

「サンダーボルト!」

 しかし。

 まるで効かない。

 黒い魔物は平然と歩き続ける。

「止められない……。」

 誰もが絶望した。

 その時だった。

 ――ブゥン。

 何もない空間に、一つの巨大な魔法陣が浮かび上がる。

 兵士たちは目を疑った。

「うそだろ……。」

「転移魔法……?」

 禁術。

 数百年前に失われたはずの魔法。

 誰も使えないはずの術式。

 その魔法陣から、一人の男が静かに歩み出た。

 年齢は二十代ほど。

 飾り気のない服装。

 腰には一本の青銅色の剣。

 男は周囲を見ることもなく、黒い魔物だけを見つめた。

「……。」

 魔物が咆哮を上げる。

 巨大な魔法陣が展開された。

 黒い光が王都全体を覆う。

「まずい!」

「広域魔法だ!」

 誰もが身構えた、その瞬間。

 男は剣を抜いた。

 シャリン。

 ただ、それだけだった。

 一閃。

 魔法陣が真っ二つに裂ける。

 黒い光は霧のように消え去った。

「……え?」

 魔導隊は理解できなかった。

「魔法陣を……斬った?」

 黒い魔物が初めて動揺する。

 男は静かに口を開いた。

「その程度か。」

 次の瞬間。

 姿が消えた。

 ドンッ!!

 衝撃だけが響く。

 黒い魔物の身体が止まる。

 一拍遅れて。

 バキッ。

 ビシビシビシッ。

 全身に無数の亀裂が走った。

「グ……ァ……。」

 そして。

 ドォォォン!!

 黒い魔物は木っ端微塵に砕け散った。

 静寂。

 誰一人として動けなかった。

「……勝った。」

「一撃で?」

「何者なんだ……。」

 男は剣を鞘へ収める。

 そして、その場を離れようとはしなかった。

 砕け散った魔物の破片を見つめながら、小さく呟く。

「……始まったか。」

 その言葉の意味を、この場で理解できる者は誰もいなかった。

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