第21話.街の教会にて
誤字・脱字にはご容赦下さい
●21.街の教会にて
俺は少女を抱えて教会の中へ入った。
「一体どうしたのですか?」
教会のシスターが駆けつけてきた。
「すみません、街の外で倒れていました。この子を助けていただけませんか?」
俺はオロオロしているシスターにそう言った。
「あなたは今日、こちらの教会へ一度来られた方ですね?」
「はい。今日この街に来たもので、名前はケンスケといいます。」
「・・・・こちらへ。」
するとシスターは一言そういうと急いで入口のドアを急いで閉めて鍵をかけた。
その後シスターの指示に従い、俺は少女を礼拝堂の先、廊下の奥にある狭い部屋に運んで、そこにあるベッドに少女を寝かせた。
「ここなら大丈夫です。この子の服を着替えさせますので少し外してください。」
シスターはそう言われたので廊下の外で待った。
しばらくするとシスターが出てきた。
その後シスターに案内されるまま、彼女の質素な部屋に入った。
シスターの名前エミリアさんというらしい。
俺はエミリアさんにお礼を言って、
この少女を拾ってからのいきさつを話した。
「この子がここに来たのも何か神のお導きがあっての事でしょう。見たところ奴隷の子供のようです。栄養状態が悪く、ひどい生活をしてきた子なのでしょう。幸い大きなケガはないようですが今はひどく疲れて眠っている状態です。安静にしていれば明日にでも目を覚ますでしょう。」
エミリアさんは静かにそう言った。
「ですがこの街では教会とはいえ奴隷の子供のお引き取りは出来ません。ですが、あの子は今こんな状態なので、はっきりとした身の上は分かりません。しばらくの間でしたらここで匿う事は出来ると思います。」
そういって小さなタグを俺の前に置いた。
「あの子の首についていた物です。どこかの家紋か商紋らしきものが付いています。きっと彼女の身の上に関わる物だと思いますので、すみませんがケンスケ様、これは暫くあなたがお持ちになっていて下さいませんか?」
俺はテーブルに置かれた小さなタグをそのまま見つめた。
「このタグが無ければ奴隷の持ち主に見つかってもどこの奴隷か分からなかったと言い訳が出来るでしょう。あと、もしよろしければそのタグにある紋についても調べて頂ければ助かります。」
「・・・・・。」
そうだな、まぁ仕方ないか。
俺はその件について了承した。
そして俺はその小さなタグを受け取った。
「この教会から出られる前にあの子の顔を見て行かれたらどうですか?」
「ああ。そうするよ。」
エミリアさんは俺を少女が休んでいる部屋へ案内してくれた。
少女は眠っていた。
可哀そうに・・・・。
こんな理不尽な世界なのか・・・・。
静かに眠る銀髪の少女に俺は居たたまれなくなった気持ちで一杯になった。
「・・・・・これを。」
俺はシスターに持っていた金貨8枚を渡した。
「!!・・・・・こんなに・・。」
「いいんです。受け取って下さい。この子の為に使ってやって下さい。」
そう言って、俺は教会を出た。
外は既に日は沈み、すっかり夜になっていた。
俺は激怒していた。
この理不尽な世界に。
理不尽な世界では力無きものは奪われる。
しかしあの子はもうろうしながら「とうさん」と言った。
たとえ夢の中であって、俺の事ではないだろうけど。
俺はあの子を救わなければならないと思った。
どうする?
あの子を守れるように強ければいい。
俺にはこの武器がある。
それだけだ。
有難うございます




