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魔皇帝ビビッドデーモン!

ブクマ、評価、コメントあったら幸いです宜しくお願いします!

 砂漠を抜けて一気にリオフレッドへ行こうと思ったのだが、目的地に近づくにつれてモンスターが多くなってくるし、モンスターのレベルも上がっている。

 ショコラも神霊までは出していないが、一撃で倒すのが難しくなって来た所だ。



 なので、俺も銃をもって攻撃をしながらメロンを走らせている。



 「モンスターのレベルはこの変で頭打ちだな。

  足を止める必要はない」

 「ショコラも神話級の武器が欲しいー♪」



 「グレード5のIDを攻略中だ。

  そのうち素材は手に入るから我慢しろ」

 「ハーイ♪

  あ♪

  街が見えてくたよぅ♪」

 


 リオフレッドの街が見えて来たし、一気に突き抜けて街まで辿り着いた。

 街の門の前には衛兵(えいへい)がいたが、俺達の姿を見て扉を開けて待ってくれていた。

 あいつ等普通に強いな。

 この辺りはプレイヤーもLv100を超えるみてえだし、NPCもこの辺りのモンスターに対抗できるだけの力を持っている。



 まあ、西治帝国領(さいじていこくりょう)内にいる上位の妖怪や武将クラスと比較すればまだまだなんだけどな。

 


 山に囲まれた国リオフレッド。

 街の中心にあるのが城か。

 とりあえず王様に会ってみるか。



 俺達はまっすぐ城へ向かい、謁見の間へと辿り着く。



 「この国までやってくるとは、旅の人は中々の腕をお持ちの様だ。

  どうだね?

  この国の兵となって民を守ってはくれぬか?」

 


 王から兵への誘い?

 こいつもしかしてプレイヤーか?



 「それは出来ない。

  旅に出ているけど、私にも守るべき国がある。

  ここへは用があって来ただけ。

  そのついでに王様にも挨拶しに来た」

 「はっはっは、一国の王を相手に“ついで”とは強気な娘だ。

  それに、二人共美しい。

  嫌いでは無いぞ。

  用とはなんだ?

  頼み事があれば聞いてやらんことも無いぞ」



 流暢(りゅうちょう)に会話のキャッチボールが出来てるって事はこの国の支配者はこいつか。

 それなら、あと二つの国が支配者不在?

 いや、もしかしたら支配者のいるアンメルンからここを支配した?



 それならその間にある国のヤクレインも乗っ取って実質三つの国をすでに落としていると言う事になる。

 俺も三つの国の支配者だが……

 いあ、こいつの装備を見る限りそれ程強い感じはしないな。



 残り三つの国は何処もLv100を超えるプレイヤー達がいるはずだ。

 三つの国全部落としてんだったら、もうちょっと良い装備しててもいいんじゃねえのかな?

 とりあえず、適当に相槌(あいづち)うって引き返すか。



 「おばあちゃんの薬を届けに来た。

  それじゃあ、挨拶も終わったしらせて貰う」

 「待て」



 ん?

 変な事言ったか?

 振り向くと王様が、部下に「最近取れたあれを持ってこい」と言って待たされる事になった。

 しばらくすると兵士から金色の苗を手渡された。



 「効能は薄いのだがな、継続して摂取すればあらゆる病気への抵抗力を得られる。

  日の当たる場所で育てれば数も増えるだろう。

  祖母を大切にしろよ」



 俺は王様にお礼を言って城を出た。

 俺に手渡す時に兵士がこの苗の事を“リーグラウの花”と言っていたな。

 ロンティオールで栽培出来れば、病気系の厄災には効果を発揮してくれるだろう。



 しかし、あの王様がプレイヤーなのか判断出来ねえ。

 情報を得るためにも少し街を回るか。



 店にはそこそこ高いアイテムが置いてある。

 この付近にいるプレイヤーの適正な感じのアイテムだな。

 他にも変わった店も無ければ、違和感のある建設物も無い。



 「あの王様いい人だったね♪」

 「そうだな。

  あれ、プレイヤーだと思うか?」



 「うーん……

  おじいちゃん好きなプレイヤーなのかもぉ?」

 「一応忍者の情報もあるんだが、あの王様はずっと三十年くらい前からあの王様らしいんだよ。

  プレイヤーだとしたら、最初からあの王様って事になるんだよな。

  俺がガチャで王様を引いたら、もうちょっと若く作るな」



 かといって街を歩いていても石の煉瓦(れんが)ばっかりだし、特徴的なものは目に入って来ない。

 ん?

 モンスターの気配!



 聖女になったから邪悪な雰囲気を感じる事が出来るんだが、小さな家の中から邪悪な気配を感じる。

 


 何も手掛かりもねえし、入って見るか。

 こそっと入ろうが、押し入ろうがどうせ相手がいてもNPC!

 「オジャマンボウ!」っと大きな声を上げて中へ入っても誰もいない。

 邪悪な気配は……ここか。

 地下へ降りる階段を発見した。



 階段を下りていくと、廊下があって、いくつか扉がある。

 一つひとつ扉を開けるが誰もいない。

 最後の扉を開けると中に小人みたいなのが居た。

 小人って言うか二頭身のモンスターだな。

 人の服を着ているが、二頭身だからパッと見で人間では無い事が分かる。

 そんでもって手足は非常に短い。

 


 これで化けているつもりか?

 見た目は白い体毛に覆われているが顔と手は真っ黒。

 真っ黒だから口があるのかは分からないが、丸い目が黄色く光っている。

 頭に帽子を被ってはいるが、その帽子から角が二本飛び出していて、大きなリボンを結んでいるのは角とばれない様に誤魔化している感じか?


 

 こちらを攻撃するつもりは無いみたいだ。



 「やあ、お嬢さん達。

  勝手に人の家に入るのはいけないよ?

  それとも君達は強盗か何かかい?

  そうは見えないね。

  そうか、わかったぞ。

  この家に人が出入りしているのを見かけないから幽霊か何かいるんじゃないかと肝試しにやって来たんだね?

  それは困るなぁ。

  ここには普通の人間が引き(こも)っているだけなのは分かっただろう?

  それが分かったら用は無いはずだ。

  もう出て行ってくれるよね?」



 なんだこいつ?

 別に早口では無いが、いきなりノンストップで語り始めたぞ。

 それに、こいつ人間のつもりでいるらしいな。



 「お前の様な人間がいてたまるか。

  ぶちのめすぞ?」

 「おやおや美しいお嬢さん。

  下品な言葉遣いは似合わないよ?

  僕が多少普通の人と見てくれに違いがあったとしても僕は紛れもなく人間だ。

  恐らく君はこう思ったんだろう?

  髭が猫みたいだってね。

  でも残念ながらこれは紛れもなく猫の髭なんだ。

  くっついて取れないから僕も困っていてね。

  とりあえず取れないものは仕方ないと思って、どうすればこれがおしゃれに見えるのかを試行錯誤していた所なんだよ。

  ほんの少しカールを掛けて見たんだけど分かるかい?

  といっても女性に髭の事を聞くのは(いささ)か間違っている様な気もするけど是非意見は聞きたいね。

  可愛いと言って貰っても結構。

  僕はそれでも嬉しいと思うタイプの男性だからね。

  どうかな?」



 そこじゃねえよ!

 髭なんて見えねえよ!

 本当にあるのかじっくり見てみたらあったわ!

 


 「一気に話をするのはやめろ。

  邪悪な気配を感知出来るから、お前がモンスターなのは分かっている。

  次無駄口を叩いたら殺すぞ?」

 「オーケー。

  それじゃあ一つ質問をするよ、君達はここにモンスターの気配を感じたからやっつけに来たってわけかい?」



 「そうだ、邪悪な――あっ、オイコラ、待て!」

 


 短い手足をバタつかせてササっと俺達の隙間を縫うように扉の外に出て行きやがった!

 急いで追いかけると、おいおい。

 階段昇の遅っせえなぁ!



 壁に両手を当ててぴょこぴょことジャンプして慌てふためきながら階段を上っているが、数段飛ばしで駆け上がれる俺はすぐに追いついた。

 逃走経路に難がありすぎだろ!



 タナトスよりも一回り小さいし片手で掴んで持ち上げると手足をバタつかせえてなんとか逃げ出そうとしている。

 これでも攻撃して来ないのか。

 もしかして、こいつこの国の支配者に関係する感じのNPCなんじゃないのか?



 「観念しろ。

  どうしても逃げ出したいなら攻撃をすればいいだろう?」

 「離せ!

  僕には使命があるんだ!

  それまでは死ねない!

  だから人間とは敵対するつもりは無い!」



 使命とかモンスターが口に出すんだからますます怪しいな。

 これはビンゴなんじゃねえのか?



 「使命ってなんだ?」

 「それを話せば僕を開放してくれるかい?」



 「内容しだいだが、話さなければ殺す」

 「選択権を与えてくれないなんて、悪魔よりも酷い人間だね。

  だからこそあのお方はこの世界を支配しようとしたんだ。

  僕の使命はね、言うと絶対に人間は僕を殺そうとするはずだ。

  だから君に殺される前に僕と言う存在が居た事を覚えておいて欲しい。

  僕は魔王シャドゥーラ様を復活させる為に日夜研究を続けていた一匹の弱いモンスターさ。

  研究が進み失敗を追うごとに僕の能力は英雄ミナティスの封印に触れて弱体化していったんだ。

  僕はこれでも元々は最上位の悪魔だったんだ。

  魔皇帝ビビッドデーモン。

  魔王様の右腕と呼ばれた男さ。

  その名前も魔王様の封印と共に失ってしまったんだけど、さっき君が扉を開ける時にだよ?

  ようやく僕は自分の名前を思い出せたんだ。

  ずっとどうして研究を続けているのか分からなかったんだけど、思い出したら人間に捕まってしまった。

  人間は(あわ)れむのが得意だろう?

  僕の事を笑うといいさ」



 「諦めるのか? うわっ!」



 こいつ……なんか液体をぶちまけやがった!

 またの下からジョバジョバと垂れ流している……

 小便なんて引っかけやがって何しやがるんだこいつ!



 「諦めてなんて……くっ! ないさ!

  僕は君と! 言う存在から! ハアハア、逃げ延びて見せる!

  例え……(かつ)ての――くぅっ栄光に! 泥を塗ってでも! 僕は成し遂げて見せる!

  次捕まえて見ろ! ハアハア……

  今度はおしっこじゃ! 済まされないからな!」



 そんで階段昇の遅せえんだよ!

 再び俺は階段を駆け上がってとっつ構えてやった!

 最悪の事態に備えて、扉の中にあった椅子に座らせてからロープで拘束する。



 こいつがこの国の支配者に関係あるNPCだと仮定して、俺が支配者になるには何をどうすればいい?

 そう言えばこいつは魔王シャドゥーラを復活させる研究をしてたんだよな?

 それなら、こいつの残した研究に何かヒントがあるかもしれねえな。



 こいつが最初に居た場所にある机の上を(あさ)る。

 整理整頓がなってねえなぁ!

 グシャグシャじゃねえか!

 でもなんかあんだろうと思って、机の引き出しを開けて見るとそれっぽいアイテムを見つけた。

 小さいけど宝箱みたいに綺麗な箱だ。

 パンドラの箱ってわけか?



 「その箱に触るなぁ!

  ぶっ殺すぞ人間!

  このヤロー!

  くそ! クソクソクソ!

  お願いだ、人間。

  その箱に触らないでくれ。

  そこには僕の大切な何かが入っているんだ。

  僕には開けられないけど、本当に大切な物が入っているんだ。

  だからお願いだ……お願いします……」



 俺は箱を開けずにこのモンスターの頭を撫でた。

 

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