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第68話.朧

誤字・脱字はご容赦下さい

●68.朧


俺とメイベルは城門を抜けると馬車を降り、リードさん達と別れた。


リードさんや冒険者の人たちはこの強烈な煙幕の対応には慣れているのか、薬のようなもので濡らした布を口元に巻いて覆い、各自手作りのゴーグルのような物を掛けて城門の内部へ向かって行った。

話によるとその薬というのはハチミツを水で薄めたものらしく、煙を吸っても若干のどの痛みが抑えられるのだそうだ。無いよりマシ程度と言っていた。



俺とメイベルはそのまま真っすぐに城の中央棟へと向かう。


「あそこか・・・」


俺達が中央棟の付近に到着すると

その付近には既に大勢の敵兵がぞろぞろと集まっていた。


見ると中央棟の一階はその殆どが外からの吹き抜けの広間となっていて

ところどころに上階の建物を支える大きな柱と物置のような小さな部屋がいくつかあるだけだった。

その奥にかなり広い作りの石の階段がある。そこを登って二階へ行くとそこから城内の母屋となっているようだった。


「敵だー!!」

敵の声が聞こえた。


中央棟の敵はすぐに俺達が来たことに気が付いたようだ。

一斉にこちらへ抜刀して向かってくる。


俺はメイベルに言った。

「メイベル。手榴弾を使うぞ。」


「わかった!!」

するとメイベルは目の前に石柱をいくつか出した。


俺も自分の前にいくつか石柱を出すと

俺は手榴弾のピンを抜きその吹き抜けのその広間へと投げつけた。


カラン・・・カラカラ・・・。


バリバリバリ!!!ドドーォオオオン!!!


激しい閃光と爆音が中央棟の一階で炸裂する。


「ぐぁああああああああ!!!!!」


敵の兵士達の叫び声が吹き抜けの広間に次々と木霊する。


しばらくして俺達は石柱の陰からその様子を確認すると

中央棟の入口に集まっていた敵兵達は手榴弾の爆風で吹き飛び

運良くその爆風を免れた敵兵達もその殆どが目を抑え、そこら中で悲鳴を上げてジタバタしていた。


俺とメイベルは銃を抜き、石柱の陰から敵兵や爆煙の中で動いている影を撃ち続ける


DOW!!ボガン!!DOW!!ボガン!!DOW!!ボガン!!

DOW!!ボガン!!DOW!!ボガン!!DOW!!ボガン!!

・・・・・・

・・・・・



すぐに入口あたりの敵兵が沈黙した。


しばらくすると背後から味方の兵士達が駆けつけてきた。


「マルボル殿―!!」

ディックさん達、街の予備兵の一軍だった。30人位いた。


「ディックさん」

俺はディックさん声を掛けた。


「マルボル殿!!ギブソン殿より連絡を受け、手勢を連れ応援に駆け付けました。残りは西塔へ向かわせています。」


「かたじけない」

俺はディックさんにお礼を言うと


「でももう入口の敵はあらかた倒されていたんですね。流石です。」

そう言うとディックさんは二階の母屋へ続く階段を見た。


敵はもう降りてはこない様子だった。


ディックさんは階段の様子を見た後、

「敵の本陣はおそらくこの中央棟の三階の大広間です。そこにテスターやロズワルドはいると思います。急ぎましょう」


「中央棟へ登れー!!」

ディックさんは叫ぶ。

手勢の兵士達は次々と階段を上がり中央棟の二階へ昇って行った。


俺達もディックさん達の後をついて一緒に階段で中央棟の二階へ上がる。


すると

「ぐぁあああああ!!!!」


「ぎゃぁあああああ!!!」


「うあぁああ・・・・!!!」


上の階から沢山の兵士達の悲鳴のような叫び声が次々と聞こえだした。


「なんだ!!!?」


俺達三人は急いで二階へ上った


二階へ上がると大きな中央通路があり、その先に大きな扉があった。

その扉は既に開けられておりその扉の奥から斬撃音と兵士達の悲鳴が聞こえる。

そしてその扉の下方からドライアイスの煙のような物がもわもわと噴き出していた。


すると・・・


ダァアアン!!!

「!!!?」


その開いた扉にぶつかり、扉に縋りつくようにしながら一人の兵士が転がり出てきた。


「うぁあああああああ!!!!!」

すると味方の兵士がその部屋からじたばたと慌てながら次々と出て来た。


「どっどうした!!?」

ディックさんは慌てて転がり出てきた兵士に向かって叫んだ


「ディック殿!! た・・大変です。こっ・・この先にロズワルド親衛隊の朧(おぼろ)がいます!!」

兵士は慌てながらディックさんに報告する。


「なに!!! 朧(おぼろ)だと!?

・・・・くそっ!!不味いぞ!!急いで増援を呼ぶんだ!!」

ディックさんその兵士に急いで指示を出した。


「なんだ?」

俺は慌てているディックさんに聞いた。


「マルボル殿!!朧(おぼろ)というのはロズワルド親衛隊の隊長です。ヤツは相当な手練れです。ご注意下さい!!」


「なんだと!!!」

(・・・うわっ!!!なんか嫌な予感するよ・・・・・)


「・・・ヤツは霧の魔剣士「朧(おぼろ)のクレメンス」という二つ名を持つ魔法剣士です。

ヤツが繰り出すその霧に包まれた者は必ず死ぬと聞きます。」


「・・・・・そうか・・」(まじかーーーー!!!!)

俺は静かにディックさんに頷いた。


しばらくすると・・・・


扉の奥から足音が聞こえる


カツン・・ カツン・・ カツン・・ カツン・・


(嫌ぁぁあーーー!!!・・・もう来やがった・・・・)

俺は銃を扉の入口に向けて構えた。


「・・・・・・・・」


その扉の奥からドライアイスの煙のようなものがどんどん湧き出る。

次第にその煙は俺達の足元を覆うように広がった。

その霧は腰の高さ程にまで広がり、俺達の視界が霞でだんだんとぼやけて来た。


すると霞の向こうから声が聞こえた。

「こんにちは、ラッセル騎士団のみなさん・・・」


そう言うとその霞の中から白い甲冑とマントに身を包んだ長髪の男がゆっくりと出てきた。


(あばよ。死ねや!)


DOW!!


俺は試しにそいつをいきなり撃った!!

というより先手必勝だ。いちいち挨拶なんか聞いてられない。

つか俺は死にたくないのだ。反省文も書きたくない。


フッ!!!だがその影は突然消えた。


「む!?」(消えた!!!!)


「・・・・・・・・」


すると霧の中から声が聞こえてきた。

「・・・・ふふふ・・・・いきなりですか・・・(怒)。」


「・・・・・・汗」

(まずい・・・・怒ってるわこの人・・・・)俺は焦る。


しばらくして霧の中からその男の声が聞こえる。

「まぁ・・・いいでしょう。私は朧(おぼろ)のクレメンス。

いずれにせよここが貴方達の死に場所なのです。折角ですから一人ずつじっくりと殺して差し上げますよ。」


(・・・・こいつ・・・)

俺は銃把を握りしめた。


「・・・・まずはその魔法使い。貴方からです。」


「・・・・・」(やっぱし俺かよ・・・・)

俺は銃を構える。


「水紋!」

霧の中からクレメンスの叫ぶ声が聞こえた


じわじわじわ・・・・・・・・・

そういうと俺の足元へ水たまりのようなものが流れて出て来た。

すぐに床の一面が全て水浸しとなる。


「メイベル離れろ!!!」

俺はメイベルに叫んだ。

メイベルは俺から距離をとる様にすぐ俺の側から飛びのいた。


霧の中からクレメンスが叫ぶ。


「叢雲(むらくも)!!」

するとぶわりとその水たまりから水蒸気が噴き出すように霧が濛々と湧き出てきた。


(なんだと!!!)

俺の視界は霧で完全に塞がれてしまった。


まずい・・・!!

俺は石柱を目の前に出し横へ飛ぶ。


ビュン!!!


剣の先が俺のすぐ側を通り過ぎる。


ガキン!!

その剣が俺の出した石柱を叩いた音がした。


(危なかった・・・・)

俺はヒヤリとしながら石柱から慌てて距離をとった。


「ふふふ・・・・上手く躱しましたね・・・・。でも貴方達には私の姿は見えませんよ。」

濃い霧の中からクレメンスの声がする。

クレメンスの姿は全く見えない。


「・・・・・水魔法か?」

俺はクレメンスに言った。


「くくくっ・・・・そうです。まぁ貴方はこの霧の中じゃあ先程の魔法も使えませんよねぇ。周りにいるお仲間さんに当たっちゃいますよー。」

濛々とした霧の中からその男の嘲るように笑う声が聞こえた。


「・・・・・・・」


(くそぉ・・・・ならば・・・・・)


(ならば・・・・)


(・・・・!)


俺はメイベルに言った。

「メイベル!!石柱の上へ。床に手をついちゃダメだぞ。」


「わ・・わかった!!」

モヤの向こうからメイベルの呟く声が聞こえた。


そのあと俺はディックさんにも言った

「ディックさん!!えーと。・・・・ごめんなさい。」


「え!?」

離れたところでディックさんの驚く声がした。


俺は剣を抜き

「10万ボルト!!!」


剣を床に突き刺して叫んだ。


バチバチバチバチ!!!!!!


ぎゃぁああああああああああーーーーーーー!!!!!!!!



部屋中から凄まじい悲鳴が一斉に木霊した。







・・・・・ディックさん、ごめんね。


(注)正確には10万Vではありません。・・・ある程度手加減した雷魔法ということでお願い致します。

(某アニメ、サ〇シ君&黄色い相棒のマネです。ごめんなさい)

読んで頂き有難う御座います

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