第36話.工房にて
誤字・脱字はご容赦下さい
●36.工房にて
工房にて。
メイベルやエド爺さんと軽い昼食を済ませた後。
夕暮れ時、俺は工房にいた
俺達は明日、戦いに行く
あまり時間がない。あり合わせの材料を使って武器を作るつもりだ。
工房へ戻り急ぎ武器を設計・作成することにした。
俺は武器を作成しながら、同時に明日俺たちがどう動くかを考える
グレースさんに大まかな地図は見せて貰ったが、戦いの場所は鉱山の集石場か採石場、または坑道辺りとなるだろう。
「・・・・・・・・」
いつか何かしらの敵がメイベルに襲ってくる事を予想はしていた。
おれは今回の件を極力冷静に考える・・・。
今回レオナルドは俺達をいきなり襲撃してこなかった。
こちらはエド爺さんもいるが俺達はたったの3人だ。
戦力だって向こうは知っているはず
なぜだ?本当に人目を避ける為か?
いや、むしろこれは領主や軍との争いを避けるのが狙いか・・・・
だから敵は脅しや挑発を含んだ交渉で俺達を引きずり出す方法しかなかったって事だ
それでなければ此処に強襲を掛けて来てもいいはずだ。
だから今回、敵のとった手段は交渉なのか・・・。
結果として敵は自分達が不利になる時間を僅かだが俺達に与える羽目になった。
・・・・だとしたらここまでの予想は間違い無いだろう。
そうなるとレオナルドの目的は?
メイベルを含む俺達の全員を殺す事か?
それともメイベルを生きたまま捕獲する事なのか?
もし、俺達全員を殺すつもりなら、俺たちが向かう鉱山の行く手に殺傷性の罠をしかけるか、キルゾーンへ誘い込んで俺達に奇襲を仕掛けてくるはずだ。
一方でメイベルを生きたまま捕獲するのが目的ならば、必ず戦いになる前に敵は何か交渉してくるはず。罠や襲撃がなければ捕獲が濃厚だろう。
だがすでに人質は俺達を呼んだ時点で殺されてしまっている可能性は?
いや、俺達が人質の死亡を確認した後に俺達が逃げ出すことも考えてそれは少ないか。
そうなるとやはり、交渉を持ち掛けた場合、敵は俺に鉱山の人質を諦めさせず、メイベルを受け渡すように脅しつつも俺と爺さんには直接対決する方法で来るだろうな
大事なのはメイベルを殺すか捕獲かどちらの目的かを見極める事。
それで俺達の行動は変わる。
そして交渉となれば人質は取られているが俺達には方法はある。
つまり俺達は交渉になれば、
・・・・そう、俺達は奴らを無視する。
敵は人質を取り、待ち伏せしている状態だ。
そして狙いはメイベルの身柄。
敵の狙い通りに運ばせれば必ず俺達に被害が出る。
さらに相手に主導権を握られたままでは人質の危険も増えるだろう。
第一に主導権を取り戻さねばならない。
そして今回、俺たちが一番大切な事は相手の挑発に乗らない事だ。
つまり俺達が誘いに乗らなければ敵はやっている行動に意味を無くす。
そしてレオナルド達とは戦闘になるはずだ。
だがそうなれば俺達は交渉の途中、敵に奇襲を仕掛ける攻撃が必要不可欠となるだろう。
だから今回俺が作るのは奇襲用の武器。
強力なスタングレネード手榴弾だ。
これは目眩ましの閃光だけでなく、爆弾として強力な破壊力も持っている。
詳しく言うとテルミット爆弾というものだ。
まずこいつの作り方を簡単に説明すると
まず鋳造で薄いガチャガチャ仕様のカプセルを作る
上半分のカプセルには頂上に穴をあける。
下半分のカプセルには内側にフックを付けゴム紐の代わりとしてベヒーモスの細く切った皮を繋ぐ。カプセル内には鍛冶工房にあった鉄粉や砂鉄の残りと土魔法で作ったアルミニウムを混ぜた混合物を詰め込む。
その後カプセルを閉じ、カプセル上半球からでたベヒーモスの皮をひたすら捩じる、捩じった皮の先端を小さな筒を通してピンを挟み上蓋の回旋止めにする。
そしてこれの使い方は手榴弾と全く同じ。
ピンを抜かれて投げられたカプセルは対象物に当たった時の衝撃で蓋が開き回転、中身の金属粉をまき散らす。そして小さな筒状の物の中にはピンが抜けた数秒後に火属性の魔法が発動する仕掛けだ。
中の爆破材料は、砂鉄とアルミニウム。
アルミニウムは非常に酸化されやすい(イオン化傾向が高い)金属でアルミニウムより酸化されにくい金属と混ぜて燃やすとその金属から急激に酸素を奪う。
今回場合、砂鉄のような酸化鉄の場合、結果として851.5kJ/molもの激しい熱と光が発生する、つまりその化学反応(テルミット反応)をカプセル内で起こし爆発させるのだ。
しかもその爆発の過程では周りに水蒸気爆発も引き起こす。
結果、爆発温度は2000度以上となり、その一瞬で上がった熱量により水蒸気の体積は1700倍に膨れ上がり一帯に大爆発を起こすという現代兵器にも使われる代物だ。
俺は容赦はしない。怒りが込み上げてくる。
外を見る。もう完全に夜になっていた。
実験をする暇はない。ぶっつけ本番だが。
そんな時、工房の入口前にメイベルが立っていた
メイベルは俺とは目を合わせず、落ち着かない様子。
胸元を手でぎゅっと握ってうつむいていた。
「眠れないのかい?」
俺は聞いた。
「・・・・・・・・・・」
メイベルはしばらく黙ったまま
「ケンスケは世界を滅ぼしてしまいそうな顔をしています」
「!?」
メイベルは急に抱き着いてきて泣き出した。
「大丈夫だよ。」
俺はメイベルの頭を優しく撫でてあげた。
小さな体で必死に恐怖と戦い、俺に抱きついて泣いている少女。
メイベルを守る。
俺はそう決めていた。
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