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第27話.技術者の意地

誤字・脱字はご容赦下さい

●27.技術者の意地


「・・・・・・・・・・」


俺はゆっくりと両手を真上にあげた。その右手には銃を持っている。


「・・・・・・・・・・」


ケリーの命令に従うほか俺には方法が無かった。

現状、人質を取られ、しかも俺は背後からもう一人の敵に剣を首に突き付けられている。

まさに絶体絶命。俺は最後の賭けに出るしか方法がなかった。


「それから右手の玩具を捨てるんだ。」


「・・・・・・・・」


俺は右手の銃を右手前方へ落とすように投げた。


「てめぇ魔道具も持ってるだろ。そいつもだ。」


「・・・・・・・・・」


俺は左手をゆっくりマントの中に入れ、会社支給の携帯電話を左側に投げた。


「・・・・・・・・・」


背後からベンジャミンが言った。

「・・・・・おい。あと火の出る魔道具もだ。」


「くっ・・・・・・・・。」


俺はそう呟きゆっくり左手をゆっくりとマントに入れてライターを手前に落とした。

エミリアさんは引き攣った顔で泣きながら首を振っていた。


カラン 、カラカラ・・・   (・・・・・・まだだ。もうちょい)


ライターが転がる音を聞いて


「ひゃはははっははっはっは~~~~~!・・・・・・・」


俺を嘲り笑う下卑た二人の声が倉庫の中に響いた・・・・・・。

その時に突然・・・・・


<<<ピピピピッ!! ピピピピッ!! ピピピピッ!!>>>

大音量の携帯電話のアラーム音が響いた。


「!!!!!」  (来た!)


「なんだっ!?」

ケリーが驚いて叫んだ時には俺は左手をとっさに後ろの地面にかざし魔法を使い

突如自分の大きさ程の岩を出現させていた。


ベンジャミンは自分の目の前に突如出現した岩に押され後ろへよろついた。

俺は右斜め前に飛び込むようにして急いで銃を拾い、振り返って出現させたその岩を撃った。


DOW!! ズダァァァンン!!!!

ガチャ


けたたましい爆音と同時にもう一度振り返り、今度は銃口をケリーへ向けた。

横目では爆砕した岩の破片の爆風をもろにくらい右腕が吹っ飛んで血まみれになったベンジャミンが虫の息で倒れていた。


俺はここに向かう直前、酒場で携帯電話のタイマーアラームを1分後にセットしていた。設定オフ。もちろん音量MAXの状態で。


二人が攫われたと聞いた時に俺はこういった事になる事は予想出来ていた。


俺は現代世界での武力での人質の解放手段は極力、目の前の敵の注意を反らすのが必須となる事ぐらい知っている。

なので俺はオフ状態でアラーム1分後にセットした携帯電話を取り出す際にマントの中でオンの状態に切り替えた。

この世界の住人にはスマホはただの板にしか見えない。俺は指で触れるだけ。

バレるかバレないかは一か八かの賭けだった。


それと俺はこの銃の事も知り尽くしている。

連射不可、弾丸は6発のみ、シリンダーの弾丸は一つずつ手作業で抜いて入れ替える等、実は弱点だらけのピースメーカー。なんせ設計も自分だ。その代わりその弱点を克服する戦い方を発見出来るのも技術者のならではの特権だ。

左手に魔法のグローブをはめている理由は遮蔽物を作り、装填中の安全を確保するため。

あと複数に囲まれた時等、弾丸の装填数の少なさをリカバーするためにはとっさに岩を出し、それを爆砕する事で散弾として攻撃する為だった。


「・・・・・・・・・・・」


立ち込めた埃が足元に漂っている。


俺は言った

「これで振り出しだ・・・・・」

ケリーに銃口を向けつつ、ライターと携帯電話を拾い、マントの中にしまった。


「くそったれ・・・・・・。」

ケリーは呟いて悔しそうに返事をした。


「・・・・・・」


「こうなったらサシでやるしかねぇよう、だ・・・・・な!!!!」


「!!!!!」




そう言うとケリーは俺の方へエミリアさんをドンと背後から蹴り飛ばし、ヨロヨロと俺に近付く彼女の背後から間合いをつけて一気に斬り込んできた。





有難うございます

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