第69話.瞞着致し候
誤字・脱字はご容赦下さい。
●69.瞞着致し候
「・・・・・・・」
しーん。
だんだんと霧が消えていく。
俺の視界は晴れて行きだんだんと周りの様子が見えてきた。
「ぐぁああああ・・・・・・・」
「うぁあああああ・・・」
すると周りから沢山の人の唸り声が聞こえてきた。
離れたところにメイベルらしき人影がある。
彼女らしき人影は小さな岩柱の上にしゃがんでキョロキョロしていた。
「メイベル、無事か!?」
「う、うん、大丈夫。」
俺は剣を床から抜いて周りを見渡すといたる所に人が倒れていた。
メイベル以外はみんな感電して腰が抜けて動けない様子だった。
「ディックさーん!!」
俺は大声でディックさんを呼んだ。
すると、少し離れた横の方から
「・・・っままっままま・・まりゅ・・マル・・・殿・・・」
なんかまだ呂律が回っていない。
でもとりあえずディックさんは生きている様だ。
よかった。
・・・でもどうしよう。なんか後でめちゃ怒られそうだな・・・。
うーん。やばいな・・・・。
俺はそんな気持ちで周りを見渡す。
霧はもう晴れてきて足元あたりまでしかなく、部屋中がだんだん見渡せるようになってきていた。
よく見ると少し離れた所に剣を抜いた白い甲冑の男が倒れていた。
その近くでディックさんは腰を抜かしたようにして倒れている。
それを見て俺は思いついた。
・・・・そうだ!!
全部こいつのせいにしよう。うん。そうしよう。
俺は急いでその白い甲冑の男の側へ行く。その男を見下ろしながら銃口を向けた。
「・・・・てめぇ・・・よくもディックさんを・・・・!!!」
「ごごっご・・・誤解だ・・・・。オ・・俺じゃない!!そもそも、こ、この魔法は・・オレじゃないだろ・・・・。」
白い甲冑の男はそう言って腰を抜かしたまま座り込んで首をぷるぷるしている。
なので
俺はとりあえず、すごーく怒ったフリをしながら、銃口をその男の目の前に突き出す。
「何を言っている。俺にはお前の動きなど手に取る様に分かったのだからな・・・」(嘘です。全然わかりませんでした・・・・・。)
「・・・・な・・・なぜ・・分かる・・!?」
白い甲冑の男は俺の突き出す銃口に慄きながらも呟くように聞いてきた。
「・・・簡単だ。それは音と気配だ。」(これも嘘です。)
「・・・ば・・・ばかな!!!!」
白い甲冑の男は俺の言葉に驚愕する。
「お前の殺気はそこのディックさんに向けられていた・・・・」(はい。真っ赤な嘘です)
「!!・・・そ・・・そうだったんですね・・・」
近くにいるディックさんは驚いて俺に呟いた。
「ああ。・・・俺にはそれが分かった・・・。」(ごめんね。白い人)
「ごごご・・・誤解だ・・・・。違う・・・・。お・・俺だって霧で周りがよく見えていないんだ・・・。だ・・だから俺はたまたま近くにいたその男と貴方を間違えてしまっただけだ!!!」
(おっ!ラッキー!!!自爆しおった♪)
「ふん。言いたい事はそれだけか。」
ガチャリとその男の目の前で俺は撃鉄を引き上げた。
「まっ・・・待ってくれ・・・・こ、殺さないでくれ・・・・」
そう言うと白い鎧の男は剣を放り投げて泣きながら命乞いを始めた。
俺はシリンダーからさっき撃った一発分の薬莢を抜き取ると
シリンダーをカチカチと無造作に回す。
「1/6だ。一発だけは弾を抜いてやった。死ななかったら神に感謝するんだな!」
「い・・・いやだ・・・・死にたくない・・・・」
DOW!!!
バン・・・ドサッ!!
白い男は吹っ飛ばされて壁の側で泡を吹き、失神していた。
「・・・・・・・・・」
まぁこれ位にしといたろか。
流石に命乞いをする人まで殺す程の悪人に俺はなれないし。
シリンダーもちゃんと空砲に当たる様に確認しながら回したから。
「ケンスケー」
しばらくするとメイベルが駆けつけてきた。
「メイベル。」
「大丈夫だった?」
「ああ。それとあの白い奴はあそこで失神しているだけだよ。それよりもディックさんやみんなに回復魔法を頼む。」
「わかった。」
そういうとメイベルはディックさんや周りの兵士達に回復魔法をかけていく。
ちょっとした感電程度のショックだったので周りの兵士達はすぐに立ち上がれるように回復した。
俺はその間にさっきの白い人をロープでぐるぐるの簀巻にしていると
「メイベル殿、有難うございます。」
ディックさんは回復魔法をかけているメイベルにお礼を言うと腰をさすりながらゆっくりと俺の方へやって来た。
「・・・・・ですが流石ですね、マルボル殿。咄嗟のことでビックリしましたが、まさか貴方はあの霧の中の様子が分かっていて、私があんな事になっていようとは・・・・・」
「・・・・・・・・・」
俺は帽子を押さえながら
「はい。ヤツは恐るべき強敵でした・・・・」
「咄嗟に“霧の中で”奴の動きに気が付いたものだったので・・・・。すみません。」
俺は適当な言い訳をしながらディックさんに謝った。
「いえいえ。貴方には命を救われましたよ。有難う御座います。」
そう言ってディックさんはにっこり笑って俺に頭を下げた。
「・・・・・・・・・。」
ホッ・・・。よかった。
なんとかうまく誤魔化せたようだ。
読んで頂き、誠に有難う御座います。




