第63話.騒乱の城内
誤字・脱字はご容赦下さい。
●63.騒乱の城内
しばらくして・・・・
「城門が開いたぞー!!!!」
凄まじい刺激臭のする城門付近から大きな声が上がった。
一軍はその声に沸き立つ。
(おおっ!ギブソンさんやってくれたか!!)
それを見たロベルトさんは叫ぶ。
「城内へ突撃せよー!!」
ティアナ姫とロベルトさん、グレースを先頭とした騎馬と歩兵の一軍が城門へ殺到した。
その後一軍はどんどん城門を抜けて中へ入って行く。
城門を見ると、未だにそこのゲートハウスや側塔からは激しい異臭や煙が濛々と立ち上り、敵の城兵達は雪崩れ込む一軍に向かってほとんど反撃が出来ない様子だった。
その様子を俺はしばらく眺めた後、馬車へ乗り込みメイベルに言った。
「俺達も行こう」
するとメイベルは頷き、馬車へと乗り込む。
続いて俺は側にいるリードさんにも指示を出した。
「リードさん達は急いでエバンスさんの救出をお願いします。」
「了解しました。それでは私達も貨車で城門の中までお願いします。」
リードさんも頷き、布で口元を覆うと、すぐに数人の冒険者達を呼び出して俺達の馬車の中へ乗り込んだ。
その後、俺は馬車の御者の兵士に指示を出した。
馬車は雪崩込む兵士達に混ざり城門を通過していく。
城門を通過する時、城門の真下には敵兵にバールを振り回しているギブソンさんがいた。
「ゴホゴホゴホ・・・・・おうぇえ・・・マッ・・マルボル殿!!このまま・・我々は城門を制圧致します・・。あ・・後は宜しくお願いします・・・・おうぇええええ!!!」
見るとギブソンさんは目を真っ赤にて涙をぼたぼたと流している。
どうやら彼は鉄の意志でなんとか平静を保っている様子だった。
周りのバールを持った兵士達も皆、涙を流しながら城門の周りにいる混乱した敵兵士達と懸命に戦っていた。
「ギブソンさん。大丈夫でしたか!?・・・うっ!! ・・・・おうぇえええ!!!!」
凄まじい刺激臭で俺はほとんど目が開かない。
(漢だな・・・・エバンスさん、ギブソンさん、あんた達・・・・)
俺はギブソンさん達に立てた親指を向ける合図をしながら城門を急いでくぐっていった。
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城内にて
ダンダンダン!!! ダンダンダン!!!
閉め切った寝室のベッドの上で
テスターは誰かが激しく寝室の扉を叩く音で目を覚ました。
城外のいたる所から叫び声らしきものがかすかに聞こえる。
「なんだ!?・・・ど、ど、どうしたというのだ!!!?」
テスターは慌ててベッドから転がり落ちると這いずりながら寝室の扉を開けた。
甲冑を着た兵士が数人部屋へ飛び込んで来ると
「大変です!テスター様! 敵です!! 先程、敵の一軍が城へ攻めて参りました!!」
「なんだとぉ!!!!」
テスターは仰天して叫ぶ。
その兵士は急いでテスターの前に膝をつくと、叫ぶような口調で続けて報告する。
「敵はティアナ姫が率いる北の砦の一軍の模様です!街を警備していた我々の兵は既に潰走し、敵は今、続々と城門前に集結しております!」
「どういう事だ!!北の砦へは昨日兵を出したはずなんだぞ!!そんなはずはない!!!」
テスターは狼狽しながらその兵士に向かって怒鳴り散らした。
「ですがテスター様!・・・まずそれよりもすぐに広間にお越しを!!すぐにロズワルド様も来られます。急いで支度を!!」
「わわわ・・・わかった!!行こう。急いで広間へ向かう!!」
テスターは慌てて側にある鎧を着ようとしたが、恐怖で手が震えているせいか鎧の留め具が上着の端に引っ掛かりを上手く結ぶ事が出来ない。テスターは癇癪を起しその上着の一部を怒りと焦りのままに引きちぎった。
「ちくしょう!!なんでだ!!!くそくそ!!・・・」
ようやく鎧を着る事の出来たテスターはドタドタと走りながら急いで広間へ急いだ。
ぜぇぜぇと息を切らし広間に到着すると既に沢山の側近の兵士を連れたロスワルドがそこにおり、遅れて来たテスターを冷ややかな目で睨みつけていた。
テスターは大慌てをしながらロズワルドの前に転がり出た。
そしてすがりつくようにその足元へ跪く
「ロズワルド卿!!!一大事です!!大変です!城に敵の軍勢が攻めて参りました!!!ロズワルド・・」
「知っておるわ!!馬鹿モンが!!」
そこには今まで見た事も無いような怒りの形相をしたロズワルドがいた。
足元で醜く狼狽えるテスターの言葉を遮るように一喝し、上からギラリと睨みつける。
「ふひぃいいいぃぃ・・・!!」
テスターはロスワルドの形相を見てガタガタと震え上がった。
ロズワルドはそんなテスターの様子を全く気にも掛けず取り巻きの兵士達に向かって叫ぶように指示を出す。
「大急ぎで城門を守れ!この城は500の兵ごときではすぐには落ちん!!そしてすぐに伝令を出しギリアムの奴をこちらへ呼び戻すのだ!!そして小癪な小娘をここで挟み撃ちにしろ!!皆殺しだ!!」
「くそっ・・・ギリアムの奴め・・・・。小娘ごときにまんまと出し抜かれおってぇぇ!!!」
ロスワルドはそう言うとわなわなと怒りに震えている。
すると突然外で雷の落ちるような凄まじい音がした。
「なんだ!!??」
「何が起こった!??」
「・・・・・・!?」
広間に集まった一同がその音に騒然となる。
しばらくすると伝令の兵士が慌てて広間へ駈け込んで来た。
「何があった!!??」
ロスワルドは慌てて伝令の兵士を怒鳴りつけるように聞く。
「ク・・クレイブ様!!緊急事態です!!城門の中に敵の内通者がおり、現在城門の守備隊が大混乱をしている模様!!
そこへ先程何者かが見た事も無いような大魔法を城門に放ちました。
それによって城門が大破!
まもなく城門がこじ開けられる可能性があるとの事です!!!」
「なっ・・なんだとぉ!!!!」
ロズワルドはその報告に激昂する。
「・・・・・ロズワルド卿・・・・」
テスターは泣きそうな顔でロズワルドを見上げたまま縋るよう呟く。
すると、ロズワルドは歯ぎしりしながらぼそりと呟いた。
「くそぉ・・・・儂はまだ終わらぬ・・・。まだ手が無いわけではない・・・・。」
ロスワルドは思いついたように叫んだ。
「急ぎここにクレメンスとイゴールを呼べ!!」
足元に転がるテスターの存在などロズワルドはまるで無視し、自分の側近を怒鳴り散らしながらその二人を呼びつける。
しばらくすると
広間に二人の騎士が現れた。
一人は真っ白なマントと白く煌びやかな鎧を着た細身で長い金髪の男。
もう一人は分厚い金属の甲冑で全身を固め、恐ろしげな二本の角の生えたフルフェイスの兜を被った2メートルを超す巨人のような大男だった。
二人はすぐにロスワルドの前に並び跪く。
「クレメンス!!お前はここにいる守備隊を率いて下の階へ行け!登って来る侵入者どもを迎え撃つのだ!!奴らを悉く皆殺しにしろ!!」
「はっ! 仰せのままに。」
金髪の男はそう言って立ち上がると涼しげな口調で優雅に一礼する。
「そしてイゴール!!お前は地下牢に行って大至急カインをここまで生かしたまま連れて来い!奴なら西の淵塔の下だ!邪魔する奴はすべて叩き潰せ!!」
「御意・・・・・・」
その甲冑の大男も静かに立ち上がるとコクリと頷いた。
「行けえ!!!」
激昂したままロズワルドは二人に騎士にそう叫ぶ。
そう言ってロズワルドは足元に転がるテスターをゴミでも払い除けるかのように蹴り飛ばすと、側にあった領主の椅子にドカリと座って二人の騎士が広間から出て行く背中を見送った。
すると突然ロスワルドの側にいたベオウルフはニヤニヤしながらロズワルドに言った。
「卿、大丈夫なので?向こうには何やら魔法使いらしき者がいるみたいですが?」
するとロズワルドはベオウルフを睨む様にして言った。
「問題ない、ベオウルフ。ただおぬしはここで儂を守ってくれておればそれで良いのだ・・・。こやつら二人は儂の親衛隊の中でも最強の猛者どもだ。
そんな魔法使いやラッセル騎士団の雑兵ごときが束になってかかって来ても奴らなら決してやられはせん。」
ロスワルドはベオウルフにそう言うと引き攣るような形相を浮かべたままニヤリと顔を歪めたのだった。
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