第41話.救援
誤字・脱字はご容赦下さい
●41.救援
暗闇に蠢く巨大な何かが俺の方へ振り向いた。真っ赤な眼がギラリと光る
「何者ダ・・・・」
「うぉお!!!!」
(げぇぇぇえええええーーーーーっ!!!! 何コレ!!! ヤバい!絶対にヤバい!!)
巨大な蠍型の重機のようだった。
その化け物は巨大な両腕を広げ、俺とメイベルに対峙した。
俺は目の前に現れた巨大で異様な怪物の姿に戦慄する。
「・・・・・!!」(ぎゃぁあああああーーーーー!!!)
巨大な重機のようなその怪物は巨大な両腕を振り上げる。
しかもその先に付いている特大の電ノコの様な物は凄まじい音を立て回転している。
ギュイィィィィィイイーーーン!!
(うわッ・・・・・まじか!!)
その重機の様な化物はモヤをかき分けてゆっくりこちらへ向かってきた。
モヤの向こうをみるとエドリックがボロボロになって剣を構えて立っており、視界の端にはグレースさんがうつ伏せで倒れていた。
「!!」(ああっ!くそ!!)
俺は慌てて引き金を引く。
DOW! ズガーン!!
ガチャ
DOW! ズガーン!!
ガチャ
「・・・・・・・・・」
「!!」(なにい!!! 効いてねぇ!!!)
銃弾の着弾地点には大きな砂煙が上がっている。
しかし巨大な重機のような蠍は銃弾にほとんど怯む様子もなく、砂煙のモヤの中を俺達の方向へ機械音を出しながらそのままゆっくりと近づいてくる。
ギュイィィィィィイイーーーン!!
俺は叫ぶように隣にいるメイベルに指示を出す。
「メイベル!!グレースさんを頼む!!」
「わかった!!」
メイベルは頷いた。
「・・・アレガ ホーストノガキカ・・・・・。」
巨大な蠍の化け物は呟いた。
「オマエハコイツラガ死ヌマデ大人シクシテイロ・・・」
化け物は赤く不気味に光る眼でメイべルを一瞥する。
俺は敵を睨み銃を構えた。そして横に飛び出しメイベルと距離を取る。
DOW! ズガーン!!
ガチャ
DOW! ズガーン!!
ガチャ
俺は蠍を引き付けるように発砲した。
巨大な蠍の化け物は振り向き、赤い不気味な眼で俺をギラリと睨み、そのまま俺のいる方向へ再びゆっくりと歩き出した。
(今だ!)
メイベルは目の前の巨大な蠍の化け物を遠巻きに回るように走る。
「グレースさん!!」
メイベルは急いでグレースまで走り彼女を抱き起した。
彼女はボロボロでぐったりして意識は無いがどうやら生きているようだ。
メイベルは急いで回復魔法を掛けた。
「グレースさん!グレースさん!!・・・・」
「う・・・うう・・・」
しばらくしてグレースはなんとか意識を取り戻した
「グレースさん。とりあえず坑道まで避難しましょう。エドリックさんも急いで!!」
「・・・儂はもう少ししてから行くわい。このままあの化物をケンスケ一人に任せて引けんからの・・・・。」
ヨロヨロしながらもエドリックはそう答え、グラインダーを睨みつけ再び剣を向けた。
「わかった。」
メイベル頷く。
そしてグレースの肩を担ぐと、坑道へむかってずるずる引っ張っていった。
「急ぐんじゃぞ・・・」
エドリックはグレース達が避難していくのを見てメイベルに言った。
やがて目の前の巨大な蠍はゆっくり俺に近づきながら話しかけて来た。
「・・・・オマエガ、ケンスケ=マルボルカ?」
「・・・・・・・」
「ああ。お前は何者だ?」
俺は必死に恐怖を殺し答える。
「我ハ斬鬼グラインダー。夜行ノ五指ノ一人。ソシテ、オマエヲ殺ス者ダ。
・・・・レオナルドはドウシタ?」
「・・ああ、ヤツならあの世で待ってるぜ・・・。」
ジリジリと後方へ下がりつつ銃口を向け、俺はコイツにこの時ばかりと浪漫なセリフを言ってやった。
だが既に俺の持つ銃のグリップは緊張からのヤバい汗でビッショリ濡れているのがわかる・・・。
グラインダーの後方からエドリックの声が飛んだ。
「ケンスケ!気を付けろ!!こやつは夜行といってかつて王国の騎士団を壊滅寸前まで追い込んだ事もある悪魔のような騎士どもじゃ!!しかもどういう訳か知らんがホーストの力を得て化物みたいに強化しておる様じゃ!!」
(んむぅ!! やっぱりこいつもレオナルドと同じ化け物か・・・!!)
グラインダーはギラリと目を光らせて嗤った。
「クククククク・・・ハハハ・・・・ソウカ、レオナルドヲ倒シタノカ・・・・・。
ククク・・・面白イナ! ソレハ存分ニ楽シメソウダ・・」
ギュイィィィィィイイーーーン!!
グラインダーは蠍の両方の巨腕を振り上げたとたん身を屈めて一気に上空高くジャンプした。
「死ネ!!!!」
グラインダーは叫んだ。
「!!!!」(ひぃ!!)
俺は横へ全力で飛び回避する。
ズダダァァァァ――――――ン!!!
先程まで俺がいた一帯にその巨大な重機のような化け物は落ちて来た。
凄まじい砂煙が立ち上る。
グラインダーはすかさずグルリと俺の方に振りむき巨大な蠍の両腕を俺に振り下ろす。
「!!」
ギュイィィィィィイイーーーン!!
ドガン!ドガガガーーン!!
一帯の地面は爆砕する。
(くそ!)
俺は後方へ大ジャンプしながらグラインダーを撃つ。
DOW! ズダーン!!
銃弾は蠍の胴体付近に着弾しその付近に爆煙が立つが殆ど効いていないようだった。
ガチャ
グラインダーのいる一帯は濛々と凄まじい砂煙に覆われている。
「・・・・・・・クソ!!」
ギュイィィィィィイイーーーン!!
ドガン!!ドガガッガガガーーーー!!!
グラインダーは濛々と立ち込める砂煙で俺を見失った様子。
尻尾を振り回して近くの岩山を次々と爆砕しはじめた。
(よし今だ!!)
俺はその隙に一気に爆煙に紛れて駆ける。
そしてようやくエドリックの側にたどり着き合流する事が出来た。
俺はボロボロのエドリックに急いで回復魔法をかけた。
「・・・はぁ・・はぁ・・爺さん。動けるか!?」
「なんとかの・・・・」
爺さんは苦笑いをして頷いた
「爺さん、ひとまずあそこに隠れろ」
二人は砂煙を掻き分け、近くの瓦礫の山の陰に飛び込み姿を隠した。
その後、俺は急いでシリンダーの薬莢を全て入れ替える。
「ぜぃ・・ぜぃ・・ケンスケ。助かったぞぃ。 ほんに絶体絶命だったわい。・・・だが今からどうするつもりじゃ?おぬしの銃も効かんようじゃぞ。」
爺さんは悔しそうに俺に呟いた。
「爺さん、メイベルが戻ったらコレを使う。でも絶対に光を見るなよ。」
俺は手榴弾を見せた。
「なんじゃ?そりゃあ?」
「この玉は投げて数秒後に凄い光を出して大爆発するんだ。でも近くで光をみたら下手すると俺達まで失明するかもしれない。俺が使おうとする時は注意してくれ。グレースさんも戻って来たなら伝えてくれ。あと出来るだけ離れて蔽遮物に隠れるようにしてくれよ」
「わかった。そいつがおぬしの奥の手じゃな。じゃが、それまでこやつとどう戦うつもりなんじゃ?」
「まず、引き付けて、まず蠍の動きを止めるか遅らせる。ヤツが動いてこの玉の光を避けられたらまずい。一度失敗すると次は手を読まれてしまうからな。コイツは必ずヤツの正面で爆発させないと意味がないんだ」
「ならばどうやって奴の動きを止めるつもりなんじゃ?」
「ああ。見たところ人間の本体部とは別に蠍の部分は機械仕掛けのようだ。
蠍の装甲はかなり分厚い。たぶん装甲の薄い関節部分以外は全く攻撃が効かないと思う。でもその関節内には機械である以上、動きを伝達するための細い線が必ず走っているはず。それを一本でも壊すことが出来ればそこから先の部分は動かなくなるはずだ。」
エドリックは悔しそうに首をふる。
「だがそれはダメじゃ!さっきグレースがバスターソードで奴の関節を思いっきりぶっ叩いたが効かんかったわい!!」
「いいや、爺さん。大丈夫だ。俺に考えがある。これで内部に直接ダメージに与えるんだ」
俺は腰の刀を見せた
「おお!!それか!!雷ならば効くかもしれん。それなら儂が囮になって正面から行こう。お主は側面の脚を狙うんじゃ。・・・あとケンスケ。こいつは正面の筒からでっかい火を噴き出すから、奴が正面に振り向いたときは十分に注意するんじゃぞ。」
「ああ、わかった。それじゃ爺さん・・行けるか!?」
「おう!」
俺とエド爺さんは瓦礫の陰から飛び出しグラインダーに向かって駆けだした。
エドリックはグラインダーの正面に立ちはだかった。
「くらえぃ!氷の牙じゃ!」
短剣を力任せに振り、氷の斬撃を繰り出した。
その斬撃は一直線に伸び、グラインダーまで届く
しかし巨大な蠍の腕をクロスさせその斬撃を止めた。
グラインダーはそのまま猛スピードでエドリックに突っ込む
ドガガガガッガガーーー!!
エドリックは横に飛びのき回避する。
(今だ!)
俺はグラインダーの突進に合わせ蠍の脚元に潜り込む。
腰の刀の柄に手をのばし、一直線に飛び込み蠍の前足の関節部分に抜刀し切りつけた。
青白い雷光を放つ刀身は蠍の関節部分に命中する。
バシュ!! バァン!
切り付けた前足の関節から火花がバチバチ出て煙が上がった。
「ナニ!!!!!」
グラインダーは慌てて横回転し俺を踏みつぶそうとする。
俺は駆け抜け様に反転、
抜き身のままもう一本の脚の関節を狙う。
バシュ!! バァン!
蠍の後ろ脚の関節を切り付けた。
後ろ足の関節からも火花と煙が上がる。
グラインダは尻尾を振り回した
ドガガガガガーーー!
俺は横振りの一撃をギリギリかいくぐった。しかし俺の正面には巨大なハルバードを持ったグランダー本体がおりハルバードを振り上げて横振りの一撃を振るってきた。
俺は慌てて後方へ距離を取った。
「!!」
ハルバードはマントを引き裂き、俺の胸元をかすった。激痛が走る。
「ぐああああっ!!」
俺は体制を崩し地面に転がる。
「ケンスケ!!離れるんじゃ!」
その瞬間、エドリックはグラインダー本体へ切りかかった。
ガキン!!!
グラインダーは盾でエドリックの剣を受けた。
「ちぃっ!!またか!」
エドリックはその盾を蹴り上げ後方へ飛ぶ。
俺もその間にグラインダーから離れて距離を取った。
急いで回復魔法をかける。出血が止り激痛がほんの少し和らいだ程度だった。
「はぁ・・はぁ・・・・・・」
(行くぞ!!)
俺は再び蠍の脚元へ向かって全力飛びかかる。
ギュイィィィィィイイーーーン!!
グラインダーは振り上げた蠍の巨腕を俺に叩きつける
ドガガガーン!!!
俺はその腕を躱し再び足元へ潜ると再び前脚を狙った。
腰の刀の柄を握りしめ、高速で突進。再び脚の関節を目掛けて抜刀する。
「うおおおおおおお!!!!!!」
バシュ!! バァン!!
「!!!!・・・グ!?」
そのまま連続して他の脚の関節付近を一心に切り付けていった
バシュ!! バァン!!
バシュ!! バァン!!
バシュ!! バァン!!
斬られた脚の関節からはバチバチ火花が噴出し、その後白煙が濛々と吹き出してきた。
巨大蠍はグラついた。
「オノレェ・・・・」
ギギギ・・・・ズズーンン!!
巨大な蠍はやがて大きく傾き地面に膝をつくような形で擱座した。
読んで頂き、誠に有難う御座います。




