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第15話.~閑話~歓迎パーティー

誤字・脱字にはご容赦下さい

●15.~閑話~歓迎パーティー


「おつかれさまでーす。」


「おおー来た来た!ココだよココ!」


ここは壺エイトという名前の居酒屋。

ご存じ多くのサラリーマンご用達、リーズナブルな全国チェーンの居酒屋です。


入社最初の一週間・・・・

異世界を舐めてた俺はさっさと拠点から外に出て、コブリンに囲まれて殴られた。


少し凹んでた俺に気を使ってか江楠社長が歓迎パーティを企画してくれたのだ。

既に吉村のおばちゃんもいて、他に初めて会う人もいた。


「はじめましてー。中原です。」


見た目20代の前半の女性だった。丸顔のかわいい系。

もう既に少しお酒が入っているようでにこにこしていた。


「菖蒲でーす。」

少し体育会系で強面の30代半ばくらいの男性、俺と同じぐらいか。いい人そう。


「どうもー、小笹です。」


なんかやせ型で眼鏡を掛けたおとなしそうな人、20代後半ぐらい。手にはウーロン茶を持っていた。


「初めまして、新しく入社しました、鈴木です。」


「えー、今回新しく有望な人がウチに来てくれたよー。鈴木健介君だ。

今日は無礼講でくつろいでね。でもみんな、今日の主役は鈴木君だよー。」


簡単な自己紹介をしたあと歓迎会は開催された。


三人はメルシオール世界管理社の社員だそうだ。

ということはこの三人、俺と同じ異世界組なんだな。


いいのか?無礼講は?

小さな会社の社長ならまだしも神様に無礼講・・・。

なんか死んだばあちゃんが天国で怒りそうだ。


「あっ。社長、ビール追加しますね。」


吉村さん、飲む飲むー。お構いなしにガンガン飲んでいる。

さすが既婚女性は押してくる。全く社長に遠慮はしていない。

今日は珍しく旦那に子供と家事を任せられて、しかも会社の経費タダでお酒が飲める事が非常に彼女にとって嬉しいらしい。


聞くところによると社員が全員集まる事は滅多になく年に1~2回程度なのだそうだ。



「やっぱしここはいいねー。ギンギンに冷えた旨いビールは日本の居酒屋でしか飲めない。」

そう言って菖蒲さん、わははと笑い。中原さんが


「そよねー。でも菖蒲さん、去年も集まった時も同じこと言ってたよー。

てか先月帰って来てたらしいじゃん。キャバクラに行きたいけど一人で行くのが怖いからお願いだから一緒に来てって言われたとか小笹っちが言ってたよー。珍しく帰ろうと思ったら、何故かいつも必ず菖蒲さんに捕まっちゃうって。」


「こざさーつ!」


「はいっつ!・・・中原さん、あんまりですよー。

菖蒲さんには言わないでって言ったじゃないですか。それに俺下戸なんですから。

海賊なんかと同じ勢いで一緒に飲めないですよ。いくらオゴリでも。

でも中原さんはあんまり戻ってないみたいですよねー。忙しいんですか?」


菖蒲さんって海賊!?まじか!?


「そそ。聞いてー。あっちにいい人出来たんですよぉーーー。」


「おおお!そうかそうかー。そりゃめでたい!」(社長)

「男について分かんないことあったらこのおばちゃんに聞きなさいよー!」(吉村)

「中原さんまたですか!」(小笹)

「お、お前、また善良な信者を騙してー。」(菖蒲)


「ひっどーい!聖女はモテるのよ。愛のシンボルなのよー!」


聖女!?中原さんが?


「小笹っちも戦争ばっかりしてないで早くいい人見つけて結婚しないとー。」


「まぁしばらくは無理そうです。人使いの荒い陛下に捕まってて、中々拠点に帰れないんですよ。ホントに俺、めっちゃ仕事忙しいんですよ。こないだは二日酔いで仕事先に戻ったせいで戦争やばかったんすよ。ははは・・・。」


「軍師でしょー?なんとかしなさい」


おおう!孔明・・・・てか小笹さん軍師様。なんかわかるわー。

小笹さんはしみじみ言った。

「日本は平和でいいですねー。ホント。」


「あーね。でもよ。異世界に行って初めてわかると思う。この世界の素晴らしさは。」


そう言って菖蒲さんはジョッキを空けた。


「ビール追加―!」(吉村のおばちゃん)


・・・・・・

・・・・・・


俺は今まで生きてきてそんな事は一度も思った事が無かった。

テキトーに生きて、リストラくらって。自分のせいなのに拗ねてしまって。

いい年こいてぼんやり生きていたんだとその言葉を聞いて思った。


とはいえ他のみんなも苦労してたんだなぁ。


俺も数日ぶりとはいえ、久しぶりに味わう現世界の界隈かいわいになぜかとても懐かしい気分がした。




有難う御座います。

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