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聖女様のお仕事。

ブクマ、評価、コメントあったら幸いです宜しくお願いします!

 翌朝になってタナトスが俺の方をじっと見つめている。

 昨日より少し大きくなって成獣へと進化した様だ。

 見た目は殆ど変わりないけど、凛々(りり)しくなったんじゃないのか?

 


 ショコラと食事を取った後、タナトスに忍者に持ってこさせたセット装備を付けてやる。

 このセット装備はアエーシェマの暴悪(ぼうあく)と言う装備で、攻撃よりのセット効果がある。

 ペットに装備させると元の形は崩れてペットと合体する感じになってちょっと驚いた。



 持っていた剣が真っ赤に染まって禍々(まがまが)しい感じになってカッコイイ!

 ついでに俺もマゼンダストーンで作った両手杖を装備する。



 シャフトの部分は綺麗で光沢のある白磁(はくじ)の様な細長い棒になっていて、持ちやすいし片手でも扱えるくらいに軽い。

 美しい金色の装飾も(ほどこ)されて高級感あふれる上品な仕上がりになっている。

 杖の先にはマゼンダストーンがはめ込まれているんだが、美しいマゼンダ色の薔薇の形になっていて職人の拘りが伝わってくるな。

 そして、この武器はニースの武器と同じく光っている。

 このエフェクトは任意で切る事が出来るみたいなので、切っておいた。



 俺達はリオフレッドへ向けて旅立つ。

 ニースに送ってもらう事も考えたが、あいつその後着いて来るだろうし、ロンティオールを飛ばしてどうしてリオフレッドに行くのかと疑念を抱かれない為にそれは止めた。



 砂漠を超えるのに半日は掛かるだろうしロンティオールで一晩明けるのを待つか。



 予定では明日からロンティオールを出発して帰って来る時間とか考えたら戻るのは三日後だな。

 本来ならロンティオールを攻略した次の日に総大将の二人と会う約束をしていたが、ニースと会って予定が狂い、反故(はご)にしちまったからな。



 帰りに西治帝大帝国(さいじだいていこく)に寄って、その時に会うか。

 


 ショートカットの為に一西(いちにし)の国で空間河童(くうむかっぱ)を使って一番ロンティオールに近い南場(なんば)の国へ飛び、そこで忍者達に総大将の二人は三日後に城へ来るようにと伝えさせて、再びリオフレッドに向けて旅立つ。

 今日の目的地はロンティオールだ。



 メロンに乗ってかっ飛ばしていると、砂漠まではすぐに着いた。

 しかし、メロンは砂漠での移動が苦手みたいなのでペースが落ちてしまう。

 まだそれ程時間も立って無いし、昼をちょっと回ったくらいにはロンティオールに辿り着くだろう。



 しっかし暑いな!

 フェニックスナイトのバタカフェが居ないと全然体感する温度が違う。

 この暑さも砂漠って感じがしていいな!

 冒険してるって感じを味わえる。



 「アツーイ! アツイアツイアツイアツーーーイ!

  日焼けはしないと思うけどジリジリして気持ちわるーい!」

 「うるせえ!

  余計暑くなるわ!

  神霊召喚したらなんとかなるんじゃないのか?」



 「出てこいユミル!」



 おっ?

 俺達の周囲を霧が包み込んで、急に涼しくなった。

 神霊は何処だろうと後ろを振り返ると、青白い肌のでかいおっさんがポツンと砂漠の中に取り残されているのが見えた。

 なんか可哀想だな……



 「ショコラ、おっさん置き去りにしていいのか?」

 「大丈夫♪

  霧の巨人だしこれだけ暑いならそのうち消えるんじゃないかな?」



 「ユミルって北欧神話の霧の巨人だろ?

  暑いってだけで消えるわけねえだろ」

 「そうねぇ♪

  神霊は神様そのものって訳じゃないし、ショコラが任意で消す事も出来るから大丈夫だよぅ♪

  今度召喚した時にでも寂しかったね、ヨシヨシってしたら機嫌損ねてても治してくれると思うしぃ♪

  そもそも性格とか無くて、ショコラのイメージで動くからね♪」



 そりゃそうだ。

 ショコラのスキルだしな。

 その内消えるんなら、置き去りにしても問題ねえか。

 タナトスを育てる様になってからちょっとだけ、生み出した親としてそれでもいいのかと思っちまったけど、西治帝国領(さいじていこくりょう)で俺はもっと酷い事してるし、人の事言えねえわ。



 涼しくなって旅は快適になったんだが、弊害(へいがい)が無いわけではない。

 砂漠を爆走しているので、風が巻き上げた砂を被る事になるんだが、その砂が俺達に付着すると湿って服や髪にくっついてザラザラのするし汚れる。



 メロンなんか体毛の間から砂の角みたいなのが沢山生えていて、ちょっとしたモンスターになっちまってるんだが……



 このゲームは汚れてもしばらくしたら綺麗に戻るからいいんだけどな。

 


 ユミルが使ってくれた魔法効果が切れて、一気に体感温度が上昇し始めたが、幸いロンティオールが見えている。

 メロンに乗ったまま街の中に入ると、その姿に街の人を驚かせちまったけど、砂が落ちて羊の姿を現すと注目されなくなった。



 今は昼を少し回ったくらいだな。

 予定よりもペースは速い。

 とりあえず、聖堂を拡張して今日の宿を確保するか。



 さっそく部屋を見に、聖堂へと向かうと中々良い見栄えになっている。

 最大まで拡張してもそれ程大きな建物じゃないが、俺達二人で止まるには十分だ。

 中へ入ると神父が出迎えてくれる。



 「聖女様!

  献身的なあなたの行いが奇跡を起こし、この国は大きな発展を遂げました。

  とても素晴らしい事です。

  そして一つ頼みたい事があるのですが……」

 「この程度で発展を遂げたとは欲が無い。

  この国はまだまだ発展する。

  慈悲深き神はこの国を見捨てはしないのさ。

  従順なる神の信徒よ、頼み事を聞いてやる」



 「おお、聖女様はなんと寛大で気丈な事か。

  それでは告白します。

  実はこの国では貧しさから子が親を失う事もあれば、親が子を捨てる事もあります。

  私も炊き出しなどをして食料を貧しい者に分け与え、どうにか失われる命を繋ぎ留められないかと(あらが)ってみたのですが、優先されるのは労働力である大人ばかり。

  孤児達の分までは私の力が及ばないせいで支えきれないのです。

  雨風が凌げるだけでいいので、孤児院の設立と、孤児達への食糧をどうにか工面(くめん)して用意して頂けないでしょうか?」



 俺はムカついて神父の頬を掌で打った。

 ムカつく野郎だ!

 だってそうだろう。

 力が無いのに他人の心配をして、中途半端に手を差し伸べては己の力不足を呪う。



 誰も手を差し伸べないよりはマシ?

 そうかもしれねえ、けどな。

 どうあがいてもそこには悪魔しか残らないんだぜ……



 嫌な事思い出しちまった。



 ちょっと涙でちまったな。

 祈ってお茶を(にご)すか。

 俺の隣で神父のすすり泣く声が聞こえる。



 貰い泣きしそうだからそう言うの止めろ!

 俺は心を落ち着ける様に、無新になって祈っている振りをする。



 よし、落ち着いた!



 すぐに俺は孤児院とそこで働くNPCを生産して設置する。

 食料は収入さえあればどうとでもなるが、この国で孤児院を経営しても子供達が育って働くまでは寄付なんて期待出来ねえんだろうな。



 この国でスタートしたんだったら食糧問題は結構な難関だろう。

 だが俺には他の国の支配者の能力がある。



 まずは治安を守る為の聖騎士団を設立する。

 その為の施設と聖騎士達は配置。

 次に獲物を狩るハンターとヒーラーのアコライト、その二人を守る戦士のNPCを数チーム作る。

 勿論そいつ等の施設も用意してある。

 最後に肉屋だ。



 こんなもんでいいだろう。

 そして、俺はギルド長の名声ポイントを使って周囲にいくつかのクエスト用のIDを作る。

 IDのモンスターはゴミドロップの中に肉もあったからな。

 これで食料問題も改善される。



 一応農家もいるし、野菜不足にもならないだろう。

 後は水だな。

 オアシスを設置出来るがそんなもん街の中にあったらすぐに枯れちまうし、破壊扱いになっちまいそうだ。

 井戸は水脈が地下を通ってねえと駄目だろう?

 それなら、地下水脈を作っちまうか!



 街の地下に水脈を作り、その上に井戸を設置する。

 作った水脈は枯れる事は無いだろうし、これで無限に水を確保出来るな。

 


 「己の無力を懺悔(ざんげ)したか?

  あたしはお前を(ゆる)す。

  道は切り開いた。

  後はお前が(かじ)を切れ。

  手本を見せてやる、着いて来い」



 クエストIDで食料を落とさないモンスターが湧く様なら街の安全の為にも消しておかなければならない。

 だからその確認をしに行く。



 作り過ぎたが、20あったうちの9は獣系のモンスターが湧いて肉をドロップしたのでそれ以外の8つのダンジョンを削除した。

 残った二つは大量にキノコが生えていて、食べられる様だったので残してある。



 夜中になっちまったな。

 聖堂へ戻ると、神父が涙ながらに感謝の言葉をぶつけて来る。



 「犠牲となった魂が安らかでいられる様に毎日祈りを捧げろ。

  それで救われるのはお前自信だ。

  お前が救われたなら生きている奴等を救え」 

 


 祈りを捧げて死んだ奴が救われるんだったら……




 俺は死ぬまで祈り続けてやるよ。

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