第21話 異常
翌日。
国連魔導隊本部。
世界各国の魔法通信が一斉に接続され、緊急会議が始まっていた。
巨大な魔法映像には各国の代表者が映し出される。
「これより各国の調査結果を共有します。」
最初に報告したのはレグナス調査隊だった。
「北部ダンジョン深層にて巨大壁画を確認。」
壁画の映像が映し出される。
「内容はハゲカタストロフの大予言と一致。」
会議室がざわつく。
「本物……なのか。」
「予言は実在したのか。」
次の報告。
「魔鉱石に異常を確認。」
画面には黒ずんだ鉱石が映る。
「魔鉱石は本来、魔泥と呼ばれる砂が接触変成作用を受け形成されます。」
「しかし現在。」
「内部より微細な未知エネルギー粒子を検出。」
研究員が眉をひそめた。
「原因は不明です。」
さらに別の報告。
「黒い結晶を発見。」
画面に映し出されたのは、光を吸い込むような漆黒の結晶。
「名称を黒染結晶と仮称します。」
「測定結果。」
「エネルギー反応。」
「1000 Zome。」
別の研究所が続ける。
「表面からは。」
「100000テカ。」
数値が表示された瞬間。
世界中の研究者が息をのんだ。
「測定器が壊れているのでは?」
「いいえ。」
「三度測定しました。」
「すべて同じ数値です。」
沈黙が流れる。
さらに。
「未知の魔物を複数確認。」
映像には誰も見たことのない異形が映る。
黒く光る外殻。
異様な骨格。
目だけが赤く輝いていた。
「既存種との一致率。」
「ゼロ」
「完全な新種です。」
報告は続く。
「一部地域にて。」
「魔法使用不能区域を確認。」
代表者たちが立ち上がる。
「何だと?」
「魔法陣は展開する。」
「しかし。」
「発動しません。」
「魔力そのものが消えています。」
誰も答えを持っていなかった。
その時。
魔法通信へ赤い警報が走る。
『緊急速報。』
全員が画面を見る。
『魔法都市レグナス国王。』
『ジョンソン=ペイヤ陛下。』
『本日午前、国際会議出席のため郊外を移動中。』
『大型魔物の襲撃を受けました。』
誰も声を出さない。
『護衛部隊は壊滅。』
『国王陛下の死亡を確認。』
静まり返る会議室。
一人の生存者が映し出された。
全身傷だらけだった。
「最後に……。」
「陛下は何と?」
生存者は涙を浮かべながら答える。
「魔物を前にして……。」
「陛下は……。」
息を整え。
ゆっくり口を開く。
「そんなに、興奮しないでください。」
「…………。」
会議室は静まり返った。
「その直後。」
「魔物の一撃で……。」
誰も言葉を発せなかった。
世界は確実に。
終末へ近づいていた。




