第35話.冒険者ギルド
誤字・脱字はご容赦下さい
●35.冒険者ギルド
あれから。
爺さんの修行の日々はひと月程も続いた。
剣や銃、魔法とかの訓練、必殺技の開発やら、まぁ色々。
ようやく俺もメイベルも銃や剣、魔法を併用した戦い方に慣れ、爺さんと打ち合える程までには成長した。メイベルは無属性魔法を上手く使い、瞬発力を生かした刀の戦い方の成長が特に著しかった。
そんなある日の事。
「そろそろかの。ケンスケや。出かけるぞい。」
「? 行ってらっしゃい。」
ゴス!「!?」
俺は爺さんに頭を杖で叩かれた。
「違う!一緒に来るんじゃ。」
ある日、そう言ってエド爺さんに俺とメイベルが連れて来れれたのがここ。
冒険者ギルドだった。
「エド爺さん、俺は鍛冶屋なんだが・・・・。」
おれは意味が分からず爺さんに聞いた。
「うむ。それはわかっとる。じゃがお主らはいつ誰から襲われるか分からん。
だからの、急にこの街を出ることになった時、食って行けんじゃろが。
旅先で登録するのもええが、それだとその街で追手に見つかるかもしれんしのう。だから今この街にいるうちに登録だけは済ませておいたほうがええ。」
冒険者ギルド。RPGでおなじみの施設。モンスターの出現するこの世界にはやはり組合として存在していた。
「エド爺さんは冒険者の登録はしてあるのか?」
「ああ。儂も形だけじゃがの。本業ではないがモンスター退治は金になるでの」
そういって見せて組合章を見せてくれた。
俺とメイベルはエド爺さんの言うことに納得し、とりあえずこの街の冒険者ギルドで冒険者登録をすることにした。
「ああ、この街で有名なケンスケ=マルボル様ですね?」
そういって受付のお姉さんはにっこり笑うと冒険者ギルドの説明をしてくれた。
ギルドの受付のお姉さんの説明では
冒険者にはランクがS・A・B・C・D・Eのランクがあるとの事。
実績に応じてSに向かってランクは上がる。
当然ながらそのランクに応じて受注できる仕事の危険度が変わり、報酬も違う。
この街もそうだが冒険者ギルドの支店では通常Aランク以上に値する人物がギルドマスターをやっているとの事。
そして俺達のような冒険者の新規登録者は通常はEからのスタート。ただしマスターに認められる程の実力があればCまたはDからのスタートも出来ると言っていた。
登録は13歳から可能で俺とメイベルも早速、冒険者の登録をした。
出来上がったEランクの会員章を受付のお姉さんから頂くと、
「なんじゃ。どうせなら昇級の試験は受けんでええのか?」
エド爺さんは俺たちに言った。
「試験って?」
「簡単なことよ。ここの一番強い奴か教官あたりをぶっ倒せばええだけじゃよ・・・・」
(なんと!物騒な事をおっしゃりますな。おじい様・・・)
「・・・・・まぁ、儂から手ほどきを受けた事もあってお前達は前より各段に強くなっとるわ。安心せい。それくらいなら問題無い実力のはずじゃよ。」
「・・・・・・」
しばらく、メイベルと考えていると受付のお姉さんは申し訳なさそうに言った。
「ケンスケ=マルボル様、メイベル=ホースト様。すみません、昇級試験の件は今はちょっと難しいかもしれません・・・・。もし、今から試験をお受けするつもりでしたら、ここでは話せませんので、上のギルドマスターの部屋でお話を聞いて頂けないでしょうか。」
「どうぞこちらへ。」
そういって受付のお姉さんはギルドマスターのいる部屋へ通してくれた。
部屋には色黒で大柄で筋肉質のいかにも歴戦の戦士のような中年のおじさんと、赤髪で背中に両手剣を背負い、金属の甲冑を着た若い女性の二人がいた。
おじさんは
「俺がここのギルドマスターのカーネル。そしてこいつは教官のグレースだ」
簡単な自己紹介をしてくれた。
「昇級試験か・・・・・・・・・ああ、この人が有名なマルボルさんか。冒険者に登録してくれたのはありがたいが、俺もグレースも今、丁度手が空かない状態なんだ。」
「じつはな。先日この街の近くの鉱山の集石場あたりに化け物が出たらしくてな。被害も出ている。そしてそこで働いている鉱夫たちは坑道に逃げ込んで避難しているらしいが入口にはそいつがいて、出るに出られない状態になっているんだ。とにかく今は人命のかかった緊急事態でな。二日後はここに領主軍の兵士もくる。ここにいるグレースはここのギルドの監督なんだが、その領主軍の兵士らと一緒に鉱夫の救出に向かう予定なんだよ。
まぁ俺たちはお前さんが相当な手練れだという事は知ってる。何もなければ試験を受けさせても良かったんだがな・・・・。」
「そうか。残念だな・・・・・」(俺、雑魚です。帰ります。ごめんなさい、忙しい時に。)
「・・・・それでな。提案なんだが、ここいるグレースと一緒に鉱夫の救出に向かって欲しいんだ。グレースはこの街の冒険者の中では一番腕がたつ。この仕事が成功したらそれだけの報酬と昇級資格を与えたいと思うがどうだ?」
(ええー!? そんな配慮は誠にご無用で御座います。)
「・・・・・・」
俺がしばらく考えていると
「まぁ、突然だし、好きなことは言わねえ。明後日の朝に此処を出発する。一緒に来てくれるっていうならそれまでにここへ来てくれ。良い返事を待ってるよ。」
「考えとくよ・・・・。」(逃げる言い訳、なんかないかなぁ・・・・)
・・・・・・・
俺たちは冒険者ギルドを出た。
入口の近くに小さな子供がいた。
小さな子供は出てきた俺に向かって走ってきた。
「・・・・お父さんを助けて下さい。・・・・お父さんを助けて下さい。」
俺にしがみつき少年は泣きながら俺に頼んだ。すると横から
「心配するな。お姉ちゃんが必ず助け出してやるから・・・・・」
さっき部屋いたグレースさんだった。
グレースさんは泣きじゃくる少年の前にしゃがみ込み、優しく少年の頭を撫でてあげていた。
「・・・・・。」
「どうするの?ケンスケ・・・・」
メイベルは俺の手を軽く引き俺を見上げて呟いた。
俺たちは今何者かから狙われている身の上。
なのにこれ以上危険な身を晒すのは得策じゃない。だが・・・・・
「・・・・・・・・。」
俺はしばらく考えていると爺さんが言った。
「最近、家の周りでも不穏な気配がするのじゃ。何者かに見張られておる感じがするの。何事もなければ良いが・・・・」
爺さんはそう言って
「とりあえず帰るか。」
そう言って俺たち三人は帰路へ着いた。
しばらく歩き西出口近くの人通りに少ないあたりに差し掛かった時
背後から声がした。
「こんにちは。」
やせ型でフードを被った背の高い黒ずくめの男だった。顔は上半分が隠れており良く見えない。フードの下は黒い甲冑を着ており腰にはレイピアのような剣を下げている。
「誰だ」
フードの男は言った。
「初めましてケンスケ=マルボルさん。エドリックさん。私はレオナルドと申します。
そこのお嬢さんはホーストの子供さんで間違いありませんか?」
「!!」ガチャ
俺とメイベルは銃を抜き撃鉄を引上げ、銃口をその男にむけた。爺さんも剣を抜いている。
「何の用だ?」
俺は聞いた。
「おやおや。ああ、すみませんね。私は今、あなた方を殺しに来たわけじゃないんですよ。ひとまず、武器を下げてくれませんか?私があなたにしたいのは交渉なのです。」
「どういった内容だ。」
おれは銃を向けたまま聞いた。
「とりあえずあなた達とここでやりあってもいいんですが、ここでドンパチしても町の人被害が出ますよね。とりあえず武器は下げて下さい。」
「・・・・・・・・・」
仕方なく俺は銃口を下げた。
「あなたが利巧な方で助かりましたよ。さっきギルドで聞いたかもしれませんが鉱山の化け物の件ですよ。私達は鉱山でたくさんの鉱夫達を人質にしました。まぁその要件ですが、そのホーストの子供を連れて来てください。いわゆる人質との交換条件ですよ・・・。」
「おまえらの差し金か?」
「はい。そうです。三日後には領主軍が鉱山へ兵を向けてやって来るでしょう。
なので期限は領主軍が鉱山へやってくるまでとしましょうか?
それまでにその子供を連れて来なければ残念ですが穴の中の鉱夫達は皆殺しに致します。ここで私を殺しても同様です。まぁ素敵なパーティーのお誘いですよ。くくく・・・・」
「この子を狙って何をするつもりだ!」
「そうですねぇ。でしたらその子を連れ着て来たら、その場で教えてあげてもいいんですよ。私が知ってる限りなんですけどね。・・・・」
「・・・あとそれから、あなたがこの子を連れて来ない場合、私達は同様な事をあなたの周りで繰り返すだけです。くくく・・・・」
「・・・・・・・・」
「楽しみにしていますよ。それでは。」
そう言って男は俺たちから離れていき街の中へ消えていった。
「・・・・・・・・。」
「行くしかなさそうじゃの。罠なのはわかっとるが奴らの狙いが何か解るかもしれんしの。」
爺さんは俺にそう言った。
俺はメイベルを見た。不安そうな顔をしていたが
「ケンスケ・・・・助けに行こう。」
「いいのか?メイベル。」
「うん。」
俺達はギルドへ戻り、俺たちは明日朝に出発する旨をカーネルさん達に伝えた。
この鉱山の一件には何かしらの黒幕が存在している事。
メイベルを交換条件に鉱夫を人質にして鉱山を立て籠っている事
人質の命の保証期限は領主軍の到達までという事も。
そう伝えると、グレースさんも明日、鉱山への道案内に付いて来てくれると言ってくれた。
読んで頂き、誠に有難う御座います




