妹プレイ。
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真夜中の砂漠をフェニックスに乗って移動している。
来るときはニースのホルスに乗って一瞬だったから何とも思わなかったが、この砂漠結構な広さだな。
司祭になってから食料事情は貿易もありだと思っていたが、この広さだと砂漠を越えるのは大変だ。
余程魅力的な特産物でも無ければやっただけ赤字になりそうだ。
「見て。
夜の砂漠、綺麗」
「俺もこの景色は好きだな。
星と月の明りだけで結構明るいし、幻想的で美しい。
やっぱりゲームってのは最高だな、バタカフェ」
「違う」
「ん? 何が違うんだ?」
「その姿の時はちゃんとお姉ちゃんって呼んだ方がいい。
今後ニースとの接触は増えていくと思うし、油断しちゃ駄目。
普段から妹として接した方が良い」
「そうだね。
お姉ちゃん」
ん……?
おい?
なんか頭を撫でだしたと思って振り返ってみたら、口元が揺るんで、ちょっと見た事ねえ顔になってんな。
こいつやっぱり妹が欲しくて俺の事を妹だって紹介したな?
でも中身が俺って分ってんのにそれで満足なのだろうか?
俺を抱きしめてニコニコしてるし、満足なんだろうな。
砂漠を抜けて西治帝国領に入った所で、ギルド長の俺のレベルが上がり、カルトリアの近くで巨大なゴーレムが湧いたみたいだな。
ギルド長は殆ど戦闘スキルとか無いし、本来ならクエストを作ってプレイヤー達に討伐させる所なんだろうけど、俺とバタカフェで討伐しちまうか。
「バタカフェ、進行ルート変更だ。
カルトリアの方へ向かってくれ」
おや?
俺の指示を無視して進行方向を変えないぞ?
振り返ってバタカフェの顔を見ると、唇尖らせて無言でなんかアピールしてんな。
「お姉ちゃん、カルトリアへ向かって」と言うとちゃんとカルトリアの方へ向かってくれた。
西治帝国領を抜けて、カルトリアへ向かう途中に馬鹿でかいゴーレムの姿を発見出来た。
体はでかいが、俺達からすれば弱いはずだ。
恐らくだが、悪代官の時に最初に倒した将軍よりも弱い。
フェニックスで近寄り、バタカフェが攻撃を加えていく。
しかしゴーレムの進行は止まらない。
大多数のプレイヤーが挑む相手だし、HPだけはかなり高く設定されてる感じか。
俺も銃を持って攻撃しようとすると「お姉ちゃんに任せて、あなたは振り落とされない様にしっかりつかまってて」と言って制止されてしまった。
なるほど、急にバタカフェが怒ったりしてたから変だと思ってたけど、お姉ちゃんになってたから感情的だったんだな。
バタカフェが楽しいなら、俺も本格的に妹を楽しんでやるとするか。
「お姉ちゃん!
あのゴーレム……手強い」
「大丈夫!
お姉ちゃんに任せて」
バタカフェが一気にフェニックスを加速させて何度もゴーレムに槍を叩きつける。
スキルを使ってない辺り、ロールプレイングしてんな。
しばらくすると、ゴーレムの足が止まり、こっちを攻撃し始めた。
「お姉ちゃん!」
「分かってる」
足を止めたらそれこそバタカフェの的なんだが、ゴーレムの攻撃を態々ギリギリで躱して、一発ずつ攻撃の手を加えている。
そのやり取りもそれ程長くは続かず、またゴーレムに変化が見られる。
体に亀裂が入って光り出しているって事は時間内に倒しきらないと爆発でもするんだろうな。
バタカフェはフェニックスを上昇させゴーレムの遥か高い位置まで上昇した。
なんでこんなに上昇する必要があるんですか?
「スキルを使った本気の急降下なら音速を越える」その一文が俺の脳裏を過った。
「お姉ちゃん!
何するつもり!?」
「しっかり捕まってて!
いくよ!」
バタカフェがスキルを使うと強い重圧みたいなのを感じて、キーンっと風を切る音が聞こえたと思ったらすぐに何も聞こえなくなった。
音が無くなった瞬間に遥か下の方に居たゴーレムが異様な速さで目の前に迫ってくる!
怖いと思った瞬間にはゴーレムをぶち抜いて徐々にスピードを落としながらゴーレムの上を旋回していた。
あー怖かった。
心臓が止まると思うくらいに怖かった。
今になって胸がドキドキしてきたじゃねえか……
それにしても、あの石の塊みたいな奴を貫通したのか。
凄い貫通力だな。
俺が落ち着いたのを見て、バタカフェはカルトリアの方へゆっくりフェニックスを向かわせる。
ん?
これ実はゆっくりじゃねえな。
さっきのスピードに慣れたせいでゆっくりに感じるだけだ。
上空から直接冒険者ギルドへ向かい下りると、何故か力が入らずにその場で尻餅をついてしまった……
なんだ?
立ち上がるのってどうすりゃいいんだっけか?
力が入らねえから分からんねえ……
バタカフェが俺をお姫様抱っこして冒険者ギルドの中へ入る。
入り口で土下座している何かが目に写ったが、声を掛けずにそのまま中へと入った。
ギルド長の執務室には生活出来る様にベッドなどもある。
俺はその上に寝かされて、バタカフェは椅子に腰かける。
ゴーレムを倒した事で、俺はクラスアップして名誉貴族になり、貴族達からクエストを引き受ける事が出来る様になったみたいだな。
冒険者ギルドで出せるクエストの質でも変わったのか?
試しにクエストの整理を行う。
なんか難易度の上がった、お使いクエストがあるな。
他には……お?
IDを設置してだせるクエストがあるぞ?
これをクリアさせる事で直接俺の経験値やら名声ポイントが上がっていくわけか。
難易度は高いんだろうけど、プレイヤーにとっても報酬は高めだな。
さっそくクエストを登録しておく。
一応騎士団に名声ポイントを支払って攻略依頼も出せるのか。
これはギルド長の経験値稼ぎにもなるってわけだな。
もう少しいじったりしてえ所だが、お客さんが来ちまったみたいだな。
ニースが暗い顔をして部屋に入って来た。
「ごめんなさい」と何度も土下座してるけど、こんな事をされて喜ぶ友人なんていないだろう。
よっぽど友人を失いたくないんだろうけど、これじゃ逆効果だ。
俺はニースをまた軽く腕に抱き、頭を撫でる。
「間違いは誰もが起こす。
それは罪な事じゃ無い。
ただ、一つの過ちでしかなく、私はその過ちを赦す。
失う事を恐れて弱気にならないで。
私はニースの隣に立っていてあげる。
だから……強く在りなさい」
「妹ちゃん……」
なんか俺の事を崇めるみたいに腕を組んで祈りだしたけど、まあいいか。
もう夜だし眠くなってきたな。
この体の時はそんなに腹が減らねえし、寝るか!
ニースとバタカフェに「今日はちょっと疲れたから、お休みするね」と告げて俺は一人ベッドの中に潜った。
しばらくして「私も寝る」と言ってバタカフェも潜り込んで来たが、眠気が強いし何事もなく受け入れた。
意識が薄れていく中でニースが何度も「尊い」とか言ってた気がするが、どうでも良くなって俺はそのまま眠りに落ちていった。




