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第55話.黒い騎士

誤字・脱字はご容赦下さい

●55.黒い騎士


コリンダーク城。大広間にて。

ロズワルドは配下の騎士に声を掛けた。


「ここにベオウルフを呼べ」


しばらくすると黒い甲冑を着た一人に騎士が現れた。

「ここに」


その男は血の気の無い冷酷な眼光を持ち、不気味で只物でない雰囲気をまとっている。

背は高く、首筋まで伸びた紫色の長い髪の隙間からは血のように赤い唇が覗く。

その男はロズワルドの前でニヤリと口元を上げると片膝つき、礼をとった。


ロズワルドはその黒い甲冑の男に向かって言った

「コリンダーク城の占拠は終わった。領主のカインと次男マリオンは幽閉、長男ヘンリーもテスターに殺させた・・・・。」


「・・・・」

黒い甲冑の男は静かにロズワルドに話の続きをうかがった


「・・・・まぁティアナ姫の件は失敗だったが、今、手勢を付けてギリアムに向かわせておる。ギリアムが北の砦を包囲して姫の身柄を確保したら、儂はカインの奴を拘束して領地へ引き上げる。ベオウルフ、今の所抜かりは無いな?」

ロズワルドは蛇のような自分の唇をゆっくりと嘗め回しながら甲冑の男に尋ねた。


「はい。抜かりはありません・・・」

黒い甲冑の男、ベオウルフはニヤリと笑い静かに答えた。


ロスワルドは続けた。

「ギリアムには北の砦を包囲した後、カインの命を引き換えに姫を差し出すように交渉しろと伝えてある。今朝方あやつには2000の騎兵を与えて向かわせた。

まもなく北の砦は何もできず降伏するだろう。まぁ姫を差し出さず抵抗、もしくは砦で籠城するにしても、すぐにこちらへ使者を送る様にと指示はしている。

まぁいずれにせよ明日にはギリアムから連絡が入るだろうて・・・・。」


「・・・・・・」

黒い甲冑の男もその言葉に沈黙で答える。


「そしておぬしは儂が領地へ戻った後、しばらくこの城に残ってテスターの馬鹿と領内の騎士ども動きを見張るのだ。

姫の身柄を拘束後、儂はカインを王都へ連行するふりをして奴を領外で処刑する。

そうだな・・・テスターの馬鹿からは鉱山の利権を全て奪った後、ヤツには今回の領主殺しの罪を全て被ってもらう事にでもしようか・・・・クククッ。

まぁ使い物にならない馬鹿な男にはちょうどいい役回りだ。

そして中央からテスターの拘束令が出たらすぐに連絡するからおぬしはその時にあの馬鹿と次男のマリオンをバレないように殺せ。思う存分にヤツに後悔させた後にな・・・・ククク・・・。」

ロズワルドは悪魔のような笑みをしてベオウルフにそう命じた。


「・・・フフフ・・・かしこまりました。」

ベオウルフは静かに答えた。

それと同時に真っ赤な口元がニヤリと笑う。


「それでベオウルフ。今、城内や街の警備どうなっているのだ」

そう言うとロズワルドは広間から見えるの窓をちらりと見てベオウルフに聞いた。


「はは。今テスターの配下の騎士の半分は街へ巡回に出しております。

なので今、城内はほぼ我等の軍にて占拠中という事になっておりますな。

しかも街のラッセルの予備兵、士官にはまだ城内の事は知れてはいない様子です。」


「・・・まぁ手筈通りだな。

早く仕事を済ませたいと思うだろうが、おぬしにはもう少し仕事がある。こちらに残るという事を伝令で閣下に伝えよ。そして万事上手く行っておるとな。」


「はは。」

ベオウルフは立ち上がりロズワルドに一礼する


するとロズワルドは思い出したかのようにベオウルフに聞いた。

「ところでおぬしらが探しているホーストの件については何か手がかりは掴めたのか?」


ベオウルフはその血の気の無い冷酷な目を伏せたまま静かに答えた。

「いえ・・先日よりカインを拷問にかけて調べておりますが、中々口を割りませんな。

ホーストと同行しているというマルボルという男については今、色々と行方に探りを入れていますが、西のラサンの街にはもういないとの事でした。

鉱山の事件後、奴らはすぐに姿を消したとか。この街でも奴らの目撃情報はありませんでした。」


「そうか。そちらの件はまるで進捗無しか・・・。引き継ぎカインを締め上げよ。なんらかの情報があるかもしれんからな。」


「ははっ・・」

ベオウルフは頷く。


「ところでおぬし、そのマルボルという男をどう見る。勝てるか?」

ロズワルドは蛇のような目を細めてベオウルフに聞いた。


「問題ないかと・・・・」

ベオウルフはそう答え、その大きく窪んだ冷酷な目をロズワルドへ向けた。

そして真っ赤な唇はニヤリと笑い、それは引き攣るように大きく釣り上がる。


「ふふふ。そうか。愚問だったな。まぁ今回、切れ者のおぬしを閣下に無理を言って借りたのだ。儂は安心しておる。引き続き儂を助けてくれ」


「御意に」

そう言うとベオウルフはロズワルドへ一礼して広間から出て行った。



読んで下さり誠に有難う御座います

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