第46話.旅準備と仕上げ
誤字・脱字はご容赦下さい
●46.旅準備と仕上げ
「・・・・・出来た」
俺は新しい武器の試作品を作った。
「うわー、なんか凄い機械だね・・・・」
メイベルは出来上がった試作品の周りをうろうろしながら呟く。
「おーいケンスケ! 的はこれでいいかー」
工房の外にグレースがいていくつか丸太を並べている。
「有難う。みんな危ないから離れててねー」
俺は外にいるグレースに言った。
あの後、俺達はみんなで社長に言われた通り、鉱山に行って魔素の除去をやった。
社長の言っていた不完全となった魔素(魔力溜り)とはうっすらとしか目に見えない白いモヤみたいなものだった。使用した除去機には1個につき10までの目盛りついていて、モヤを全て集めてみると集石場で1目盛り分、グラインダーのいた採石場では4目盛り分の目盛りが上がった。
その後、俺は週末の土日を利用して日本へ戻っていた。
理由は王都への旅の準備のため。
現代便利グッズと武器のサンプル、新兵器の試作品を作るための部品を調達するためだ。
あと、鍵開けのピッキングツールなんかもついでにサンプルとして購入した。
ちなみに日本に帰る時、女子二人から、可愛らしくお土産もおねだりされていたのでお菓子なんかも大量に購入した。
でもこちらは会社の経費で落ちる訳はなく、当然、俺の自腹となった・・・。
うん、仕方ないよ。おっさんは上目遣いの女子のお願いにとっても弱いもの・・・。
俺は元々、旅の準備をラサンの鍛冶工房で行うつもりだった。
だから出発はもっと早くを予定していたのだったが、今回は拠点へ戻る予定や魔力溜りを回収する仕事も入った。
まぁその事もあり、俺達は色々と準備期間も貰えて出発の予定が伸びた。
そこまで急ぐ旅でもないわけだし、まぁせっかくの機会なのだからこの時間を有意義に利用しよう。
それで今回作った武器の試作品はガドリング砲だ。
バルカン砲とも言うんだっけ? 西部劇にもたまに出てくる。
複数の銃身を人力やモーター等で回転させながら、給弾、装填、発射、排莢のサイクルを繰り返して連続的に弾丸を発射するやつだ。
日本に行けばバッテリー式のガドリング銃のモデルガンならトイショップやアマゾンとかでも購入できる。
だがココではバッテリーやモーターはないので現状の試作品は人力でクランクを回転させて射撃のサイクルを構造するタイプに改造しなければならなかった。
俺はリサイクルショップで壊れた電化製品やミシン、バイク等の機械から鋳型に使えそうな部品は調達した。
まぁ部品だがクランクやギア関連は日本へ帰れば手に入る。
極端な話、出来るだけ部品は俺が一から作るより現在ある機械から拝借したものから代用した方が早いのだ。
日本で購入したサンプルはあのM-134の玩具。
ミリタリー関係ではかなり有名なガドリング式の機関銃だ。
出来上がったガドリング砲の試作品もサンプル通り6発の銃身が回転する。
見た目もそっくりだ。ただしこれは電動ではなく横に付けた手回しハンドルで銃身が回転する。ちなみにトリガーはハンドルに連動させ、ハンドルを回すと弾丸が次々と発射する仕組みに改造した。
発射のシステムも自作のピースメーカーと同様の魔法、無属性+土+風の合成魔法になる。
大体のサンプルやモデルがあったので試作品自体は10日程で完成した。
俺は拠点の工房の台座を設置して試作品のM-134を取り付けた。
工房からは出せないので今はここから外に向かって試し打ちとなる
ジャラ・・・・・
俺は試作品のガドリング砲にさっそく弾帯をセットした。
ガドリング砲は大型で弾帯に大量の弾も繋げる為かなりの重量になる。しかも弾帯を直接本体につなぐタイプにしてるので必然的に弾丸も専用の少し長い銃弾となる。
本体だけでも20キロ近くになり、流石に常時持ち回りながらの使用は出来そうになかった。
まぁ無茶すれば出来なくは無いんだろうが、そうなると担いでいる間、俺はひたすら無属性魔法をコイツを持ち運ぶ為に使い続ける事になるのだ。
そういえばアニメやゲームとかで本物よりちょっと小型とはいえM-134らしきものを軽々と持ってぶっ放す美少女とかいたよね。
でも実際にコイツを作ってみたら、まぁ少し弾付けただけで30キロ超え。
確か映画でシュワちゃんがコイツを担いでぶっ放していたけど、俺みたいな普通のおっさんは魔法も使わずに担いだままでの戦闘をするとなると流石に無理っぽかった。
短期決戦ならともかく、ずっと担いだままの恰好でコイツの運用は到底出来んわ・・・。
まず上手くは動けんだろうし、弾を撃つ前に肝心の魔力が尽きてしまっても終わりだ。
なのでコイツの運用方法は、念のため持ち回り用の無属性魔法の刻印は付けているものの、通常はこのように重機関銃のような台座に置いたり、何かに据え付けて使用する事にした。
まぁ使い方が結構限られる武器になるんだけどコイツは夜行と戦う上で俺達の最高火力の切り札として作っておいてもきっと損は無い筈だろう。
・・・・・たぶんね。
「んじゃ、いくぞー」
俺は二人に合図を出した。
グレースやメイベルはじっと様子を見ている。
・・・・・・・・
(いくぞ!!)
俺はガドリング砲のハンドルを回した。
ZDoWDADADADAADADADA・・・・・・・・・・・・・・DOOWN!!!
射線の一帯はたて続けに爆砕し、一帯の地面が凄い爆煙を上げ次々とバンバンとめくれ上がる。俺はしばらく撃ってハンドルを止めた。
・・・・・・ぱらぱらぱら・・・・・。
しばらくして舞い上がった大量の土くれや木々の残骸が砂煙の中に降ってきた。
「!!!!!!!!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・うわぁ・・・」
全員あんぐりと口を開けてしばらく外の惨状を眺めた・・・・・。
正直引いた・・・・汗。
射線の先は全て粉々。的は当然、跡形もなく煙になっていた。
グレースを見ると、彼女はその場で真っ青になって固まっている。
「・・・・なんか・・・凄いわ・・・ね・・・・あははは・・・汗」
俺もメイベルもグレースと同じように、これを見るともはや乾いた笑いしか出なかった。
その後、俺達は試作品を一度パーツに解体し、頑張ってラサンからインゴットも拠点に大量に持ち込んだ。手動式の自作M-134が2丁、その二週間後にようやく完成したのだった。
それからさらにもう一週間がたった。
「今日は旅の準備の仕上げといこう」
俺は二人に言った。
今日は準備の仕上げとしてメイベルやグレースと戦闘訓練に参加している。
二人が拠点に来てから早くも一ヶ月の時間が過ぎていた。
俺はその後も新しい銃の作成も行った。
それで俺とメイベルはメインウェポンを変更した。
メイベルは今日、出来上がった銃の取り扱いの練習も兼ねている
ガドリング砲を作る際、ラサンから大量にインゴットを持ち込んだ
インゴットは大量に持って来ていたので余った鉄で俺はより使いやすい銃を2種類作った。
それで、俺用にはあのコルトパイソン357(冴羽さんの銃)、
そしてメイベルにはあのスミス&ウェッソンM19コンバット(次元さんの銃)を作成した。
この2つもピースメーカーと並び、輝ける歴史を残した浪漫溢れるリボルバーの名銃だ。
共に見た目もこだわりたいので銃身は長めの6インチモデルだ。
ちなみにこの二つの銃の弾丸は兼用で同じ規格の357マグナム弾を使用する。
ラサンで増産していた弾丸は勿体ないけどこちらで鋳溶かしで357マグナムの規格に新たに作り直した。
だけど俺の作った銃は魔法銃なので今のところ火薬は使わなくても良い。だから威力という意味で無理にマグナムの規格にする意味はほとんど無いといえる。まぁ今回、弾頭が大きくなった分、以前より威力が少しだけ上がったなっていう程度だ。それにもかかわらず、わざわざ鉄の材料が余計にかかるマグナム規格の銃に俺達が武器を変更したという理由は、今まで使っていたピースメーカーに比べ、これらの銃は弾の入れ替え時間が圧倒的に早いといった理由からだ。
まぁ、あの時は鉄の余裕が全然無かったし、銃を作る時間や作った経験も無かったのでピースメーカーみたいなシングルアクションの旧式銃しか当時の俺には安心して作れなかったんだけどね。
でも今回作った新型の銃はどちらも弾丸を装填するときシリンダーが共に銃の横に飛び出し、一気に全部の薬莢を入れ替えることが出来るのだ。
まぁ構造がすこし複雑になるので分解したりメンテナンスするのは以前に比べ少し大変にはなるが、代わりに弾の入れ替え中なんかの暴発の危険性が圧倒的に少ないのが良い。
あともう一つの理由なんだけどこれらの銃はシングルアクション、ダブルアクションの両方が自由に使える。
今までのピースメーカーはシングルアクションのみ、つまり撃鉄を親指でガチャリと引上げないとトリガーが引けないといったタイプだった。
それぞれのメリットはシングル場合、極めれば西部劇で見るように銃の持ってない手で撃鉄を擦るように引き上げて神業のような早撃ちや神連射みたいな浪漫な技が出来るってあれ・・・・
それでダグルアクションのメリットというのはトリガーを引くだけで一緒に撃鉄も持ち上がり連射が出来るシステムって事。極端な話、ダブルアクションは片手で戦う為に作ったとも言われている。
俺は今まで撃鉄を引き上げる間に何度もやられそうになった事があるので緊急時にはダブルアクションも使えるってタイプになるとメリットがとても大きいのだ。
ただダブルアクションで撃つ場合、連射は出来るが射撃時のトリガーが非常に重くなり、命中率が格段に落ちまくるといったデメリットもある。
だから戦場や片手しか空かない時以外は専らシングルでの運用なるんだけどね。
あとグレースの装備もばっちし整えた。
防具のデザインは以前とほぼ変わらないが所々にベヒーモスの皮を使って強化している。
そしてメインウェポンのバスターソードはもとより、彼女のブーツにも俺達と同じ無属性魔法の刻印を入れてあげた。
そういえば江楠社長からプレゼントの磁気ネックレスに彼女は涙を流して喜んでいたな。
流石にこれは彼女にとっては神様にあたる存在から特別に賜ったものだからね。
それからというもの、モチベーションの上がりまくった彼女は半月もすると彼女は魔法が使えようになって広場を飛んだり跳ねたりしながら無属性魔法の訓練を必死になってやっていた。
グレースは元々体術がすごく得意だったようで、魔法を使った剣術の勝負になると俺やメイベルよりも全然強かった。
凄まじい跳躍力で飛びあがり巨大なバスターソードを豪快に空中から叩きつける。
バスターソードも無属性魔法の刻印入りなので、素早い攻撃から重力に任せた渾身の凄まじい一撃まで魔法を使って瞬時に上手く使い分けていた。
しばらくして
「よーし今度はあれの練習だ!!!」
グレースは俺達に剣を振り上げて言った。
「「「よし!!」」」
グレースの合図に俺達三人はさっそく陣形を組む。
三人ともノリノリだ。
あれというのは、数日前、みんなでニコニコ動画を見ながら研究した現代世界の必殺技。
幸い俺達三人とも無属性魔法が使える。
俺が先頭で次にメイベル、その後にグレースが続く。
俺達三人は縦一列となって、無属性魔法を使い標的の大岩に向かって超高速で走る。
もうわかるよね、 あの浪漫の技さ。
(いくぜ!!)
(いくよぉ!!)
(いくわよ!!)
俺は標的の足元で下段切り!
その瞬間、メイベルは俺のすぐ頭上ギリギリの高さに飛び、至近距離から標的に向かって銃弾を発砲!最後尾のグレースはさらにそのメイベルの上を飛び越えて空中からバスターソードで渾身の一撃を標的に一気に叩きつける!!
まさに三位一体の必殺技。
これは今後、俺達の対夜行の必殺技となるであろう・・・・ふふふ。
とりあえず初見ではあのニュータイプにも通用した。
「「「ジェットストリームアタック!!!」」」
バシュ!!DOW!!ズダァーーン!!
黒くはないがまさに三つの連星。
標的の大岩は粉々に爆砕した。
GOWWWWWWWWN!!!!
「「「よし!!」」」
こうして俺達の旅の準備は仕上がった。
読んで頂き誠に有難う御座います




