第4章:交戦 — 那覇沖の激突
1945年4月8日 午前5時、那覇沖——。
東の水平線を染める曙光を背景に、戦艦大和の艦橋では沈黙が支配していた。
「目標確認——米軍艦隊、那覇港沖に展開中。LSTとLCTの密集部隊、上陸準備中と見られます」
防空監視哨からの報告を受けた古村一尉は、静かに頷いた。すでに戦端は開かれていた。
そして今、かつてない同盟がその力を振るおうとしていた。
「主砲、第一斉射、用意ッ!」
大和艦橋の艦長席で、森下艦長が低く命じた。巨砲の仰角がゆっくりと上がり、長大な砲身が米揚陸艦隊の中心を捕らえる。
——そして、21世紀の影が艦上を走る。
「こちらイージス艦 まや、目標座標確認。FCSリンク受信中。照準補正完了。援護砲撃を開始する」
三等海佐・高梨優は、かつての大艦巨砲主義の象徴と最先端イージス艦が、共に一目標に砲口を揃えるという現実に震えていた。
「VLS、トマホーク改良型、三番・四番、発射用意」
「発射ッ!!」
現代の精密誘導ミサイルが火柱とともに大気を裂いた。
その軌道を、大和の主砲斉射が追う。
「一番、二番、三番、撃てッ!」
轟音が空を割り、46cm砲弾が那覇湾を超えて飛翔した。米LSTの一隻に直撃。火柱と黒煙が空を裂く。
一方、那覇沖南方20海里、潜行中の潜水艦「そうりゅう」では、戦術情報が静かに処理されていた。
「米駆逐艦接近、回避行動取ります」
「そのまま深度保持。魚雷管一番から三番、目標ミサイル艦に照準。発射用意」
「了解。3秒後、カウント開始」
艦長・竹中二等海佐は、静かな命令口調を崩さずにいた。
「発射」
重たい吐息のように、重魚雷が発射された
数分後、遥か上層に巨大な衝撃波と共に敵艦の消失が報告される。
——水中の見えない戦場での勝利だった。
空では、F35Bが制空権を握るべく、那覇上空を縦横に飛翔していた。
「敵、F6Fヘルキャット確認。編隊、こちらに向かう」
「こっちはAAM-5積んでる。やれるぞ。ロックオン——Fox Three!」
ミサイルが後光のように尾を引きながら発射される。
格闘戦ではなく、完全なキルゾーンからの迎撃だった。
次はいよいよ米機動部隊との直接対決だった