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第42話.戦いの行方

誤字・脱字はご容赦下さい

●42.戦いの行方


「・・・・・・凄い・・・。」


坑道の入口でグレースは呟いた。

坑道まで下がった彼女はメイベルが負傷した自分に何度も回復魔法を掛けてくれている間、ぐったり坑道の壁にもたれかかり、じっとケンスケとエドリックの戦いを見つめていた。


坑道の奥の方には自分と同じく避難した鉱夫達が大勢いた。

彼らもグレース達と同じようにケンスケとエドリックの戦いを見ている様子で彼ら達のざわめく声が坑道の奥の方からも聞こえる。


グレースが見つめている戦いは凄まじいものだった。

グラインダーはグレース自身、未だかつてない程の恐るべき強敵だった。自分は全力で戦ったが何ひとつ傷を付ける事が出来ずにあっという間に倒されてしまった。

盾による強烈なカウンター攻撃で意識を刈り取られる程のダメージを受けたが自分はそこから生き延びている事だけでも神に感謝すべきだろうと思える程だ。幸いメイベルの回復魔法のお陰で体中からは激痛が走るが後少しすれば何とか動く事くらいは出来るだろう。


「グレースさん、大丈夫ですか?」

メイベルが回復魔法をかけながら声を掛けてくれた。

「ああ、もう大丈夫だ。有難う」

グレースはメイベルにお礼を言いヨロヨロと立ち上がった。


「ケンスケを助けに行きます!」

メイベルはグレースに一言そう言うとケンスケ達の方に駆け出して行ってしまった。


「・・・・・・」


坑道から見える薄暗いの採石場のモヤの中で青白い雷のような閃光が次々と走る。

ケンスケが恐るべき速度でグラインダーの足元を飛び回り、その脚を次々と切り付けているのだ。斬られた巨大な蠍の脚の関節からは赤や黄色の火花が噴出し、それが何故かとても綺麗だった。


「・・・・・」


グレースはグラインダーの圧倒的な破壊力に心の底から恐怖を感じていた。

自分はAランク冒険者でそこいらの冒険者達やモンスターよりも強いと今まで自信を持っていたのだが、それがこの度、完膚なきまでに打ち砕かれたのだ。

怖い・・私の足が竦む。

しかしながら目の前にはその恐怖の象徴のような巨大な化物を相手に一歩も引かず立ち向かっている凄まじい戦士がいる。

彼女は震えながらも次第に自分も彼らと共に戦いたいと思う衝動の方大きくなっていった。次第に彼女の血液が指先にまで熱く高潮してゆく・・・。


「私も戦いに戻るぞ」

彼女はバスターソードを握りしめメイベルの後を追い坑道から飛び出した。



「ケンスケー!!」

メイベルとグレースが坑道から飛び出して来た。


「来たか!!」

俺は叫んだ。

「メイベルは銃でグラインダー本体を撃ってくれ!グレースさんは脚を!」


「クソ・・・・・・」

グラインダーは巨大な腕をクロスして本体をガードしている

駆けつけたメイベルはグラインダー本体に銃口を向け狙いをつける。


DOW! ズダーン!!

ガチャ

DOW! ズダーン!!

ガチャ

銃弾はその蠍のガードした巨腕に当たりその腕の周りには砂煙が立ち上がる


「オノレ・・・・・」

グラインダーは巨大な蠍の両腕でガードしたままゆっくりと立ち上がる

足の関節からはギシギシと音を立て、関節はバチバチと激しい火花と白煙を出している。

ヨロついている様だ。先程より足元の動きが明らかに鈍っている。


「でやぁあああああ!!!!」


グレースはグラインダーの動きの鈍った前脚の関節を目掛けて全速力で突進。

渾身の一撃でバチバチと火花を吹いているその脚の関節部を切り付けた

ガキン!!

バチバチ!!バァン!!バシュ――――!!!

「!!」

切り付けた前脚の関節部からさらに大きな火花が噴出した。

大蠍の体は再びグラリ大きく傾いた。

ガードしていた大蠍の片腕がわずかに開きその巨腕を地に付ける。

ギュイィィィィィイイーーーン!!ズガガガガ!!!

ガタン!

ズズーン!!

大蠍は再び片膝をついた。


「やったぞ!」

グレースは叫ぶ!

エドリックはすぐさまグレースの元に駆け付けて援護する。


「クソガッ!」


転倒したグラインダーはハルバードを振りかぶって足元のグレースを払いのけようとする

すぐさまグレースは後方へ距離をとった。

エドリックはその瞬間グラインダーの側面に回りこむ。


「くらえぇー!!氷の刃じゃ!!」

氷の斬撃をグラインダー本体に繰り出した。

「!!!!」

「クソッ!!」

グラインダーは慌てて盾を振りかざし氷の斬撃をガードする。


ズガン!!!ビキビキビキビキーーーーー!!!

グラインダーの盾は氷の斬撃を受けて凍り付いた


「・・・ナニ!?」


その瞬間

DOW! ガァアアーン!!!

「!!」

「!!クソガァーーー!!!!」


ガチャ

メイベルの撃った弾丸はグラインダーの持つ盾に命中した。

斬撃と弾丸の激しい衝撃を受け、凍った盾は爆発しグラインダーは怯んだ。

シュゥウウウーーーー・・・


盾は破片を散らし、その盾の中央にはボール程の小さな風穴が開いていた。


「!!」


みんなが一斉に俺の方へ振り向く。

(今だ!!)

俺は手榴弾を持ち、手を振り上げみんなに合図を出した。


巨大な蠍は激高しながら足元からバチバチと火花と白煙を吹き出しながらヨロヨロと再び立ち上がろうとする。


「オ前ラハ皆殺シダ!!」

グラインダーは叫んだ

巨大な蠍の両腕を怒りのままに振り上げる


俺は目の前に岩柱を出した。駆けつけたメイベルも同時にその横に岩柱を出す。

みんなが一斉に岩柱の陰に隠れると同時に俺は手榴弾を二つ、ピンを続けざまに引き抜き、グラインダーの目の前にその2発を投げつけてやった。


カランカラカラカラ・・・

カラカラカラ・・・・


「・・・・・・・伏せろ!!」

俺達は岩柱の陰で蹲った


ビカビカッッ!!!

バリバリバチバチッ!!!!

ドォォォン!!ドオオオオオオオオオオーーン!!!


岩柱の向こうから凄まじい光が発生した。

直後、採石場の縦穴にはその凄まじい落雷のような轟音が二連発で響き渡る。

小石や砂がパラパラと巻き上がり、そして採石場一帯に砂煙が濛々と立ち巡った。


「・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・」


「!!!!・・・やったか!?」


「・・・・・・・・・・・」


俺達は爆風から回避した後、岩柱から離れる。

未だに濛々と爆煙が一帯に立ち込めていた。


「・・・・・・・」


「グぁあぁァァァ!!! ・・ユ・・・許サンゾ・・貴様ラ・・・・・・」


(なにぃ!!!まだ生きてやがる!!)


「・・・・・・・・・・・」


爆煙の中からグラインダーの声が静かに響いた。

爆煙のモヤの中から真っ赤に輝く眼の光とその体中の至るとこからバチバチと火花を吹くグラインダーの本体が薄っすらと見えてきた。

その瞬間・・・・


グラインダーはこの世のとも思えぬ程の怒りを込めた大声で吠えた。

「貴様ラ!!! 許サンゾーーーー!!!!!」


グラインダーの凄まじい怒号が採石場一面に響く。

ビリビリビリビリ・・・・・・・・

「!!」(ぐッ!・・・・くそぉ!)


俺とメイベルは必至に銃を撃ちまくる

DOW!スガーン!!

ガチャ

DOW!DOW! ズガガーン!!

ガチャ ガチャ

DOW! スガーン!!

ガチャ


銃弾は爆煙を立てグラインダー本体に次々と命中した。

グラインダーの本体は体の覆う金属を巻き散らし、そこからは激しくバチバチと燃えるような火花が噴き出る。


巨大な蠍の右腕は大爆発で完全に破壊されており、もう片方は肘のところでもげていた。火花のシャワーがそこからバチバチと音をたて噴き出ている。

蠍の本体は完全に地面に擱座(かくざ)しており、もはや立ち上がれそうにはない。

そしてグラインダーの本体を見ると体中のから白煙を濛々と出していた。

そしてその左腕にあった大盾は半分以上が爆砕し、ハルバードを持つ右腕の方は肩の付け根から既に吹き飛んでいた。


俺とメイベルはありったけの銃弾をグラインダーへぶち込む


DOW!スガーン!!

ガチャ

DOW!DOW! ズガガーン!!

ガチャ ガチャ

DOW! スガーン!!

ガチャ


グラインダーはボロボロになった盾を投げ捨てて唸った。

「ヲヲ・・・・ヲヲヲ・・・・グオオオオオ!!!」


銃弾で破片をまき散らしながら噴き出る火花と白煙で包まれているグラインダー本体。直後、バァン!と音を立てて真っ赤に光る眼の片方が俺達に撃ち抜かれた。

その瞬間


「ギギギ・・・・・地獄ノ業火ヨ!!!! 我ト共ニ焼ケ落チロ!!!」

グラインダーは叫んだ。


「!!!!」


BOWWWWWWWWWWWWW―――――!!!!!!


すると突然グラインダーの本体周辺から一帯を巻き込むような大きな爆発のような炎の渦が発生した。


「!!!」

「みんなここに隠れるんじゃ!!!」

エドリックは叫ぶと俺達三人の前に立ちはだかった。


ビキビキビキビキビキビキ・・・・・・・・!!!!

エドリックは爆炎を遮るように巨大な氷塊を目の前に作り出した。

「うおおおおおお~~~~~!!!!」

エドリックは叫びながら目の前の氷塊に魔力を注ぐ。


ビキビキビキビキビキビキ・・・・・・・・!!!!


BOWWWWWWWWWWWWW―――――!!!!!!


氷塊は巻き起こる灼熱に次第に溶かされていく。


エドリックは背後の俺達に叫んだ

「ケンスケ!後ろにある坑道まで皆を連れて走れ!!儂はここで盾となる!!」


「!!!ダメだ爺さん!!一緒に戻るぞ!!」

俺は爆炎を懸命に遮るエドリックに叫ぶ。


「ケンスケー!!儂の言う事が聞けんのか!!

この愚か者が! お前達は生きるんじゃ!! 死ぬのはわし一人でええ!!」


「爺さんダメだーーーーー!!!!!」

俺は叫んだ。泣きそうな声になっていた。


「お・・王都へ行けぇ!・・・いずれこの世界にとんでもない事が起こる。お主はその黒幕どもを倒すんじゃ!! そして・・・そして・・・・儂の・・この儂の無念と・・・儂の一人娘、その子の母親・・・オリビアの仇をとってくれ!!!」


「!!!お母さん!?・・・・もしやお爺ちゃんなのッ!!!?」

メイベルは驚愕する


エドリックは背中ごしから寂しそうに言った

「・・・メイベル・・・すまなんだ。すぐにお前を見付けられなかったこの愚かな爺を許してくれ・・・お前を抱き上げる事は出来なかったが、死ぬ前にお前と会えて・・・儂は幸せじゃったよ・・・」


「どうして!? どうして!? どうして今まで言ってくれなかったの!!!」

メイベルは泣き叫び、首をブンブンと横に振りながらエドリックに叫んだ!


「それは・・ふっ・・お前の成長の為じゃ・・・。お前は新たなるホーストの力を持つケンスケと共に生きよ!!行けメイベル!決して振り返るではないぞ!!」


「お爺ちゃーーん!!!」

メイベルは叫ぶ。

「!!」

俺は意を決してメイベルを抱き抱えるとグレースと一緒に後方の坑道で向かって全力で走った。


「いやぁああぁぁぁーー!!!いやぁああああぁーー!!!!!放してぇえええ!!」

メイベルは抱き抱えられながらエドリックの背中へ手を向けて泣いていた。


「・・・・さぁ来い、化け物よ!一緒に地獄まで付き合ってやるわ・・・」

エドリックは自らの灼熱で燃え上がる宿敵グラインダーに向かって呟く


BOWWWW―――――!!!

燃え盛る灼熱の炎に自らの身体をバチバチと焼きながらグラインダーは腹の底まで響き渡るような最後の怒号を上げた。


「・・・・全開(フルバースト)!!」

ZBOWWWWWWWWWWWWW―――――!!!!!!

BOWOOOOOWWWWWWWWWWWW―――――!!!!!!


巨大な火柱が地獄の業火の様に立ち上り、凄まじい炎が津波の様に一面に荒れ狂う


「ぐおおおおおおおおお!!!!」

エドリックは渾身の魔力を放出した。灼熱の爆炎とエドリックの氷塊が激突する。


「・・・・・・・・」


俺達が坑道の中へたどり着いたその瞬間


ビカッ!!!!!


「くッ・・・・・・・・・伏せろ!!!」

俺はメイベルに覆い被さるようにして庇う。

物凄い閃光が一面を走った瞬間


ドドドォオオオオオオオオオオオオーーン!!!


採石場の一面が轟音と共に凄まじい大爆発を起こした。






読んで頂き誠に有難う御座います

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